暗い闇の中から
外の明るい光景をみる
僕が開放される時間は
夕方の一時だけ
でも
いつもこの暗黒の箱の中から
少し甘い子ども達の生活が見える
教室の中は僕にとって映画館だ
友達とはしゃぐ元気な少年
好きな人がいてその人と何処となくぎこちない話をする少女
いろんなストーリーが渦巻いている
これまで何度も辛いシーンや幸せなシーンも見た
放課後の教室 そこには少しやせた男の子
入ってきたのはクラスのマドンナ
そのマドンナが告白すると
男はただごめんと一言
なんてシーンも良くあって
とにかく楽しい
もちろん僕の仕事は掃除
子どもと大人と楽しいひと時だ
そんなある日
僕は出しっぱなしで教室に放置されてしまった
最後の子たちが帰ると
僕は教室の隅に一人だけ
僕はなぜだか
泣いていた