哲学の科学

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不老不死は可能か(5)

2018-08-04 | yy64不老不死は可能か


文字が書き込まれている本は長い時間のうちには、破れたり擦り切れたり印刷が薄くなって読めなくなったりします。最後には、ぼろぼろになって紙の粉になってしまう。紙である限り、何百年何千年もたてば、どれもそうなるでしょう。しかし、最初の羊皮紙から文字が読み取られてハードディスクにデジタルデータとして保存されていた場合はどうか?
三千年前のホメーロスのユリシーズでも新品の本として蘇らせる事ができます。つまり、そのテキストは不老不死である、といえるでしょう。

デジタルデータはハードウェアの上に再生できます。人体もまたデジタルデータとして読み取れてハードディスクに保存できるようなものであったらどうでしょうか?そのような技術が遠い将来、完成しないとはいえません。
たとえば私はある一連のデジタルデータから今ここにあるような物質的身体に再置換される。

まあ、仮にですが、私が死ぬ前のある時点を復元点とするデジタルデータから私の身体が再生される、とします。そうすると、その身体は「私は一度も死んだことがない」と叫ぶ。実際、そう思い込んでいるからですね。
その復元点から後の私に会ったことがない人は「ああそうなのか、君は死んでいないんだね」と思うでしょう。しかし、その復元点の後で私の死体を見た人は「えっ、じゃあこの死体はだれなの?」と思う。
死んだ私の死体を瞬間的に消去するシステムになっていれば問題ありません。だれも私が死んだことを知らない。その場合、再生された私の身体が「私は一度も死んだことがない」と叫べば、それでもう、私は死んでいなかったことになります。何も問題はない。
生まれ変わったというほど大げさな出来事ではありません。一瞬、眠って目覚めただけ。何か変なことが起こったという自覚はまったくなし。







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