メルセデスベンツは、ここ数年、日本の輸入車市場でトップを守り続けているブランドです。
最初は、VWの敵失だと思っていたんですけどね。
恐らく皆さんあの詐欺行為も喉元過ぎれば・・・と思っていたのですが・・・高級車が下々の者どもに向かって下ってきている(VWというよりもAudiの領域なんだろうけど)というところが、「日本の道にマッチした高級車」を求めている層にうまくはまる時期だったんだと思います。
「自分は高い物を今、手にしているんだ。」ということがそこここに溢れている緻密なデザインの車両です。
このドアノブの形状とかね。
トヨタ流に言うとスタビライジングフィンが装備されたドアミラーデザインとか。
パネル右側に装備されたライトシステムがね。
ああ・・・また、スイッチの文化が始まるんだな。と・・・
右側のレバーがATシフトレバーとなっている点は、先代を継承。
左のワイパー関係が・・・結局、最後まで分からなかった。間欠の間合いをどのように調整するのか。
運転席脇のボックスは、凝った動きをします。
で、ナビゲーションシステムが、あの憎悪のダイヤルシス・・・あれ?
タッチパッド・・・になってるんだね。
上に視線を向けると・・・
うん。いつも通りの3連の馬鹿でかい空調穴。
で、その下にズラッとボタンが・・・あれ?
なんか・・・日本車みたい。
すごくわかりやすい。ダイヤル式ではないんだけど、空調のボタンだけが集められていることが一目で分かる。
ん???
液晶・・・なん・・だ?これ。
え?
一枚パネルの横長大形液晶なのか?メータ類がすべて。
ダッシュボードの考え方がこれまでと全く違うじゃないか。
まず、この大きな液晶パネルありきの全体デザインになってる。
直射日光に晒される車のダッシュボードにモロに液晶筐体を晒すなんて・・・ただのメータの代わりなんだろう?この液晶?
ここからがレンタカー屋さんのレクチャーが長かった。
「昨日、引っ張られてきたばっかりの車両なんです。一緒に使い方を勉強しましょう。」
ドライブモードのセレクタースイッチは、これね。
まあ、この画面になるよね。
以前のデザインのままだよ。特に大きな液晶にしなくても・・・
ナビは、Apple CarPlayも接続できるようになっているのね。
あのタッチパネルで操作を始めたんだけど・・・大分後になって分かったんだけど、ダブルクリックの操作の仕方を私が間違えていた。
AppleのMagic Trackpadと同じ叩き方をしているとうまく操作できなかった。
「ナビは、車に話しかけて操作した方が早いです。Hey!Mercedes!」
は????
何を言ってるんだ?この人は???
かなりポカン。
だって・・・ナビの音声認識システムなんて、以前からあっただろう。なぜにSiriみたいに話しかける必要があるんだ?
「まあまあ。とにかく走りながら、今みたいに車に話しかけてみてくださいよ。色々。面白いですよ。この車。」
・・・何言ってるんだ?車は走らせることが一番面白いんだろう。と思いながら、レンタカー店をスタート。
すごくごついBピラーを持ち、サイドシルもこれまで通り深いボディなのですが・・・
ドアを閉めた瞬間に思ったのは、「あれ?今までのメルセデスベンツと違う・・・」
メルセデスベンツは、どの車両に乗っても、わざわざエンジンをかける必要がないんです。
ドアを閉めれば、「メルセデスベンツの世界」を知ることができます。
ドアを閉めた瞬間、「シーン・・・」
外の世界から遮断される感じがあるんです。
メルセデスベンツだけの世界。
他のどのメーカ、どの車両にも無い独特の「メルセデスベンツの世界」
ただ、この最新鋭のメルセデスベンツは・・・あまり外の世界を遮断している感じが・・・薄い。
気の・・・せいかな?
そう思いながら、運転開始。
気になったのは、ブレーキペダルとアクセルペダルの感覚が・・・Audi程では無いんだけど、ちょっと狭い・・・ここのところ、レンジローバー&ジャガーに乗り続けていたからかな?
