ロシアに出かけるあたって少々の準備をしたこと。
それはキリル文字の読み方を覚えておこうということなのでありました。


「Memrize」という無料の語学学習アプリを使って、
昨夏オランダに出向く前にもいささかのオランダ語学習に励んだ経緯は前に触れましたが、
今回もまた同じアプリを使ってロシア語をとは思ったものの、実は話はそれ以前でして、
文字が判別できなければちいともロシア語学習と言える段階には進まない。


そこで(大文字小文字の区別を無視すれば)33文字あるというキリル文字の字面と
その文字が表す音だけでも覚えて出かけようと思ったわけです。

で、そんなにわか仕込みでロシアに出かけていったところながら、

これが結構役に立つものでしたなあ。


本来的にロシア語である語彙は音として読めたところで意味が分かりませんけれど、
ロシアにもかなりの外来語が入り込んでいるようで、ひと文字ずつ音として読んでみれば
「ああ、あれか!」と結構分かるものでありましたよ。


キリル文字は、いわゆるラテン文字と見た目は全く同じ文字(表す音は全く違う)、
ラテン文字と似て非なる文字、キリル文字に独特の文字という具合に分かれてますですね。


例えば最初のグループのひとつである「C」、
これは完全に「S」の「ス」という音で割と想像しやすいところかと。
一方で「P」は、これの持つ音をラテン文字で当てるなら「R」、
しかも思い切り巻き舌で出す「ルルル!」みたいな音なのですなあ。


似て非なる文字グループには「Я」がありますね。
「R」が反転した形ですが、表す音は「R」とは似ても似つかない「ヤー」というもの。
また「N」の反転した形はほぼほぼ「イー」の音になるものですから、
こうしたことを覚えていきますと「Россия」と綴って
「ロシア(ロッシィアー)」と読むのだということが分かってくるわけです。


と、キリル文字に独特のものも取り上げておきますと「П」がありますね。
一目見てどんな音なのか見当もつきませんので覚えてしまうしかないのですが、
これはラテン文字でいうところの「P」の音なのでして。


そんなこんなの暗記頼みで33文字の字面と音を覚えてしまいますと、
こんな街頭表示は簡単に読めるわけなのでありますよ。

 



例えばこれ、「サンクトペテルブルグ」と書いてあると分かる。
また町中では実によおく見かける「PECTPAH」という綴り。
ラテン文字の音でもって、ついつい「ペストパー??」てなふうに受け止めてしまうところが、
何のことはない「レストラン」と、あたかも日本で外来語をカタカナで置き換えるがごとし。
同じくそこらで見かける「КАФE」は「カフェ」です。

 


てなぐあいに分かってみれば(といって、一文字ずつ音をたどるので時間がかかりますが)

音として読めることにはなるものの、外来語ならばまだしも

ロシア語本来の意味を持つ単語だとその意味が分からないのですから、

便利さもほどほどですけれどね。


ところで、ペテルゴフ宮殿 の後に訪ねる場所は「Пушкин」という町にあるのでして、
これはロシアが生んださる文豪に因んだ町の名前なのですけれど、読みは…「プーシュキン」。
日本ではプーシキン といった方が馴染むところかと。


このプーシキンの町も元は18世紀に皇帝たちの夏の離宮が造られたことに始まるのですな。
当時の名前はツァールスコエ・セロー、思わずエカテリーナ2世が思い浮かぶその場所へと
ツアーバスに運ばれて向かうのでありました。