エントリーNo.0006 DIVISION(スーラ シニャック) | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

もしも、芸術家たちが漫才をしたら・・・

こんな感じのネタを披露するのかもしれません。
それでは、皆様、どうぞ芸術漫才をお楽しみください!




スーラ 「いえーーー!スーラ [1] と・・・」

シニャック 「シニャック [2] で・・・」

スーラ 「DIVISIONです。シクヨロです」

シニャック「ヨロタノです」

スーラ 「あのさー」

シニャック「どうしたどうした?」

スーラ 「印象派 [3] ってあんじゃん?」

シニャック 「あー、あのマブい絵描くグループね」

スーラ 「あれよりもさらにマブい絵を描けたら、
    ムーブメントを起こせるんじゃねぇかと思う今日この頃の俺だ」

シニャック 「いえーーー!」

スーラ 「早速だけど、お前、光の三原色って知ってる?」

シニャック 「シルバーにシャンパンゴールドに」

スーラ 「違ぇよ!レッド、ブルー・・・」

シニャック 「翼を授ける?」

スーラ 「エナジードリンク関係ねぇし!レッド、ブルー、グリーンな」

シニャック 「それな」

スーラ 「じゃあ、その3つを混ぜるとどうなるよ?」

シニャック 「スムージーの完成なり」

スーラ 「どんな混ぜ方してんだよ!白になんだよ」




シニャック 「なるほどバシカメラ」

スーラ 「んじゃさ、色の三原色は?」

シニャック 「やっぱレッド、ブルー、グリーンじゃねぇの?」

スーラ 「じゃなくて、シアン、マゼンタ、イエローなんだわ」

シニャック 「なんかイエローだけ浮いてね?」
    
スーラ 「お前のその感覚よくわかんねぇけど。とりま、この3つを混ぜるとどうなるよ?」

シニャック 「スムージーの完成なり」

スーラ 「いい加減スムージーから離れろよ。黒になんだよ」




シニャック 「えっ?ちょい待ち。俺スゲぇことに気づいちゃったんだけど」

スーラ 「何だよ?」

シニャック 「てことは、マブい光の色を再現しようとして、
      絵の具をガンガン混ぜると、白じゃなくて黒になっちゃう的なテキーラ?」

スーラ 「間違いナイトプール」

シニャック 「それじゃ、光を絵の具で表現するなんて、やばたにえんのムーリー春雨じゃね?」

スーラ 「いや、それを解決したのが、印象派のパイセンたちなわけよ。
    色をパレットで混ぜずに、原色のままキャンバスにオンしたわけ [4]




シニャック 「やべぇ!これなら脳内で色が混ざるから、めちゃマブいじゃん!」

スーラ 「で、俺は思い付いちゃったんだけど」

シニャック 「何なに?」

スーラ 「印象派のパイセンたちよりも、筆触をもっとDIVISION、
    つまり、分割しちゃえば、さらに画面がマブくなるんじゃねぇの?って」

シニャック 「マジ天才じゃね?」

スーラ 「そうと決まったら、ひたすら点を描いてくしかないっしょ」

シニャック 「点をpon pon pon!」

スーラ 「で、完成したのが、この絵 [5] よ。めちゃめちゃマブくね?」




シニャック 「バイブスいと上がりけり!」

スーラ 「だべ?」

シニャック 「印象派を超えて、ネオ印象派 [6] を名乗っちゃおうぜ」

スーラ 「それ、最&高!」

シニャック 「ところで。この絵をるっきんぐしたピーポーは、やっぱ 「いいね!」 したわけ?」

スーラ 「別にインスタにあげてねぇし!
    てか、褒められるどころか炎上なうだし。
    『下手くそwww』 とか 『でけぇだけでチャラい絵だ』 とか」

シニャック 「それはアチャーだな。原因はあれじゃね?」

スーラ 「何だよ?」

シニャック 「描くなら、《グランド・ジャット島の金曜日の深夜》 のが良かったんじゃね?
      ぜってーオールのが盛り上がるっしょ?」

スーラ 「パリピかよ!そんなわけねぇだろ!」

シニャック 「そんじゃ、何が原因だったんだよ?」

スーラ 「カフェの1室に展示したんだけど、スペースが広くなくて」

シニャック 「狭スギ薬局」

スーラ 「絵と距離を置いて鑑賞できねぇから、マジよくわかんなかったらしい」

シニャック 「近くで観ると、ただの点だもんな。
      距離が必要だったなんて、盲点だったべ。点だけに」

スーラ 「お後がHere we go!」

2人 「あざましたー!」


[1] ジョルジュ・スーラ (1859~1891)
印象派の絵画の技法に光学的理論を取り入れて、点描で絵を描く手法を完成させた人物。
31歳という若さでこの世を去っているが、死因は謎。
謎といえば、秘密主義を貫いていたようで、私生活を他人に話すことはなかったそう。
実の母親でさえも、スーラと内縁関係にあった女性との間に生まれた子どものことはしばらく知らなかったとか。

[2] ポール・シニャック (1863~1935)
短命だったスーラに代わり、彼の点描主義を発展させた人物。
1909年から25年に渡ってアンダパンダン展の会長を務めるなど、美術界に大きな貢献を残した。

[3] 1860年代半ばにフランスで起きた芸術運動。超ざっくり言うと、光や空気の変化を表現しようとした芸術運動。

[4] この技法を、「筆触分割」 と呼ぶ。または、「色彩分割」 とも。

[5] 《グランド・ジャット島の日曜日の午後》
パリのセーヌ川に浮かぶ中州グランド・ジャット島で夏の一日を過ごす人々を描いた傑作。
大きさは、縦約2m×横約3m。スーラは完成までに約2年を費やした。

[6] 英語では、neo-impressionism。日本語では一般的に、「新印象派」 と訳される。





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