おばちゃんファッションっぽい絵画コレクション | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

絵画を見ている時、ごくたまに、こんな風に思うことがあります。

“この絵画、おばちゃんファッションっぽいなァ”

と。


例えば、モネの 《睡蓮》




印象派を代表する画家クロード・モネの傑作のひとつです。
知られているだけでも、モネは200点以上の 《睡蓮》 を描いていますが、
その中でも特にこの国立西洋美術館が所蔵する 《睡蓮》 は、おばちゃんファッションっぽいですよね。



・・・・・・・・えっ、ちょっと何言ってるかわからない?
それは、大変失礼いたしました。
おばちゃんファッションっぽいことが伝わるように、こんなものを用意してみました。




で、コレを先ほどの絵に重ねてみます。
すると・・・・・




おばちゃんファッションっぽくなりましたよね。
スナック 『睡蓮』 のママが着ていそうな感じがします。
おそらく、生地は別珍でしょう。


また例えば、カンディンスキーによる 《コンポジションVII》




抽象画の生みの親ワシリー・カンディンスキーによる抽象画の名作です。
時々、美術館の中で、抽象画の前に立って、
「抽象画ってよくわからないわ」 と嘆いているおばちゃんを見かけますが。




「いやいや、そういう服を着てますよ!」 と声をかけたくなります。
抽象画を着こなせるなんて、大したものです。

ちなみに、カンディンスキーと同時代の画家で、
“熱い抽象画” とされるカンディンスキーに対し、“冷たい抽象画” とされるピエト・モンドリアン。




彼のスタイルは、まったくおばちゃんファッションっぽくありません。
むしろ、その逆。
現在でも、たびたびモードとして取り入れられています。
ところが、意外と知られていませんが、
このスタイルに辿り着く前のモンドリアンの作風は、かなり地味。




だいぶおばちゃんファッション感があります。




色味的にはおばちゃんというよりも、おばあちゃんファッションです。
巣鴨感 (?) が醸し出されています。


さてさて、ここからはテンポよく紹介していきましょう。
まずは、戦後を代表するフランスの画家ベルナール・ビュフェ。




鋭くとげとげしい黒い線が特徴的です。
絵として観る分には、その黒い線がカッコイイのですが。




服の柄になると、途端になんかダサくなってしまいます。
ベルナール・ビュフェというサインが、
そういうブランドのロゴに見えてきました。


続いて、元祖ヘタウマ画家として知られるアンリ・ルソー。





そのシュールな作風といい、色合いといい、要素が渋滞してる感じといい。
トータル的に見て、おばちゃんファッション以外の何者でもありません。
もはや、もともとこういうおばちゃんファッションがあって、
それをアンリ・ルソーが絵画化したような気さえしてきました。


1960年代に一世を風靡したオプ・アート。
こちらも、おばちゃんファッションっぽい絵画です。




オプ・アートとは、錯視や視覚の原理を利用し、
立体的に見えたり、チカチカしたり、動いたりしているように感じられる絵画のことです。




誰も着ていない状態なのに、立体感が感じられます。
しかも、着ているのは、モデルではなく、きっとおばちゃん。
オプ・アート効果、恐るべしです。


・・・・・と、ここまで西洋の絵画ばかり紹介してきたので、
最後は、おばちゃんファッションっぽい日本画も紹介いたしましょう。
おばちゃんファッションといえば、
ゴールドではなく、シルバーでキラキラとしているイメージ (※個人の感想です)。
そういう意味では、銀箔を駆使した酒井抱一の 《夏秋草図屏風》 なんか、それっぽいです。




今はだいぶ落ち着いてしまっていますが、もともとは、もっとキラキラ。
そう想像すると、ただのおばちゃんではなく、
ハイソなマダムが着ていそうな感じがしてきました。
もしくは、美川憲一とか。
肩に流れる水流が、普通にオシャレです。


ちなみに、これまで数多くの絵画を目にしてきましたが、
その中で僕がもっともおばちゃんファッションっぽいと思った、
『King of おばちゃんファッションっぽい絵画』 が、こちら↓




戦前の京都画壇を代表する大家・竹内栖鳳の 《大獅子図》 です。
もうこの時点で、おばちゃんファッションっぽく見えていると思うのですが、念のため。




たぶん気のせいなのでしょうが。
どこかの商店街で、この服がディスプレイされていたような記憶があります。
しかも、上の方に吊されていたような。


美術界には、まだまだおばちゃんファッションっぽい絵画はあります。
もし美術館でおばちゃんファッションっぽい絵画に出合ったら、是非、ご一報くださいませ。




1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