あなたの15歳の頃の思い出教えて!
15歳。
中学3年生か、高校1年生か。
中学時代はまあまあ暗黒。
3年のクラスには仲良しがいなくて、長い休み時間は遠く離れたクラスまで遊びに行ってた。
あるいは存在感を消して文庫本を読んでた。
いつも下を向いていた。
そんな状態での修学旅行は
「グループ作って〜」
で余った人間寄せ集めチーム。
男女混合グループの、女子は陰気なBUSU3名(わたしもここに含まれる)、男子は地味で気弱なもやし3名(名前も顔も思い出せない)。
会話が弾まない以前に、それぞれが同グループとは思えない距離をあけて歩く始末。
自由時間はほぼ解散してた。
キャッキャできない修学旅行のなにが面白いか。(おもしろいわけがない)
自由時間、何回時計を見ただろう。
いつまでたっても集合時間にならなくて、何度も時計を見てたことを覚えてる。
卒業式の日、卒業アルバムの後ろの白いページ、メッセージを書きあう時間も長かった。
わたしのページはいつまでも白いまま。
クラスメイトの数人がお義理で書いてくれたけど、あたりさわりのない「元気でね」系か、悪意かマウンティングかわからない「ーーはいつまでも〜〜でいてね」みたいなので、いっそ白紙のままのほうがマシだったかもしれない。
だから卒業で涙なんかビタイチ出なかった。
解放された!と思った。
そして、変わりたいと思った。
切望した。
自己肯定感ゼロで毎日息を潜めてすごすのはもう嫌だった。
高校生になるにあたって、わたしは変身することにした。
キャラ変。
いわゆる高校デビュー。
眼鏡はコンタクトレンズに変えた。
スキンケア(ちゃんと洗顔して安い化粧水と透明のパウダーと薄い色つきリップ塗る程度のかわいらしいもんだけど)するようにした。眉毛の形を整えた。
テンションは高く、自分とは違う人種(読書しない、恋愛脳、ファッション好き)とも積極的に近づいていった。
要するに、中学時代まで無頓着だった身だしなみを人並みにして、人付き合いに積極的になっただけ。
それがキャラ変になるということは、いかに中学時代がヤバかったか、ということに他ならない。
ぼさぼさ頭、ニキビだらけの皮脂で曇った眼鏡をかけて、毛虫みたいな眉毛で、唇はガサガサで、ずーっと本読んるかイラスト描いてるかで、運痴でどんくさくて、自分からは話しかけず、オドオドして……
そんなヤツ、好かれるわけない。
ぼさぼさ頭は朝ドライヤーを使うことでクリアした。
ニキビは洗顔してマシになった。(中学時代はいいかげんだった)
眼鏡はコンタクトレンズにしたけど、眼鏡もかわいいフレームにした。(中学時代は無味無臭の黒い金属フレームだった)
眉毛はハサミとカミソリで整えた。
毎日リップクリームを塗った。
相変わらず本もイラストも好きだったけど、自分の世界に籠ることを控え、笑顔で話しかけることを心がけた。
高校はほぼ女子校(男子部女子部で校舎がわかれてる学校だった)ので、空気が優しかったのが良かったんだと思う。
「男」がいない教室は「女」にとっての楽屋や控え室みたいなもので、「女」を演じる舞台の緊張感は無い。
夏はスカートの中を下敷きのうちわで扇ぎ、傷んだ髪の毛の枝毛を切り、大声で好きなアイドルを叫び、マジな変顔対決をする。
日常が舞台裏の教室では、もっさりオタク(わたしだ)もオシャレ美人に話しかけやすい。
快活なスポーツ少女にも話ができた。
わたしの本性が本好きのオタクであることに変化はないけれど、勇気を出して近付いてみると、苦手意識があったキラキラ系女子たちも、そんなに怖いひとたちじゃなかった。
もっさりなわたしにキラキラの片鱗を教えてくれた。
(興味がなくて)自力ではたどり着けなかった流行を教えてくれた。
ひっつめ結び髪(校則)の眼鏡(毎日コンタクトレンズは目が疲れる)でも、明るく笑って過ごしていると、俯かずにすんだ。
テンション高く明るくしたら、ひとりぼっちにはならない。
外見と態度をちゃんとしたら嫌われない。
それがわかったのは、わたしの人生の自信になった。
ありのままの自分ではないけど。
ちょっと無理して、がんばって、気合い入れないといけないけど。
意識しないと、ちゃんとできないんだからしょうがない。
意識したら、まあまあできるんだから、良かった。
今はヒキコモリ主婦なのでそこまで頑張る必要もないし、ぼっち属性でも平穏な日々だけども。
集団生活をいい感じに過ごすために必要なことってあるんだよね。
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