短篇小説は盆栽である

戦時の音楽 (新潮クレスト・ブックス)

戦時の音楽 (新潮クレスト・ブックス)


『戦時の音楽』レベッカマカーイ著 藤井光訳を読む。
テーマは戦争と音楽。
つーと『戦場のピアニスト』のような感動ものを思うが、違う。
端正に育てられた盆栽のような短編がキラキラしている。
盆栽いじりの趣味はないが、
優れた盆栽はミクロコスモスだが、
見るものをマクロコスモスに誘う。
短篇小説も余分な枝葉を限界まで刈り取る。刈り取る。
最初はすぐに読めてしまう。でも、何回か読むと
完成された世界に魅了される。

盆栽の比喩がピンとこない人には
料理の素材に例えるのはどうだろう。
フルコースに出せるくらいの素材で
スープを提供するとか。
以下作品の短い感想をば。

『青を背景とした恋人たち』では、
なぜか現代に復活した大音楽家
当然クラシックかと思ったら、ブルーズやジャズが気に入る。
モーツァルトならヒップホップだったりして。
その立ち姿が村上春樹の騎士団長に似ている。

『ブリーフケース』は、横暴なロシア兵に怒る老女性作家の
気概と機知を称賛したい。

『爆破犯について私たちの知るすべて』
爆破犯が読んでいた本が気になった。

ランボードストエフスキー、アップダイク、
コンラッドナボコフ、ムラカミ、ディケンズ
プルースト、マン」

 


かぶる。爆破犯の素質があるのか。

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