引き続きライプツィヒ造形美術館の展示室を巡ったことを思い出しつつ記してまいりますが、
また壁の色が変わってお次の展示室、1枚目はこちら。
マックス・リーバーマンの「ティーアガルテンの散歩」という作品、ベルリンですね。
いささか画像が小さいので分かりづらいところかとは思うものの、
すばやいタッチでささっと外光をとらえようとしているようすは印象派を思い浮かべるところでして、
作者マックス・リーバーマンはドイツ印象派のひとりとされておりますね。
リーバーマンの作品にはリューベックのベーンハウス・ドレーガーハウスやハンブルクのバルラッハハウスで接して、
関心の高まった画家でして、ベルリンではヴァンゼー湖畔にあるリーバーマン・ヴィラを訪ねたものの、休館中。
ひどくがっかりさせられたことを思い出したりもするところです。
こちらは「スヘフェニンゲンの通り」という一枚。
この塗りの感じになってきますともはや印象派というよりフォーヴ、ヴラマンクあたりを思わせるふうもあるような。
ちなみに(と、何回か面白おかしく取り上げている気もしますが)スヘフェニンゲンとは
「Scheveningen」と綴りまして、これが読みようによっては「スケベニンゲン」と読めることから
ヘンテコ地名として知られるオランダ、デン・ハーグ郊外にある海沿いのリゾート地なのですね。
これがなかなか良いところなのですよ。ハーグにあるマウリッツハウス美術館とかエッシャー美術館とか、
はたまたトラムで移動できる隣町、フェルメールゆかりのデルフトあたりを訪ねるときには
お泊りはスヘフェニンゲンでとお薦めしたい…そんな保養地でありまして。
と、余談はともかくとして、この展示室でもうひとりクローズアップされるのが、マックス・スレーフォークトですな。
リーバーマンと並んで、ドイツ印象派と言われるひとりです。
どうでしょう、こちらの方がいわゆる「印象派」のイメージに近いでしょうかね。
小さな馬車のあるサンザシの風景ということでありますが、ドイツの印象にはそぐわぬ?光に溢れてもいるような。
でもって、そのスレーフォークトが描いた自画像を見ていきますと、やっぱりドイツ印象派は
いわゆる印象派以降のいろいろに影響されているのだなという気がしてきますですね。
実際、リーバーマンやスレーフォークトらは「ベルリン分離派」なる画家集団の先頭に立つことになりますが、
旧来の伝統に縛られることなく、新しい芸術を展開しようという点でウィーンやミュンヘンに倣い「分離派」というものの、
どちらかというとわりとおとなしめというか、とんがっていないというか。
そうした穏健さの故か、分離派でも表現主義の画家たちが離脱して「新分離派」などができたりするのですし、
その「新分離派」の中に「ブリュッケ」や「青騎士」と関わる人たちがいたということになれば、
(「ブリュッケ」ではキルヒナーやノルデ、「青騎士」ではカンディンスキーで知られておりますな)
なるほど尖っているのはもっぱらそっちの人たちだったのだね…とも思ったりするところです。
最後の一枚はまたリーバーマンの作品。壁面にはリーバーマンの言葉として、
オランダの風景が絵の題材に適う様子をたくさん持っていることが伝えておりました。
先にオランダ・スヘフェニンゲンの通りを描いたリーバーマン作品をみましたけれど、
スヘフェニンゲンの海岸に近いハーグからは「ハーグ派」という画家の一派が生まれておりますね。
実際に外で景観を目の当たりにしながら描いていく形の先駆けともなったようですから、
リーバーマンの言葉どおり、それだけ画家たちにとってオランダの景色は魅力的だったのかもしれませんなあ。