竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

今、日本を代表するクールな工芸品として、
世界中から熱い注目を集めているのが、竹工芸です。
2017年には、あのメトロポリタン美術館で、
NY在住のアビー夫妻が収集した世界屈指の竹工芸コレクション、
通称アビー・コレクションを紹介する展覧会が開催され、47万人以上を動員したそう。
竹工芸は今、まさに破竹の勢いで世界的なムーブメントとなっているのです。

そんなメトロポリタン美術館で大きな話題となった展覧会、
“Japanese Bamboo Art: The Abbey Collection” が、なんと東京国立近代美術館工芸館に凱旋中。
その名も、“竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション―メトロポリタン美術館所蔵 です。




ちなみに、東京国立近代美術館工芸館は、
来年に金沢へ移転することが決定しています。
つまり、この展覧会が、東京でのラストを飾る企画展なのです。


出展されている竹工芸品は、75点。
アビー・コレクションの中から厳選された名品ばかりが、初の里帰りを果たしています。





生野祥雲斎や初代田辺竹雲斎、飯塚琅玕斎らといった人間国宝の作品もあれば、




現在第一線で活躍するトップランナーたちの作品も。




竹工芸界を代表する作家が揃い踏み。
言うなれば、竹工芸界のFNS歌謡祭のような展覧会です。
さらに、今回は、東京ver.として、
東京国立近代美術館工芸館のコレクションと併せて展示されています。





思わずハッとさせられたり、ニヤッとさせられたり。
そんな意外なコラボレーションも楽しめる内容となっていました。
さすが、竹工芸界のFNS歌謡祭です。
星星


さてさて、今回出展されていた竹工芸作品のすべてに言えるのですが。




作品をどれだけマジマジと見つめても、
何がどうなって、何をどうしたら、このような造形が完成するのか、まったく想像がつきません。
もはや手品を見させられているような心境になります。

阪口宗雲斎の 《果物籃 水月》 は、特に理解不能 (←誉め言葉です!) な作品。




両側に節があるので、おそらく節と節の間を細かく裂いているのでしょう。
で、そこに織物の要領で、別の竹を織り込んで模様を作っている・・・・・はず。
僕の頭では、それ以上何もわかりません。
超絶的な技巧を駆使して、作品を完成させてしまったことも驚きですが、
そもそも、こうしたらこういう作品が作れると、発想できること自体が驚きです。
竹工芸の作家のIQは、どうなっているのでしょうか??


ちなみに、どの作品も印象的だったのですが、
今回の展覧会を通じて、何よりも印象的だったのは、竹工芸作家の名前。
田辺竹雲斎、前田竹房斎、山本竹龍斎、植松竹邑さん、藤塚竹星さん… etc
「竹」 が付く人が多かったです。
さらに、「竹」 の一字ではなくても、
門田二篁、塩月寿籃、末村笙文、岐部笙芳さんのように、竹冠の漢字が付いたパターンも。
竹工芸作家は、やっぱり竹が好きなのかもしれません。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