ここ数年のメルセデスベンツは、ハンドルが軽くなってきているとは思っていましたが、さらに一段と・・・日本車を操作しているような感覚です。
ただ、高速道路では、日本車のハッチバックボディ車両群よりもずっと楽に運転ができます。
車体の上下動を押さえ込むセッティングは相変わらず(レンジローバーと比べると、だいぶ体に路面状況が伝わってきます。)、なにより基本的に「まっすぐ車体を進行させる」ステアリングセッティングになっています。
エンジンは特に感動する物は無くて、「ある一定のトルク範囲内を一生懸命ATシステムが変速している。」感じの周り方をします。
後席はこんな感じ。
わかりますか?シートバックが機能に裏打ちされているデザインであることが。
ISO-FIXアンカー装備車両なのですが・・・
他の車両であまり見られないデザインがてんこ盛りです。非常に細かく配慮されています。
ハッチバック車両の後席は、折りたためることを前提に処理されるはずなのですが・・・
この車両の場合、ホイールハウスとシート地、それにフロアをうまくつなぎ合わせる処理が施されています。
ゴルフバックは真横に置くことはできません。
大人3人でゴルフセットを3つ運ぶという感じになります。
このハッチゲートがね。
相変わらず、部品点数が多いというか、生真面目というか・・・
ゲート両端に手がかけられる構造になっている車両、初めて見ました。
この車両は、車そのものの仕上がりがいいのは相変わらずなのですが、電装品にその価値が盛り込まれている車両です。
わざわざサブバッテリーを搭載しなければいけない程のバッテリー消費量である理由は・・・
あの「Hey!Mercedes!」です。
ただのナビゲーション音声認識システムでは無かったです。
最初は、「窓を開けて」ってやってみたんです。
ちゃんと運転席側のガラス窓が開いた。
「全部の窓ガラスを開けて。」
「全部閉めて。」
「エアコンをつけて。」
「エアコンの温度を下げて」(少し下げて。だったかな?)
「ラジオをつけて。」
「FM78.0をつけて。」(これはすごい。ラジオ局名を言ったわけでは無く、Hzを指定したわけでも無い。)
「音量を上げて」
逆にできなかったことは、
「100km/hにセットして」
「オートクルーズをセットして」等々、「運転操作そのものに関わること」は、全く認識しなかった。
ダッシュボードのスイッチ類が急に日本車のような数になった理由が分かりました。
この優秀な音声認識システムに任せれば、コストと品質管理に手間がかかる、あのたくさんのスイッチがいらないんです。
しかも、大きな液晶パネルで、車両の様子を様々に示してくれる。
すごく面白かった。
「ひょっとしたら、これらの電装系の面白さは・・・納車されて、数日で慣れてしまうかもな。」とも思いながら・・・
冒頭の話に戻りますが、メルセデスベンツが輸入車市場のトップブランドになったのは、「憧れの車」であるためです。
あったでしょう。日本車の有名なコピー。
あれですよ。まさしく。
21世紀は、その役割をメルセデスベンツが果たしているんです。
「みんな、車なんて何でもいいと思うようになった。」
いやいや。
そうではなくて、「自分は高いお金と引き換えにすごくいい物を手にしたんだ。」となれば、人々は支払をするんです。あのiPhoneが相変わらず、日本市場でトップで居続けているのと同様に。
「退屈な4ドアセダンだけ。」
「すごくイメージが悪いドイツ車」だったメルセデスベンツは、「小さなメルセデスベンツ」「かっこいいメルセデスベンツ」になった。
ちゃんと消費者の皆さんは見ています。
ただねえ・・・できれば、ここから先は、「信頼性」「品質保証」も新しいお客さん達みんなをがっかりさせないようにして欲しい。
みんな少し思い浮かべて欲しいんです。
街を走っている車でさ、古い外車って走ってる?
古い軽自動車って走ってる?
古い外車・・・ベンツとポルシェは走ってるかな。すごく少ないけど。
古い軽自動車・・・ホンダのライフ・・・あればっかりのような・・・
そういうことなんだと思いますよ。現実は。
実は、ハツカネズミの滑車に組み込まれているのかも。外車とか軽自動車って。
営業終了時間ギリギリにA180を返却する。
返却への道を急ぐ間中・・・
「Hey!Mercedes!トリップメータを表示して!」
「今日の走行距離を表示して!」
う〜ん・・・全然無反応。大きな液晶パネルもトリップメーターが・・・どこなんだ?お店に着いちゃったよ。
店員さんが分厚い取説を取り出して・・・二人で悩む。
まあ、営業時間終わってるからね。
・・・・本当に分からない。ちょっと高性能すぎるぞ。このディスプレイ。
表示項目が多すぎるんだよ。
「あ〜・・・とね。いつも通りの道しか往復していないから、正確に走行距離数を言える。」
「え、ええ・・・そうしましょうね。これ、わからないや。言ってもらった距離数で端末に打ち込んでおきます。」
落とし穴だったぞ。Hey!Mercedes。
燃費は、15.9km/litterでした。(ハイオク使用)