…ということで、今回訪ねたゲーテ街道では最も西に位置するアイゼナハ から
語り起こしましたが、先にも触れたとおりに実際の旅程とは順序が異なっていて。


まずはライプツィヒ空港からハレ に入って一泊、翌日ハレを見て廻った後に
エアフルトに移動して二泊。その間にエアフルトからアイゼナハを往復してきた…
というのが実際のルートなのですな。


アイゼナハに続いてはゲーテ街道でその西隣にあたるエアフルトのことに移りますが、
エアフルトのお話の書き始めは宿泊した宿のお話から。


実は思いがけずも泊まったのはいわゆる民泊でありまして。
思いがけずと言いますのは予約した当初はその自覚が全く無かったからでして。


これも先に触れたですが、今年2019年はバウハウス100年にあたりまして、
ワイマールのホテルが軒並み満室状態。これが近隣の町であるエアフルトにも波及したのか、
エアフルトもまた非常に宿の選びにくい状況にあったのでありますよ。


出発前にはホテルの予約サイトを眺めながら、ここはどうか、あそこはどうかと惑い、
どこもかしこも帯に短し襷に長しであるなあと考えている中で、
ま、ここで妥協しておくかと選んだのが今回の宿だったわけです。


施設・設備の情報を見る限りではキッチンやテラスが付いていることもあって、
「ああ、アパートメントタイプのホテルでもあるかな」と思っていたですが、
宿泊日が近づいてきますと宿からメールがまいこみました。


曰く「到着の30分前に電話をください。そこに住んでいないので」的な。
「了解」の旨、返信はしましたけれど、ここに至って「これって民泊だった…?」と。


で、当日は当初予定よりも早くエアフルトに到着したものですから、
宿のオーナーに電話し、つたないドイツ語で「Ich bin früher angekommen」などと(笑)。
例によって、ドイツ語・英語のちゃんぽん状態でやりとりをした結果、
「今から鍵開けに行くから」と宿のオーナー。
そんなこんなでたどり着いた民泊先はこのように実に落ち着いた場所にありました。



賑やかなDomplatz(大聖堂広場)からちょちょいと引っ込んだだけなのですが、
あたりはすっかり住宅街のようで、静かな静かなところでした。


正面に見える階段をとんとんと上がって奥へ。
部屋は一階で、ちょうど階段の左手に見えるカーテンの閉まった窓のところが
エアフルトふた泊の住まいとなったのでありますよ。


おそらくはオーナー夫人と思しき方の出迎えを受け、鍵の受け渡しを済ませ、
使用上の注意点などを伝えたオーナー夫人は、別のところにあるであろう自宅へ
引き揚げていきました。



オーナー夫人からも「おひとり?」なんつうふうに聞かれましたが、
確かにひとりで過ごすにはもったいない広さでありますね。
玄関部分で階段を上った分、居住スペースは窓の位置どおりにまた下がる形ですが、
こうした変則的な?部屋の設えは楽しさを感じる方なのですよねえ。



キッチンはこんなふう。収納棚にはひと通り以上の食器類がたっぷり。
普通、ホテルの部屋には無い電子レンジもありますし、
収納の右手中央の大きな扉は冷蔵庫が隠れています。



せっかくですので大聖堂広場近くにあるスーパーでTVディナーを買ってきて、
チンして食すくらいのことはしましたですよ。
これまたオーナー夫人曰く「ふた泊?」と言われましたが、
もそっと滞在型を考えていたら、きっと慣れない料理にも及んだことでありましょう。



で、こちらがキッチン右手から出られるテラスになります。
「もしもタバコを吸うのであれば、こちらで」とはまたオーナー夫人。
ご配慮いたみいります。


眺めがいいとまでは言いませんけれど、
ホテルの窓から人や車の通る道を見下ろすというのよりは格段に気分がいい。
夜も蚊の襲撃の心配が無かったので、旅の中でいちばんまったりできる場所でしたですよ。


とまあ、そんな具合にエアフルトで民泊の初体験をしたわけでして、
いい面もたくさんありましたけれど、ちと考慮が必要な面も。


例えばホテルであれば、チェックインタイムより早目に到着しても
レセプションで荷物を預かってもらい、身軽に市内探訪に出かけられますが、
今回のような民泊では宿泊場所に誰かが常駐しているわけではないのですから。


あたりは静かな住宅街と言いましたけれど、後から気づいたことには
どうやらこのあたり、民泊街と言った方が適当なのかも。
鍵の受け渡しのために玄関前で宿泊者を待っているオーナーらしき人を
何人も見かけましたしね。


とまれ、民泊のイメージは大きめのお宅の中での間借りといったものだったところが、
こうした感じでもあるか…と、良い経験になったのでありました。