哲学の科学

science of philosophy

子供にはなぜ人生がないのか(5)

2020-08-01 | yy74子供にはなぜ人生がないのか


子供は自分の身体の成長を見て周りの大人と比較します。世の中には幼児、青年から老人まで各世代が混在して生活しています。子供はそれを見ながら成長します。老人は間もなく消えていく。葬式を見れば分かります。そうして人生の流れを知る。間断ない世代交代の流れを身体で感じ取ります。

大家族が発展した大きな人間社会、村落、職業組織なども、いわば、ところてん式システムになっています。学校がそうであり、会社もそうですね。このようなシステムでは、新しいものが入ってくると古いものが押し出されて消えていく。あるいは別の言い方をすれば、古いものが消えてしまうから新しいものが入らざるを得ない。
子供が大人になるのは、この社会的ところてん式(push out)ないしストロー吸い上げ式(pull in)のシステムによる、といえるでしょう。

洛陽城東桃李花飛來飛去落誰家洛陽女兒惜顏色行逢落花長歎息今年花落顏色改明年花開復誰在已見松柏摧爲薪更聞桑田變成海古人無復洛城東今人還對落花風年年歳歳花相似歳歳年年人不同寄言全盛紅顏子應憐半死白頭翁此翁白頭眞可憐伊昔紅顏美少年公子王孫芳樹下清歌妙舞落花前光祿池臺開錦繍將軍樓閣畫神仙一朝臥病無人識三春行樂在誰邊宛轉蛾眉能幾時須臾鶴髮亂如絲但看古來歌舞地惟有黄昏鳥雀悲(六七五年頃 劉希夷「代悲白頭翁」)。

常備軍は常に新兵を補充しなければなりません。それをしないと軍隊が高齢化し経年劣化してしまうからです。生物体の新陳代謝と同じです。会社は新入社員を募集する。大家族は新生児を求めます。そのために嫁入り(あるいは婿入り)を奨励する。
各地域の結婚式場や教会に親族や職場の仲間が集まって盛大に結婚式が行われるのは、もちろん両性の合意によるところでありますが、ところてん押し出し(push out)やストロー吸い上げ(pull in)による社会システムの圧力を儀式化する必要が背景にあるからでしょう。

思春期の子供は自身も大人になりたいと思っているでしょうが、直接の行動を促すきっかけとしては、大人の社会がそれを要求しているからという圧力が大きく働いています。思春期の子供は大人社会によるストロー吸い上げ式の吸引力によって子供状態から離脱していく、という社会力学が描けそうです。






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