金文―中国古代の文字― | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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2002年に六本木一丁目の地に、
京都の⿅ヶ⾕にある泉屋博古館の東京館として開館した泉屋博古館分館。
2020年1月より、増改築の改修工事のため、
約2年間にも及ぶ長期休館期間に突入してしまいます。

そんな休館前ラストを飾るのは、泉屋博古館の所蔵品の中でも、
特に世界的にも名高い中国古代青銅器コレクションが一堂に会した展覧会です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)


さらに、黒川古文化研究所と台東区立書道博物館の中国古代青銅器の名品も集結!
休館前ラストの展覧会に華を添えています。


ただし、今回の展覧会。
中国古代青銅器の名品がズラリと並んではいるものの・・・・・


《宰椃角》 商後期(前11世紀) 泉屋博古館


一般的な中国古代青銅器の展覧会とは違い、その個性的なフォルムや、
表面全体をびっしり緻密に埋め尽くす紋様には、まったく触れられていません。
“金文―中国古代の文字―” と題された、
今回の展覧会でスポットが当てられているのは・・・・・


《宰椃角(部分)》 商後期(前11世紀) 泉屋博古館


表面に見える中国の古代文字、金文です。
青銅 (=金) に鋳込まれた文字だから、金文。
「かなぶん」 でなく、「きんぶん」 です (←一応、念のため)。

三千年以上前に誕生したとう金文は、
言うなれば、 “漢字の祖先” とも言うべき文字。
金属に鋳込まれているがゆえ、紙に書かれたものと比べて、
ほぼ100%そのままの形で、古代人が書いた文字が現代に伝わっています。
それゆえ、極めて貴重な資料とされているのだそうです。




さてさて、長い年月の間に、全体がほぼ緑色に変色してしまった青銅器。
どのあたりに、どんな金文が鋳込まれているのか、素人目にはイマイチよくわかりません。
でも、どうぞご安心を。




ちゃんと写真パネルにて、金文が目立つように紹介されています。




青銅器そのものも、もちろん美術品ですが、
写真家によって撮影されたこれらの写真パネルもまた美術品でした。


さてさて、金文で使われている文字の中には、
現代は使われていないものもあるのだそうです。
それだけに、キャプションには、
《亞𡩜夫鼎》「𡩜」 (げん) であるとか、


《亞𡩜夫鼎》 商後期(前12~前11世紀) 泉屋博古館


《虢叔旅鐘》「虢」 (かく) であるとか、


《虢叔旅鐘》 西周後期(前9~前8世紀) 泉屋博古館


人生において一度も目にしたことがない漢字が多く登場しました。
特に印象的だったのは、《ヒョウ羌鐘(第一器)》 の 「ヒョウ」 という一字。


《ヒョウ羌鐘(第一器)》 戦国前期(前5~前4世紀) 泉屋博古館


難しすぎて、パソコンでは変換できないようです (汗)
漢字にすると、以下のようになります。




『广』 、家屋の中に、馬がギッチギチ。
一体どんな状況なのでしょう。。。


字として認識できない字は、もはや絵 (←?)。
いわゆる書や古文書の展覧会とは違って、
字を読んで楽しむのではなく、字の形を眺めて楽しむタイプの展覧会です。
また、全体像よりも、金文が主役の展覧会であるため・・・・・




普段の展示では閉められている蓋が、パカッと開けられていました。
中国古代青銅器の中が見られるまたとない機会ですよ。
星


ちなみに、古代青銅器といえば、
泉屋博古館コレクションでも屈指の人気を誇る青銅器 《虎卣》
それをモチーフにした和三盆製の干菓子が、ミュージアムショップで販売されていました。




館の人の話によると、なんでも本館である泉屋博古館で2年前より販売され、
大人気の商品とのことで、ついに今回から分館でも販売されるようになったのだそうです!
なのに、来月からしばらく休館という。。。
展覧会もしばらく見納め。
干菓子もしばらく買い納め。
皆様、ラストチャンスを逃しませぬよう。




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