ということで、お天気に恵まれず海の上も下も見晴らせない中で勝浦の海中展望塔を訪ねたわけですが、

景観が楽しめないならばと、先に立ち寄った海の資料館の真向かいにある博物館へ。

 

海の資料館でもそこそこ「お!」と思うところはあったですが、こちらはさぞや充実の展示でありましょうか。

何しろこの「海の博物館」、千葉県立中央博物館の分館ということでもありますので。

 

 

ここの博物館はなにやらクジラ押しの感がありましたなあ。さっそくの屋外展示からしてこんなふう。

「ツチクジラ」の骨格標本であるということで。

 

 

そして、企画展示として開催中であったのが「ツノシマクジラがやってきた」というもの(1/13で会期は終了)。

わざわざ企画展で「やってきた!」と持ち上げるだけあって、ツノシマクジラは「幻のクジラ」なのだそうですよ。

 

 

もっとも「やってきた」のはやはり骨格だけになってしまっているツノシマクジラでして、

素人目には屋外にあったツチクジラと区別のつきようもないところですけれど、

決定的な違いはツチクジラが「ハクジラ」であるのに対して、ツノシマクジラは「ヒゲクジラ」だということ。

それぞれで名前がよく知られたクジラとしては、ハクジラがマッコウクジラ、ヒゲクジラはシロナガスクジラでしょうか。

 

とまあ、チープな知識を云々していても仕方がありませんので、常設的な展示の方へ目をむけることに。

こちらの博物館は、歴史や民俗的なものではなくして科学的なるものが中心であるようですね。

 

 

まずもって地学的なる側面ですけれど、房総半島を取り巻く海の底はこのようになっていると。

もちろん青が濃いほど深いわけでして。

 

 

で、かような姿である房総の海ですけれど、四つの区域に分かれているとは地名的にはなるほどと。

曰く、東京湾沿い、内房、外房、九十九里ということでありまして、個人的な思い込みとしては

半島のとっさきで分けて、西側を全面的に内房と呼び、東側をまた全面的に外房と呼ぶ。

 

とまあ、そんな思い込みがあったわけですが、内房とは富津岬から南でそれ以北はどうやら内房でない。

同様に九十九里が終わった先の勝浦あたりから南こそが外房である…ということなのですなあ。

館内の研修室で見たビデオ「房総の海」で、そんなふうに紹介しておりましたですよ。

 

そう言われて歴史的なところを思い浮かべてみますれば、

内房とは昔の安房国の内側、外房とは安房の外側、つまり上総、下総は別物なのだということですなあ。

 

とまれ、そのような呼び名も違えは個性も違う海岸に囲まれた房総半島の、

太平洋側沖合には黒潮が流れておりますな。フィリピンのルソン島あたりから流れてくる暖流ですね。

 

一方で北方のオホーツク海の方からは寒流である親潮が流れ込むわけですが、

このふたつはどっかん!正面衝突をするのではなくして、間には「混合域」という仲立ちがあって?

直接に角突き合わせることはないのだとか。

 

混合域と呼ばれる潮境には親潮に多く含まれる栄養塩と黒潮の暖かい水温のおかげでもって

プランクトンが大発生する。これを求めて小魚がやってき、小魚を求めて大型の魚もやってくる。

つまりヒトにとってはこれ以上なく都合のいい漁場を形成しているわけでありますよ。

 

と、ここまで持ち上げながら、黒潮と親潮の潮境は房総沖にあるのではありませんでふつうは三陸沖、

ときおり親潮の勢力が強いと潮境ももそっと南下するらしいということではありますが。

 

まあ、このように知っているつもりが実はよく理由を知らなかった…てなあたりのことを

またしても博物館に教わる機会となったのでありました。

 

ちとおまけをひとつ。房総で見られる魚のひとつとして「キタマクラ」というのがおると解説で見かけ、

その名からして「いったいどんな魚であろうか」と思ってましたら、水槽で発見!

ちっちゃいことに驚いた!…というだけの話ですけれど(笑)。