水の中をすいすい泳ぎ回る昆虫としてはゲンゴロウやミズスマシがよく知られておりますけれど、

そんな水の中で暮らす虫の仲間にマメガムシというのがいるのだそうですねえ。

そのマメガムシはなんとも優れたサバイバル技能を持ち合わせているということが

神戸大学の研究で分かったのだそうな。

 

水生昆虫の悲しい性として、うっかりしているとカエルに丸呑みされるという憂き目に遭うらしいのですが、

このマメガムシはそもそも体長5ミリほどとても小さい上に、ものの見事に丸い形でつるっとしているのですな。

まかりまちがってカエルに飲み込まれてしまった場合、その特性を生かしてカエルの消化器官内を手早く泳ぎきり、

なんとカエルの肛門から無事に生還するのだそうでありますよ。

 

その成功率は15例のうち、14例が見事に脱出成功というのですから、大したものです。

が、カエルのおなかの中を通過するのは必死になればできないことではないかもながら、

冷静に考えてみるとおしりの穴は(尾籠な話で恐縮ですが)基本的には閉じておりますな。

でないと、排泄物垂れ流しとなってしまいますから。

いくらカエルでも、やはりおしりの穴はふつう、閉まっておりましょう。

 

そうであることが分かっていたから、鯨に飲まれたピノキオたちも

後ろに逃げてもだめだ、前へ逃げようと考えたのではないかと思うところです(?)が、

そんな戯言はともかく、このマメガムシ、カエルの肛門のところまでたどりつきますと、

あたりをこそこそひっかいて刺激したりするのでしょうか、どうやら排便を促すようでもあるという。

いやあ、大した生き残る術ではありませんか。

 

「進化」なるものが「良い方に向かう」という意味ではなくして、環境に「適応」していくことなのではなかろうか、

とは以前にも触れたことですけれど、どうやらこのことは個人的な思いつきではなかったようですなあ。

 

生物学では「進化」に「良くなる」の意味はありません…とは、しばらく前に見かけた新聞のコラムから。

「たまたま環境に適応した種が生き残るわけです」となれば、マメガムシなりの「進化」「適応」は

こんな形でなされてきたということになりますが、その術が身につく前にどれほどのマメガムシのご先祖が

カエルに丸飲みされてきたのでありましょうかね。

 

環境に(生物学的に)適応するにはとにかく時間がかかるであろうと思うときに、

翻ってウイルスは?と考えてみますと、こちらの方に新型が現れるのはあまり時間を要していないような。

 

と、ついウイルスを引き合いに出してしまいましたけれど、生物学的にと言って

そもウイルスは「生き物ではないのだ」と言われますですね。

生き物の定義のひとつに「単独で自己複製できること」があるようでして、

寄生体であるウイルスは単独ではできないので生き物ではないとなるそうな。

 

生き物、生物でないとなれば、それでは無生物であるかとなるわけですが、

普通に無生物といえば石とか水とかで代表される、まさに生きていないものであるところながら、

新型コロナウイルスは空気中で何時間「生存する」みたいな言い方がよく聞かれ、

やっぱり「生きているもの」なのではないかと。

 

まあ、ウイルスに関するこのあたりのお話はすでにいろんなところでされていますので、

ちと長すぎた余談になりましたけれど、とにもかくにも環境に適応することを続けていった結果が今で、

今後もヒトも含めた生物の適応(必ずしもいい方向というばかりではなく)がなされていくのでしょう。

 

やがてはウイルスをあしらえるような適応が生じるかもしれませんし、

科学的な除菌・抗ウイルスばかりが進むとそれに頼り切りになる適応が生ずるかもしれません。

今それを考えてもSFの世界の話になってしまうでしょうけれど、

おっと、またウイルスの話に戻ってしまって…。