日々の恐怖 1月15日 小屋(2)
左の道は、次第にシダ系の植物が見渡す限り地面いっぱいに生えてる道になって、背の高い木々の間から木漏れ日もさして、とてもきれいな道でした。
「 なんか、おとぎの世界みたい~。」
とかって二人してテンション上がって、となりのトトロのさんぽを熱唱しながら歩いていました。
地面いっぱいシダが生えてる中で、人が通ったような一本の道がずっと続いてたので、特に迷うこともなく、Googleマップを確認することもなく、進めたんです。
すると、ちょっとシダ以外の植物が増えてきて、木も高いものではなく、高さは身長くらいで、幹も枝も細く、ぐにぐに曲がりながら生えてるものが増えてきました。
それでも、一本道はずっと続いていたので、木をくぐったり草をよけながら前に進みました。
さらに進んで行くと、道が険しくなって、道をかき分けないと進めなくなってきて、そしてついに、崖みたいになってる斜面を登らなくてはいけなくなりました。
「 ここ辺りで、ちょっとヤバくない・・・?」
と言って立ち止まり、いままで来た道を振り返りました。
見ると、ずっと一本道だと思ってた道がなくなっていて、これまで歩いてきた軌跡がわからなくなっていました。
でも、二人してなんか冷静で、
「 この一本道に見えてたのって、多分脳が勝手に歩きやすい場所を道として錯覚して見せてたんだろうな~。」
「 遭難する人って多分みんなこんな感じなんだろうな~。」
と勝手に分析してました。
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