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モブのボスはモブなのか(4)

2019-06-15 | yy69モブのボスはモブなのか

法や規則が遵守される社会である場合、そのルールに則って選挙などで統治権を得たものがボスになります。ルールで構成される統治構造の上でボスは動きますので、信頼性があり、責任は明確です。
つまり統治がうまくいくためにはボスがパワーを持つだけではなく、そのパワーを埋め込んだ統治構造、ガバメントシステムができている必要があります。封建システムとか独裁システムとか資本主義システムとか官僚システムとか、多国籍企業システムとか、それなりに安定して継続するシステムです。ボスがその上に座れる既存の統治システムがあればとてもよい。なければ自分で作らなければなりません。
統治システムを新しく作るのはとてもむずかしい。現実世界ではゲームのように簡単にできません。現存のシステムを壊して新しく持続可能な統治システムを現実に作ることは至難の業です。レーニンや毛沢東のような天才でも欠陥品しか作れませんでした。岩倉具視もまあ成功した天才的ボスでしょう。
革命を起こして新しいガバメントシステムを作る。強烈なパワーを身につけた天才ボスでなければできません。しかしパワーで統治権を奪うことに成功しても持続するシステムの構築はさらに難しいようです。徳川家康は持続する完璧な封建システムを作った天才です。
ボスが持つべきものはパワーとシステム。君主に必要なものは軍隊と法である、と昔の賢人は書いています(一五三二年 ニコロ・マキアヴェリ「君主論」)。君主論で称賛されているスペイン王国の創始者フェルナンド二世(一四五二年ー一五一六年)は休みなく対フランス戦、対ポルトガル戦、カスティーリャ統一戦、グラナダイスラム王国殲滅戦、再度フランス戦、ナポリ平定戦など戦争に次ぐ戦争を起こし、その過程で最強の軍隊を育て豪族たちを自分の封建システムに組み込んでいきました。戦争が王のカリスマ性と統治の大義を正当化する、とマキアヴェリは書いています。







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