初めてのご相談者は、開口一番に、『事業は黒字なのですが、何故か、毎月資金が不足して大変です・・・。』と、私にご説明してくださいます。

何故にそうなのか納得できないような口ぶりですが、決算書に目を通せば、その原因は明確になります。

決算書に目を通すまでもなく、金融機関からの借入金の元本返済に原因があるということは、プロならばお話を伺うだけで判ることだと思います。

世にいう黒字倒産という状況に、限りなく近づいているということなのです。



本業は、黒字なのに、資金繰りが確保できずに倒産してしまうことを『黒字倒産』と言います。

景気が本格的に悪化する前の停滞状況になると、この黒字倒産は増加するといわれているのですが、正しく、今、その黒字倒産が増えてきている様なのです。

ここで、黒字倒産について、少しおさらいをしておきましょう。

まずは、ご自身の会社の損益計算書(PL)を確認してみてください。

利息の支払い額については、営業外費用のところに支払利息として計上されていると思います。

しかし、元本の返済については、損益計算書のどこを探しても計上をされていません。

収入と支出について、全て計上されている資料が損益計算書のはずなのですが、元本返済についてはどこを探しても見つかりませんし、貸借対照表(BS)を念のためにチェックしても見つかりません。

しかし、これは当然のことであり、元本と利息の関係を見直せばすぐに判ることなのです。

元本は、金融機関の商品であり、利息は元本を借りるための費用であり金融機関の儲けとなります。

したがって、元本は金融機関に商品を『返済』するということであり、利息という金融機関の儲けを『支払う』ということになります。

リスケジュール(返済条件の変更)が容認されるのは、この元本の返済と利息の支払いという違いが理由であり、元本を100%棚上げしても、利息を支払えば金融機関は儲かるということだから成立するのです。

この様なことから、利息は支払ですから損益計算書に計上されますが、元本の返済は収支に関係ないため、損益計算書に計上されないということになります。

そうなると、金融機関からの借入金の返済はどこから出ていくのでしょうか。

答えは簡単、純利益からということになります。

損益計算書の一番最後の行、法人税なども支払った後の手残り資金から支払うことになるのです。

この理屈が、黒字倒産を発生させることになります。

純利益が600万円もあったとしても、元本の返済額が1000万円だとすれば、400万円不足して資金破綻を発生させることになります。

現実的には、減価償却費などの関係もあり、直ぐに倒産ということにはならないでしょうが、これが黒字倒産の原理ということになります。


今、この黒字倒産が増えている様なのですが、実は、現在において問題視されているのは、その先の財務内容にある『ゾンビ企業』が、世界中で増加しているということです。

ゾンビ企業とは、利息の支払額より、その原資となるべき営業利益が少ない財務内容の企業のことになります。

黒字倒産は、利息の支払いは問題ないが、元本返済するだけの利益がない企業が対象になります。

しかし、ゾンビ企業は、金融機関の利益となるべき利息さえも支払えないという財務内容になりますから、黒字倒産どころの厳しさではありません。

本来であれば、倒産していて当然という財務内容の企業が増加しており、世界の上場企業だけで5300社を超えるというのです。

これは世界的な金融緩和で、支払不足を補うだけの、新たな融資が可能という異常さが、負債が増え続けているゾンビ企業を生き永らえさせていることになります。

ここまでは、まだ景気は安定していましたから、このスキームも成立していたのでしょうが、景気が反転すれば、資金破綻を引き起こすしかなくなるでしょう。

幸い、日本の上場企業で、このゾンビ企業は僅かなようですが、中小企業では驚くほど存在するのは間違いありません。

これからの不況備えるためには、有利子負債削減に大ナタを振るうか、事業の再構築に外科的施術を用いるしかなくなるでしょう。

聞こえてくる不況の足音は、徐々に大きくなっています。

資金繰り表を見直し、今、決断しないと、手遅れになるかもしれません・・・。




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