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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

リモート時代の無力感や挫折感を乗り越える (リモート時代と縄文と私 4/10)

2020-06-30 | 第四章「愛とゆるし」

  6月は昨日で終わったが、いろいろ変化のあった月だった。そして、時にはかなりのストレスを感じたことも。朝の目覚めのときに、なんとなく深い悲しみのような感情を感じてぞっとしたことも。そんな日々は、思わず口から自分にとって古い口癖のような呪い?のような言葉が出てくる。こうした鬱状態に近いことはいろいろな方が体験されると思うが、U先生の「生き甲斐の心理学」の学徒たる私は、特に朝のなんともいえない感情について味わいつつ、この感情について思い巡らした。

 大げさに言うと無力感とか挫折感なのだろうか。気持ちの良い感情ではないが、この本物の感情は表面的に「おまえは駄目だ」と叫んでいるようではあるが、何か「大切なことを忘れているのでないか」とか、「前に進むための考え方を整理したら」とか、深いところで呟いてくれているようでもある。静かに手を合わせて一人祈っていると、ふと解決の糸口が。

 人は無力感や挫折感に陥ったときに絶望するだけなのだろうか?死期を悟っていた仏教徒でもあった祖父は、数日前まで朝は仏壇の前で手を合わせていた。身近な祖先の霊や仏様と語り、ある日、あの世が垣間見えたと言って喜んでいた。私の場合はカトリックであるので神様に語る。自分に頼れないときはなおさら、人は信頼できる神仏に親しく祈るのだろう。

 人間はどんな人であっても、皆限界がある。わかりやすいところでは生死があるが、誰もいつの間にか生まれ、いつの間にか死ぬ。私は縄文時代のことを一生懸命勉強しているが、当時の人は100%身体は朽ち、あの世に旅立ってしまっている。100%である。生の世界は少しは知っているが、死の世界はいろいろな説はあっても不可知である。そして、そうだからこそ、多くの人は神仏や死後の魂を信じ、アイデンティティを固めて心を納め、新たな一歩を歩み出す。

 私は6月の後半になって、この大きな社会の変化の中で、IT技術を学び直す必要を感じ始めた。ある意味野蛮なリモート時代の生き抜く術なのだから。「生き甲斐の心理学」の学徒であり、縄文小説家?であっても、必要なことなのだろう。さらに、温故知新ではないが、自然災害や疫病と社会のことなどに興味を持ち、こうした、「リモート時代と縄文と私」なるテーマを考えているわけである。

 最近の科学技術の進歩で古環境の解明がどんどん進み、例えば縄文時代早期や前期は温暖化、中期以降特に後期、晩期は冷涼化が激しいなどということだけではなく、年縞測定や花粉分析などで精密さも格段についてきている。さらに、2-3年など短期的な変動についても火山との関係が明らかになりつつあるようだ。火山関連の環境史の本(歴史を変えた火山噴火 刀水書房 石弘之著 2012年)を読んでいたら、私が興味をもっている、日本列島の3500年前ごろや飛鳥・白鳳時代にも、地球規模の火山爆発による影響があったようで。その変革の時代に大きな遠因になっていたことに驚いた。

 今の時代、この数ヶ月の日本列島。大きく痛みを伴いつつも変容している。コンピュータウィルスなどの問題など小さなことのように、オンライン・リモート化の波は激しく、技術革新というか変化はすさまじい。新しい物を取り入れるところは日本の縄文時代からのお家芸なのだろう。一方、自粛警察という言葉が有名になるほど、ある種の思考停止と同質性指向、保守性も健全?なのかもしれない。私がIT技術をつけなくっちゃと思うこともそうした流れにのっているからかもしれない。

 今から3500年前も時代の変曲点であった。まだまだ勉強中であるが土器一つをとっても、粗製土器や精製土器が現れたり、加曽利B式が広範囲にわたって受け入れられる。まるで自粛警察のようだ。その他、祭儀なども大きく変容し独特の文化が展開していく。前回お話したように日本が東と西に分かれて文化が変容し始めるのもこの頃からという説すらある。技術革新がすさまじいなか、同じような思考停止と同質化志向もあったのかもしれない。

