テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

セイフ ヘイヴン

2019-11-05 | サスペンス・ミステリー
(2013/ラッセ・ハルストレム監督/ジュリアン・ハフ、ジョシュ・デュアメル、コビー・スマルダーズ、デヴィッド・ライオンズ/116分)


ラッセ・ハルストレム監督の「セイフ ヘイヴン」を観る。2014年に「HACHI 約束の犬 (2008)」を観て以来だな。ま、「アンフィニッシュ・ライフ (2005)」は何回か再見したけれど。

アメリカ、ボストン。警察に追われた若い女は当てもなくアトランタ行きの長距離バスに乗り込み、途中トイレ休憩に立ち寄った港町サウスポートの様子に惹かれバスを降りることにした。ケイティと名乗った女は森の中の古びた小屋を借り、海辺のレストランで働き始める。バス停留所近くの雑貨屋の店主アレックスは二人の子持ちで、長距離バスから降り立った彼女が町に残ったのが気になった。ケイティの通勤路にアレックスの店はあり、徒歩通勤の彼女の為にアレックスは中古の自転車をプレゼントする。初めは断るケイティだったが、ケイティの小屋の近くに住むという女性ジョーに諭され彼の好意を受ける事にした。レストランの女性オーナーによると、アレックスは数年前に奥さんを癌で亡くしたばかりで失意の中にいたが、長男のジョシュが父親に反抗的な態度をみせるのにも悩まされていた。ジョシュも母親が恋しいのだ。ジョシュの妹レクシーは母親の記憶が薄いおかげか明るい女の子で、入学前なのに店番も出来るおしゃまな子だった。他人との距離をおくケイティだったがそんなアレックス一家とのふれあいが続いて仲良くなれた頃、アレックスは警察署でケイティの指名手配写真を見つけるのだった・・・という話。

冒頭はサスペンス風。サウスポートに着いてからはボーイ・ミーツ・ガールからのラブ・ロマンス。それでも序盤の犯罪絡みの続きが細切れに語られて、先行きが気になるミステリアスなムードも有る。全体の設定が掴めてからは終盤にスリラーっぽい展開もあるのかと思わせつつ、最終的にはハルストレム監督お得意のお伽噺ムードも漂ってきて・・という不思議な作品。

これ以上書くと作者がせっかく秘密にしておいたモノがネタバレしてしまうので止めておきますが、個人的には全体の設定はそれほど目新しくも無いし、面白さの半分以上は監督の語りの巧さによるもので、人物描写もそれほど個性的ではない。
 家族の愛情というのが大きなテーマなんだけど、ミステリー風に語られる犯罪が暗すぎて不統一感を感じるな。

全ての俳優さんが初めての人ばかりで、ヒロインのジュリアン・ハフはちょっとメグ・ライアンを思い出す可愛いらしさだけど、アレックス役のジョシュ・デュアメルと共に過去にラジー賞の受賞者だった。なんとなくこの映画の人物描写の浅い感じがあるのは演技者のせいかも。

お薦め度は★二つ半。監督の語りの巧さと、俯瞰撮影を絡めた独特のムードは好物なので★半分おまけです。

原作者のニコラス・スパークスは「きみに読む物語(2004)」の原作者でもあるし、ハルストレム監督は「親愛なるきみへ (2010)」というベストセラーの映画化も手掛けている。


▼(ネタバレ注意)
先立った者の残された者への愛情の深さが裏のテーマでしょうか。
 それにしても、ジョーさん。ケイティと二人だけの所に現れるのは構わんけど、群衆の中に出没するのはどうなんだい。知ってる人も沢山いるでしょうに。
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・お薦め度【★★★=一見の価値あり】 テアトル十瑠

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