クマのプーさん展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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『クマのプーさん』は、ディズニーが生んだキャラクター。

そう思っている方も、少なくないでしょうが (←かくいう僕もその一人)。
実は、イギリスの作家A.A.ミルンによって、
1926年に発表された児童文学『クマのプーさん』が、そのオリジナル。
息子であるクリストファー・ロビンに語るスタイルで書かれました。


A.A.ミルン、クリストファー・ロビン・ミルンおよびプー・ベア、ハワード・コスター撮影、1926年
© National Portrait Gallery, London.



そんな原作の『クマのプーさん』の魅力を高めているのは、
何と言っても、E.H.シェパードによって描かれた愛らしい挿絵でしょう。


E.H.シェパード、 ハワード・コスター撮影、1932年、ノラ・シェパード夫人より寄贈 © National Portrait Gallery, London.


そのE.H.シェパードによる『クマのプーさん』の原画を、
世界最大規模で所蔵しているヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)にて、
2017年12月に、大規模な“クマのプーさん展”が開催されました。
イギリスの国民的童話の原画展とあって、大盛況。
さらに、その後、ボストン、アトランタと、
アメリカを巡回し、それぞれで大きな反響を巻き起こしたそうです。
そんな“クマのプーさん展” が、ついに日本初上陸!
4月14日まで、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。なお、一部は撮影可です)


「あれっ?Hallo?『Hello』の間違いでは??」

そう思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、
原作の『クマのプーさん』的には、こちらが正解です。
『クマのプーさん』に登場するキャラクターたちは、
このように言葉の間違いを、たびたびしてしまうのだとか。
そうしたA.A.ミルンの言葉遊びもまた、原作の一つの魅力なのです。

と、このように、原作の世界観を大切にしている今回の展覧会。
それ以外にも、会場の随所に、原作をイメージした演出が施されています。





展覧会場というよりも、ディズニーの新アトラクションのよう。
例え、展示品を観なくても、
ただここにいるだけで、ウキウキすること請け合いです。
とは言え、もちろん『クマのプーさん』の原画は、絶対に見逃してはなりません!


「バタン・バタン、バタン・バタン、頭を階段にぶつけながら、クマくんが二階からおりてきます」、『クマのプーさん』第1章、
E.H.シェパード、鉛筆画、1926年、V&A所蔵 © The Shepard Trust



「ハチのやつ、なにか、うたぐってるようですよ」、『クマのプーさん』第1章、
E.H.シェパード、鉛筆画、1926年、V&A所蔵 © The Shepard Trust



来日中のこれらの貴重な原画は、非常に大切に保管されており、
2年公開すると、その後10年は非公開にするルールが採用されているのだとか。
つまり、少なくとも向こう10年間は目にすることが出来ません。
そして、10年後、再び来日してくれる保証はどこにもありません。
展覧会のラストに、こちらのセリフが引用されていましたが・・・




次に原画と会えるのは、
“ぼくが百になった時”という可能性も大いにあり得ます。
是非、その目に焼き付けておきましょう!

また、原画以外にも貴重な資料が数多く来日中。
1926年に発刊された初版本や、




原作者A.A.ミルンの家族写真、




さらには、プーさんと仲間たちのモデルとなったぬいぐるみ(複製)もありました。




さてさて、今回の展覧会を通じて、
何よりも目を奪われたのは、E.H.シェパードの類稀なる素描力。


「プーとコブタが、狩りに出て…」、『クマのプーさん』第3章、
E.H.シェパード、ペン画、1926年、 クライブ&アリソン・ビーチャム・コレクション © The Shepard Trust



意外なことに、そのほとんどはシンプルな表情をしています。
しかし、どの挿絵ももれなく、ちゃんと可愛いのです。
しばらくして、その理由に、はたと気が付きました。
それは、仕草や動きの可愛らしさ。
サラサラっと描いているようなのに、
のっそりとした動き、コロンとした動き、
ドテッとした動きなどが、きちんと伝わってくるのです。
今まで数多くの素描作品を観てきましたが、
これほどまでに食い入るように鑑賞したのは、初めてかもしれません!
単に人気のキャラクターの原画だから、ではなく、
一つの芸術作品として観るべき価値のある素描でした。
クマのプーさんファンだけでなく、
アートファンなら抑えておきたい展覧会です。
星星


ちなみに、展覧会では、
日本版やロシア版のプーさんも紹介されていました。




ロシア版のプーさんは、クマというよりもタヌキです。
これらでは、絶対に世界的な人気キャラクターになっていなかったでしょう。
改めて、E.H.シェパードの非凡な才能を実感させられました。


展覧会を見終わった後には、
もう一つのお楽しみ、グッズコーナーが待ち受けています。





会場限定グッズは、なんと約200点!
マグカップにトートバッグに初版本をイメージしたノートに、はちみつに。
可愛らしいグッズの数々に、頬も財布の紐も緩むこと必至です。


 ┃会期:2019年2月9日(土)〜4月14日(日)
 ┃休館日:2月19日(火)、3月12日(火)
 ┃会場:Bunkamuraザ・ミュージアム
 ┃
https://wp2019.jp/


~読者の皆様へのプレゼント~
こちらの “クマのプーさん展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、2月25日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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