捨てられる銀行4「消えた銀行員」。現役の銀行員はこれをどう読む?

image

 

 2020年の税制改正は3月には内容が決まっていました。コロナ禍で全くノーマークでした。改めて改正点を確認します。

 

 個人所得税など、給与所得者、事業所得者にかかわる部分をピックアップします。

 

 ポイントは、 

 

1.基礎控除増額 …所得税38万円→48万円、住民税33万円→43万円
2.給与所得控除 …800万円までは10万円減額、したがって基礎控除と併せると税額の増減なし。800万円超は給与所得控除の減額幅がおおきくなることから基礎控除増では金額を打ち消すことができず、増税へ。
3.事業所得者 …青色申告控除65万円→55万円に減額、基礎控除増額と合わせると税額の増減なし
4.事業所得者が電子申告をすると …青色申告控除は65万円に据置。基礎控除増で実質減税
5.給与所得者、事業所得者共通で年収2400万円超 …基礎控除が所得の額により減額され2500万円超でゼロに→増税へ

 

【結局どうなる?】

 いろいろ例外はありますが、所得税、住民税計算上は、給与所得控除、青色申告控除が10万円減るけど、基礎控除が10万円増えるから税額の増減はありません

 

国民健康保険料は増える

 では、この、「控除を10万円減らして別の控除を10万円増やす」という一見意味のなさそうなことをするのでしょうか。

 

 個人事業主の場合、国民健康保険料計算の基礎になる「年収」は売上から必要経費を引いた、「所得」で判断されます。青色申告控除を減らされると、10万円分、所得が増えることになります。

 

 札幌市の場合、健康保険料の所得割分9.46%、40歳以上の場合、介護保険料分が2.53%、計11.99%ですので所得が10万円増えれば約12,000円、国民健康保険料が上がることになります。

 

 給与所得者は基本的に社保加入で保険料の計算の基礎は給与や交通費の支給額になりますので今回の税制改正の影響はなさそうです。

 

【そしてマイナンバーカード】

 青色申告控除の減額は、ある手立てを取ると回避することができます。それが電子申告で確定申告書を提出することです。上記の国民健康保険料増加を回避しようと思えば、「電子申告」することになります。すなわち、マイナンバーカードを作らねばならない、ということになります。

 

 電子申告して青色申告控除65万円を維持できれば、「国民健康保険料は上がらず」「基礎控除が増える分、減税になる」となれば…ここで個人事業主はマイナンバーカード取得に動くかもしれません。

 

 

新著「倒産のリアル」発売になりました。

 

 コンサルタントを始めていままで見てきた再生の現場をなまなましく描きます。

 

 「ビジネス書とも、経済小説の短編集とも取れる内容。普段あまり本を読むことのない自分でも一気に読めた」

 「文体や段落、行間やダッシュの使い方がミステリー小説の文体に近くつい引き込まれた」

 などのご感想をいただいています。

 今まで、事業再生関連の本は、ガイドブック的な造りだったり、解説書風だったり、あまり読んでいて面白くない文体のものが多かったので、そうでないものを、ということで書き下ろしました。

 

 札幌市内ではコーチャンフォーさん、ジュンク堂さん、札幌駅横の紀伊国屋書店さんなどに置いていただいています。

 

 お手に取っていただければ幸いです。

  

 

 

 

 

 

↓ちょっと複雑なお話ですが保証協会付融資を借換することで返済条件変更している会社さんが正常化できる可能性があります。

チャンネル登録で新着動画をチェック!