バウハウス博物館ワイマールの話を始めるはずが、
たどりつく途中で見かけた音楽学校にその名を残した作曲家フンメル の話が長くなってしまい…。
今度こそはバウハウス博物館の話になるわけですけれど、
2019年4月に場所も新たに開館したバウハウス博物館の建物はこんなふうでありました。
ぱっと見では単なるコンクリート打ちっぱなしの四角い箱では…と思うところながら、
その実、それがスタイリッシュにも思えてしますのは、
先にバウハウス大学をふらふらしたことからの思い込みでありましょうかね。
とまれ、バウハウスがワイマールに創設されるまでの経緯は
バウハウス大学の話のところで少々触れましたですが、
前身である工芸学校を受け継いで、「バウハウス」の名を掲げて正式発足したのが1919年。
ちょうど100年前なわけでして、そうしたアニバーサリーだからこその新博物館でもありましょう。
ところで、正式発足にあたっての初代校長となったのがヴァルター・グロピウスでありますね。
マーラー亡きあと、アルマの再婚相手であったということでも知られていようかと。
アルマとの関係をめぐってはマーラーはもちろん、クリムトやツェムリンスキー、ココシュカと
多くの芸術家が名を連ねておりますな。どんなもんかいね…と思わなくもないですが、
みなそれぞれに名を残した人々ですから、アルマのおめがねに適ったからには
グロピウスもまたと言えるのかもです。
と、また余談に流れそうになるのを元に戻して、
建築家であるグロピウス率いるバウハウスが掲げた教育理念は
こんな円形で表わされるのだそうなのですね。
円の中心に「BAU=建築」が置かれているのがいかにもですけれど、
半年間の予備教育(Vorlehre)に続く3年間の専門課程としては
「自然研究(Naturstudium)」や「材料・道具の学習」といったものがあり、
中心に向かっていくのですなあ。
こんなところを見ただけではなにやら建築一筋にも思えるところながら、
そこはそれ、造形デザインの一大拠点と目されるようになるからには
画家のファイニンガーやカンディンスキー、パウル・クレーなども関わったことを
忘れるわけにはいかないところであろうかと。
と、展示の方はかなり理念的なものやそれを体現した教授陣の紹介だったりもしましたけれど、
バウハウスならではのデザインを感じさせる作品もないではない。
てなぐあいに巡ってみたバウハウス博物館ではありますが、
もそっと予備知識を蓄えてから臨んだ方がより満足度が高まったであろうなあとは。
先に見た「理念」部分からは一足飛びの感ありとは思うところながら、
個人的にはシンプルなこの言葉が響きましたなあ。
「世界市民になろう!」
時はワイマール共和国の時代、バウハウスもそんな方向性を目指していたのでありましょうか。