それを超えて美に参与する 福原信三の美学 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現存する日本最古の画廊、資生堂ギャラリーが、
来年2019年に、なんと開廊100周年 (!) を迎えます。
それを記念して開催されているのが、
資生堂ギャラリーの創設者であり、資生堂の初代社長である福原信三を主役に据えた特別展。
その名も、“それを超えて美に参与する 福原信三の美学” です。




実業家にして、アマチュア写真家の第一人者。
これまで、そのような観点でしか紹介されてこなかった福原信三ですが。
社会をより良い美しいものに変革していこうと、社会創造に積極的に関わった人物でもありました。
その活動は、最近、現代アート界で注目を集めている、
『ソーシャリー・エンゲイジド・アート (SEA)』 に通ずるものがあります。
(SEA・・・現実社会に積極的に関わり、人びととの対話や協働のプロセスを通じて、何らかの社会変革をもたらそうとするアート活動)

そんな福原信三の新たな一面にスポットを当てるべく、
現在、社会創造的な活動で世界中から熱い視線を浴びている2つのチーム、
ASSEMBLE (アッセンブル) とTHE EUGENE Studio (ザ・ユージーン・スタジオ) が招聘されました。
100年前に福原信三が思い描いたビジョンを、
ミレニアル世代の彼らが現代的な方法で、資生堂ギャラリーに再現しようというのが今回の展覧会です。
ちなみに、ASSEMBLEは、イギリスの若き建築家集団。
2015年にはもっとも権威のある現代美術賞の一つであるターナー賞を受賞しています。
一方のTHE EUGENE Studioは、日本の次世代アーティスト集団。
先日、NHKの 『探検!バクモン』 でチームラボとともに特集を組まれていたばかり。
世界中から引っ張りだこの2チームがコラボするだけでも、かなり奇跡的なことといえるでしょう。


さてさて、具体的に、会場はどのように変化したのでしょうか?
ASSEMBLEとTHE EUGENE Studioのコラボによって、
普段は、ホワイトキューブである資生堂ギャラリーの空間が・・・




ウッディなカフェのような空間に!

銀座の地に、人々が出会い、自由に対話することができ、
価値観を共有したり、感化しあえるようなオープンな場を提供しようと、
資生堂パーラーや資生堂ギャラリーを創設した福原信三。
その理念を現代に蘇らせようとしたのが、今回のコンセプトなのだそう。
”カフェのような” ではなく、実際にカフェとして機能しており、
今回の展覧会に限り、来場者には、無料でコーヒーが提供されるのです。

周囲の棚には、資生堂や資生堂ギャラリーに関する資料や、





福原信三の写真作品や写真集などが飾られています。





来場者は、それらの展示品を眺めながら、コーヒーを飲んだり、対話を楽しんだり。
いつになくゆったりした気分が味わえる展覧会となっています。
また、交流の場としての役割を果たすため、
会期中には、不定期でミニトークショーやワークショップが開催されるそう。
日程など詳細が決まり次第、HP等で発表されるそうです。
どのタイミングで投入されるか、まだ未定なのですが、
僕もミニトークショーのゲストの一人として、お呼びがかかっております。
日程が合いましたら、是非。

ちなみに、そういう特別なイベントのときに限り、




ASSEMBLEがイギリスでのワークショップで制作したマグカップでコーヒーが提供されるそうです。
通常は棚に飾られているだけのマグカップ。
使ってみたい方は、公式イベントをチェックしてみてくださいませ。


記念すべき100年目の展覧会に、
普通のアーカイヴ展ではなく、あえてチャレンジングな展覧会に挑んだ資生堂ギャラリー。
今から200年目の記念展が楽しみです。
星星




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