ドレス・コード?─着る人たちのゲーム | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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本来ならこの春に東京オペラシティアートギャラリーにて、

開催予定だった “ドレス・コード?─着る人たちのゲーム”が、会期をズラして開催されています。

 

 

 

こちらは、京都服飾文化研究財団 (KCI) の衣装コレクションを中心に、

森村泰昌さん、青山悟さんらの現代アーティストの作品やアニメ、映画ポスターなどを交えて、

「現代における新たな 〈ドレス・コード〉 とは何か?」 を考えようという展覧会です。

 

 

・・・・・・・・と紹介してしまうと。

なんだか小難しい展覧会のような印象を受けますが。

18世紀の宮廷服を皮切りに、

 

 

 

20世紀初頭の紳士服やシャネルスーツ、

さらには、2018年春夏に発表されたコム・デ・ギャルソンのドレスなど、

 

 

 

約300点の華やかなファッションが会場を埋め尽くす光景は、ただただ圧巻。

ファッションに興味がある人はもちろん、

興味がまったく無いという人でも、理屈抜きで楽しめることでしょう。

 

 

今展では、特に繰り返し言及されていたのが、ファッションに関するある法則。

それは、ある特定の用途 (コード) で着用されていた衣服は、

次第にそのもともとの意味を喪失し、ファッションの一ジャンルとして広く定着していくというものです。

例えば、デニム。

もともとは労働着でしたが、今ではすっかり、

労働とは関係なく、ファッションアイテムの代表格として市民権を得ています。
また、軍服から生まれたものとして、カモフラージュ柄が紹介されていました。

サバゲーをする人もカモフラ柄を着ていますが、

現代ではほとんどの人が何気なく、カモフラ柄を身に付けていることでしょう。

ちなみに、実は、トレンチコートも軍服から生まれたものとのこと。

(「トレンチ」 とは 「塹壕」 の意味。ガンフラップやD鐶など軍服の名残のパーツが多々ある)

露出狂がトレンチコートを着ているのは、その名残なのかもしれませんね (←いや、違うだろ)。

 

特定のコードを無力化し、変容させていく。

もちろんファッションには意思はないのでしょうが、

どこか生命体のようにも思えてきて、ゾッとするものがありました。
きゃりーぱみゅぱみゅが 『ファッションモンスター』 と歌っていましたが、

もしかしたら、ファッションとは、本当にモンスターのような存在なのかもしれません。

そんなことを考えさせられる展覧会でした。

星星

 

 

なお、なんとなく想像が付くでしょうが。

会場に展示されているファッションはほとんどが、

おしゃれ上級者しか着こなせないような尖ったファッションです。

そして、僕が見た限りでは、展覧会を訪れていたお客さんの半数以上が、おしゃれ上級者でした。

普段着でふらっと訪れると、逆に浮きます (笑)

ご注意のほどを。

 

 

さてさて、そんなオシャレ満開な展示室を抜けた先に展示されていたのは、

写真家で編集者の都築響一さんがセレクトした様々な 《ニッポンの洋服》 でした。

 

 

 

ガルフィーを着こなすヤンキーや、インディーズの演歌歌手、

どこで売ってるのかわからないスーツを身にまとうスナックのママなど・・・・・、

 

 

 

独特のファッションセンスを発揮する人々が続々登場します。

さっきまであんなにオシャレな展覧会だったのに、いきなりの 『月曜から夜更かし』 テイスト。

急なシフトチェンジに、ただただ戸惑うばかりでした。

(作品としてはオモシロかったですが)

 

さらに、普段の東京オペラシティアートギャラリーの展覧会ですと、

特別展は1フロアで完結しているのですが、今展はなんと上の階にも続いていました。

 

 

 

演劇的なインスタレーション作品が2点出展されていましたが、どちらもなかなかのムズかしさ。

アート上級者でないと着こなせない作品です。





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