 これは日本という国ができた6-8世紀にも当てはまりそうだ。内外の混乱と戦争、律令制や大陸文化の受容、推古天皇、皇極天皇、持統天皇といった女帝も大活躍。特に持統天皇の功績はすさまじいと思う。

 こうした日本列島の精神構造ができたのはいつのころだろうか。現代の民族学においても影響力を及ぼしている学者に、故岡正雄氏がいる。戦前から戦後にかけて、世界で活躍した民族学者で、記紀を分析して、日本には5つの文化が合流しているという説をたてられた。詳しくは「岡正雄論文集 異人その他 他十二編」(岩波文庫 大林太良編)。もともと日本列島は多民族から成り立っていることは明白なのであるが、それが、今回のリモートの時代への変化で見るように不思議な適応の仕方をしているようだ。U先生は日本人の特性として、①汚れと禊ぎ ②もののあはれ ③恥の文化 ④甘えの構造 ⑤わびとさび ⑥幽玄の美 を挙げられている。一昔前はよく論じられたりして、私も「甘えの構造」(土居建郎著 弘文堂)や「菊と刀」(ベネディクト著)などを読んだ時期があったが、最近は映画「日々是好日」などを見て和んだりした。記紀の伊弉諾の黄泉の国探索は有名であるが、その後汚れを取り除き禊ぎをするシーンは印象的である。汚れと禊ぎの原点だ。時々、こうした日本の心の文化を思い出し、自分の中に流れる縄文時代からの贈り物を思うと、ふと助けられることがある。COVID19やコンピュータウィルスに悩まされた私たちは、時には神社仏閣・教会、あるいは滝や川・・・とおのおののところで禊ぎをする必要があるかもしれない(笑)。

それから、もう一つ。

 火山噴火や異常気象などを考えるために温故知新するには、リアルな文献もベースにした歴史がありがたい。最近、NHKで「大化改新」という歴史ドラマを拝見する機会があったが、蘇我入鹿が雨乞いに失敗したが、天智天皇の母である皇極天皇が成功し、恵みの雨が降り庶民から大いに感謝されて圧倒的な権威に満ちあふれたシーンがあった。先の例にあげた私の中にも見え隠れした無力感や挫折感。そんな中で蠢いている庶民や、祭司(巫女)としての仕事をするものの、人間である皇極天皇の心のうち。それは千年以上の時を超えて響いてくる。記紀などに描かれる古代の様々な記録はとても大事だなあとつくづく思う。

 さらに、雨が降らないという大きなストレス、鬱状態からの脱出というのも興味深い見所であった。雨乞いに成功することにより、世界が天と地のごとく変わるような心の変化がある。泣いたカラスがもう笑うではないが、鬱状態から一気に幸福感に変わるのである。

 先の私の暗い感情も、不安、怒りを上り詰め、さらにちょっと病的な身体症状(食欲がなくなったり、寝られなくなったり)を超え、鬱状態くらいまで行っていたかもしれない。しかし、暗い感情の反対に明るい感情が隠れている。不安には平安感。怒りには友好的感情、身体症状には健康感。そして鬱状態には幸福感。追い詰められて鬱状態になっているときに解決への雨が降る。それで一挙に鬱状態が幸福感へ切り替わる。日常の中では得がたい感情である幸福感は、このように鬱状態のご褒美のようなところがあるのだ。

 これからも、こうした時代なので、死ぬまでに私も無力感や挫折感に悩まされたり、時には鬱状態に陥ることもあると思う。生きている限り、私たちが通り抜けなければならないつらい感情はなくなるわけにはいかない。それは、縄文時代の祖先も白鳳時代の祖先も、江戸時代の祖先も同じ。ポイントは、暗い感情を意識化すること。さらに感情の底に気づかされるということ。

 暗い感情の反対に同質の明るい感情、幸福感があると信じることも大切だと思う。自己肯定・他者肯定のスタンスを思い出し、希望をもつことは大事かもしれない。

リモート時代と縄文と私 4/10 

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