レジ袋有料化の件ではブログのコメント欄以外にもLINE等で様々な意見を伺いました。それを見て、私も少し考えを改めました。今までは「レジ袋有料化に納得がいかない」という事で、「とにかく反対」一本槍でしたが、ここはもう少し立ち止まって考えてみたいと思います。
そもそも、何故レジ袋有料化の話が出て来たかと言うと、海洋プラスチックゴミの問題があるからです。今や海洋に捨てられるプラスチックゴミは年間800万トンにも及びます。このままでは2050年には魚の数よりもプラスチックゴミの方が多くなってしまうと言われています。
しかも、海洋プラスチックゴミのほとんどは直径5ミリ以下のマイクロプラスチックとなって海に漂う事になります。それが魚の胃袋に入り、鳥の餌になり、やがて食物連鎖で人間の体内にも蓄積されていきます。
確かに、レジ袋のプラスチックゴミに占める割合はわずか0.3%です。しかも製造する際に有害物質は発生しないので、必ずしも環境に負荷がかかる訳ではありません。しかし、柔らかくて薄いので、他の素材よりマイクロプラスチックになりやすいとも言えます。それが体内に取り込まれてしまったら、ダイオキシンなどの有害物質と同じ悪影響を人体に与える事になってしまいます。
特に日本では、プラスチックのリサイクル率そのものは83%と比較的良好なものの、その58%がサーマルリサイクル、15%がゴミの海外輸出、14%が単純焼却や埋立などで、純粋なリサイクルはわずか13%ほどしかありません。
サーマルリサイクルというのは焼却処分の事です。プラスチックを焼却処分して、その熱を温水プールなどで利用しています。再利用の過程で二酸化炭素を放出し、地球温暖化に拍車をかけてしまっています。
ゴミ排出量の多い中国や東南アジアのプラスチックも、元はと言えば日本が海外に輸出したものです。
これだけ災害多発などで地球温暖化の弊害が大きくなってくると、もはやそんなリサイクルでは、地球環境を保全する事なぞ出来ません。今まで資源ゴミとして日本からプラスチックを輸入してくれた国々も、今後は環境規制が厳しくなり、今までのように受け入れてはくれなくなって来ています。
ゴミを減らす「リデュース(Reduce)」、モノを使い続ける「リユーズ(Reuse)」、再利用する「リサイクル(Recycle)」を総称して「3R」と言いますが、その中で最も大切なのは「リデュース」です。プラスチックゴミを大元から削減するには、「リサイクル」よりもむしろ「リデュース」(ゴミの総量削減)を推進すべきなのです。
それらの要素を考慮に入れると、たとえ個人の生活に多少の不便を来そうとも、ここはレジ袋有料化を受け入れるべきだと判断しました。レジ袋有料化反対キャンペーンについては、一旦終了させて貰います。
そして、レジ袋有料化に機械的に反発してしまった原因についても考えて見ました。
受動喫煙の害を避ける為に、禁煙化や分煙化が進む中で、それに反発する喫煙家の一部から「禁煙ファシズム」を非難する声が上がった事がありました。かつてナチスドイツや戦前日本が、戦争遂行の為に喫煙や娯楽を禁止した事を捉えて、それを国民統制のファシズムと非難したのです。
確かに、健康増進や環境保護が、その本来の趣旨から外れ、体制擁護の為にことさら強調された事が過去にありました。しかし、だからと言って、喫煙が身体に良い訳がありません。身体に悪い事は、誰が指摘しても身体に悪いのです。
私も、レジ袋有料化の矛盾が一人暮らしのワンルーム居住者に集中的に現れたのを見て、それを「弱い者イジメ」と短絡的に捉えてしまいました。
確かに、それは一つの矛盾ではあります。しかし、その矛盾だけを強調して、前述のプラスチックゴミ削減の意義まで否定してしまったのでは、「木を見て森を見ず」になってしまいます。
今後はそういう事のないように気を付けたいと思います。
スーパーが国策のレジ袋有料化を受け入れ、しかも、それまでエコバッグ持参者には2円値引きしていたのを、有料化後は5円でレジ袋を売りつける便乗値上げまで。
それに引き換え、その裏の和菓子屋は、商品買ってくれた客が希望すれば無料でレジ袋を配布。こうして得意客を増やす。これこそ真の商売人です。
私もこの和菓子屋で土佐のアイスクリンをずっと購入してきたよしみで、レジ袋を無料でお裾分けしていただきました。これで当分ゴミ袋には不自由しませんv。