政治・経済に関する雑記

なるべく独自の視点で、簡潔・公平に書きたいと思っています。

なぜ保護主義はなくならないのか

2017-01-21 01:00:59 | 経済制度
トランプ大統領は保護主義的な政策を掲げている。いまや日本のほうが自由貿易を推している感があるが、もともと日本にも保護主義的主張は多い。経済学の教科書では保護主義は皆を貧しくするはずなのに、なぜ保護主義が力を失わないのか。
おそらく根源的には、人が絶対的な豊かさより相対的な豊かさを重視する場合があるからだろう。自分が2割豊かになって周囲が4割豊かになるくらいなら、今のままのほうがよいと思う心理である。自分と他人を自国と他国に置き換えても同じだ。
現代人は昔の王侯貴族並みの生活水準を享受しているかもしれないが、自分が極めて豊かだと思っている人は少ないだろう。豊かさを絶対量でなく相対量で測っているからだ。だから保護主義はいつの時代も魅力ある政策なのである。
ただ保護主義的な社会は、江戸時代の日本のように、内部では幸せでもいずれ進歩の速い自由主義的な社会に敗れることになる。余裕のあるアメリカはまだしも、今の日本に保護主義的政策を楽しむ余裕はあまりないだろう。