FACE展 2020 損保ジャパン日本興亜美術賞展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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日本初の高層階美術館として、1976年に開館した東郷青児美術館・・・改め、
安田火災東郷青児美術館・・・改め、損保ジャパン東郷青児美術館・・・改め、
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館は、今年5月にSOMPO美術館に生まれ変わります!
そんなブリ並に改名するSOMPO美術館は、生まれ変わるタイミングで、
損保ジャパン日本興亜本社ビル敷地内に建築中の新たな建物にお引っ越し。




つまり、42階にある美術館スペースは、これで見納め。
42階の高さから一望するこの都心の眺めも、これで見納めとなります。




そんな現在の場所でのラストを飾るのが、
”FACE展 2020 損保ジャパン日本興亜美術賞展” という展覧会です。




年齢関係なし。所属関係なし。
未発表の平面作品であれば、基本的に何でもありのガチンコバトル的な公募コンクール。
それが、”FACE” です。
8回目となる今年は、全国各地津々浦々、
若手からベテランまで、幅広い年齢層の875名の新進作家たちがエントリー。
その中から入選した71点が会場で紹介されていました。
星


松浦清晴さんの 《身体記》 や、


優秀賞 松浦清晴 《身体記》 2019年 アクリル・キャンバス 162×130.3cm


齋藤詩織さんの 《女狩人のごちそう》 をはじめ、


優秀賞 齋藤詩織 《女狩人のごちそう》 2019年 油彩・キャンバス 162×194cm


優秀賞を受賞した作品は、4点ありましたが、
グランプリ受賞作は、なんと ”FACE” 8回目にして初の該当無し。
42階のフィナーレを飾る展覧会だとしても、そこは手心一切なし。
”FACE” がいかにガチンコなのかを、実感させられます。

ちなみに、優秀賞の作品の中で、
個人的に印象に残ったのは、大槻和浩さんの 《明日を見つめて》 です。


優秀賞 大槻和浩 《明日を見つめて》 2019年 アクリル・キャンバス 162×194cm


薄ボンヤリした画面の向こうから、こちらを見つめる謎の人物。
何かを訴えかけているようでもあり、
特に何も考えていないようでもあり。
向かい合えば向かい合うほど、この人物のことが気になってきます。
どうでもいいですが、しばらく見つめ返していたら、大鶴義丹さんに見えてきました。


また優秀賞以外で印象に残ったのが、
審査員特別賞受賞の木村不二雄さんの 《崖屋美術館》


審査員特別賞 木村不二雄 《崖屋美術館》 2019年 ろうけつ染(墨)・綿布 112×162cm (審査員:堀 元彰)


画面に近づいてみると、フェルメールにゴッホにピカソに、
古今東西の名画のモチーフが、所狭しと描かれているのが見て取れます。




そういった 『びじゅチューン』 的世界観を狙った絵画なのかと思いきや。
実は、絵画ではなく、ろうけつ染 (=染めない部分に鑞を塗って染料をはじく技法) で制作された染物とのこと。
染物でこれほどまでに細かい表現が出来るだなんて。
思わず二度見三度見してしまいました。

また、同じく審査員特別賞受賞の檜垣春帆さんの 《ライツ・ライト》 も印象的な一枚。


審査員特別賞 檜垣春帆 《ライツ・ライト》 2019年 油彩 ・ ペンキ・キャンバス 130×162cm (審査員:椿 玲子)


正直なところ、パッと見ただけでは、
何が描かれているのか、まったくわからなかったのですが。
しばらく向き合っていたところ、
一人の人物 (おそらく女性?) の立ち姿を、
少し上から俯瞰的に描いている絵であることが判明しました。
黒い部分は影を表現していたのですね。
ちょっとしたアハ体験でした。


なお、展覧会の会期中、
観覧者投票による 「オーディエンス賞」 の選出が行われるそうです。




「オーディエンス賞」 の栄光を勝ち取るのは1点のみ。
もちろん、優秀賞や審査員特別賞を受賞していない、
ノーマークの入選作が選ばれる可能性も大いにあります。
それを決めるのは、会場を訪れた皆さまです。

個人的オーディエンス賞は、任田教英さんの 《星天停止》 でしょうか。





任田さんは、子どもの頃に遊んだファミコンに着想を得て、
ドットをモチーフに作品を制作するアーティストなのだとか。
新しいのに、懐かしい。
不思議な味わいの作品でした。
ちなみに、ドットは一つ一つ手描きとのこと。
若冲の升目描きを彷彿とさせるものがあります。


それと、小久保拓実さんの 《岐路にて》 にも個人的オーディエンス賞を。




ウサギの着ぐるみの中の人に何があったのでしょう・・・?
だいぶ不穏な空気が漂っています。
「もうウサギなんかやってられっか!」 と、
衝動的にウサギの頭を外してしまったのかもしれません。
ウサギを続けるか否か。
まさに、岐路に立たされているのでしょう。


 ┃会期:2020年2月15日(土) 〜3月15日(日)
 ┃会場:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
 ┃
https://www.sjnk-museum.org/program/current/6138.html

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なお、〆切は、2月29日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。




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