新・無料で観れる 美術百選 《日本特殊陶業市民会館(愛知県名古屋市)》 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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名古屋市の金山駅に隣接する名古屋市民会館。




その愛称に関しては、2007年より、
命名権 (ネーミングライツ) が導入されたそうで。
同年には 「中京大学文化市民会館」 に、
2012年からは 「日本特殊陶業市民会館」 という愛称で呼ばれているそうです。

そんな日本特殊陶業市民会館の1階ロビーには、
おそらく、たまたまなのでしょうが、20世紀を代表する陶芸家の作品があります。
その陶芸家の名は、加藤唐九郎。
いわゆる永仁の壺事件 (※) を起こしたせいで、
人間国宝の中で唯一取り消しを喰らったことでも知られる人物です。

 永仁の壺事件とは?
  昭和34年。『永仁二年』 の銘をもつ瓶子が、鎌倉時代の名品として重要文化財に指定される。
  しかし、その直後から、ニセモノなのではないかという声が一部であがっていたのだそう。
  疑念はくすぶり続け、2年後に事態は急展開を迎える。
  当時人間国宝であった陶芸界の重鎮・加藤唐九郎が、
  「あの瓶子は、正真正銘、私が昭和12年ごろに制作したものだ」 とカミングアウトしたのである。
  これにより、重文指定を推薦していた文部技官は引責辞任。
  加藤唐九郎も人間国宝を解除されることとなった。
  日本美術史に残る “加藤の乱” である。



そんな加藤唐九郎による作品が、こちら↓




この壁一面が、なんと陶芸作品です。
陶芸と建築の融合を目指した加藤唐九郎。
彼は自身で “陶壁” と命名したこのような作品を、いくつか制作しているようです。




新・無料で観れる 美術百選 091  加藤唐九郎 《蓬ヶ原》


大きさはもちろん、表面の荒々しさも加わって、実にダイナミックな作品です。
・・・・・・・が、そんな作品の印象とは対照的に、キャプションは超控えめ。




定礎の文字よりも小さかったです。
《蓬ヶ原》 が制作されたのは、昭和47年。
永仁の壺事件の後です。
どうやら日本は一度罪を犯した人に厳しい国なのかもしれません。


ちなみに、日本特殊陶業市民会館の外観を飾る志野の陶壁。




実は、これらも加藤唐九郎の作なのだそうです。
しかし、探せども探せども、キャプションは見つからず。

・・・・・・・・・・・・。

やはり日本は一度罪を犯した人に厳しい国なのかもしれません。


<無料で観れる美術 データ>

日本特殊陶業市民会館

住所:愛知県名古屋市中区金山1-5-1
アクセス:○JR、名鉄、名古屋市営地下鉄 「金山駅」 より徒歩5分




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