2018年11月08日

整動鍼の先にある世界(2)誰でも使える標準治療が必要

鍼灸の対価


鍼灸の対価について真剣に考えたいです。実は分かっているようで分かっていないのが対価です。単純に「相場は○○だから…」にしてはいけないと思います。

結論から書くと、鍼灸師の対価は技術料で決まるべきです。医療であるならばとう前提です。しかし、実際には次の要素が料金に含まれています。

・立地
・施術時間
・知名度
・権威
・施設

一部の保険診療を除いて料金は自由に決められます。1回3万円でも違法にはなりません。実際のところ、料金と技術レベルは全く関係がありません。技術レベルを数値化できない現状では、こうなるのは自然です。

技術を真剣に追究しても収入に直結しません。むしろ、技術が上がったら患者さんが早く治って売上が落ちたというケースも聞きました(その後、評判になって売上回復)。

割り切って言ってしまうと、相場より高くすると技術が高いと解釈され、相場より安くすると技術が低いと解釈されます。だから、技術に真剣に取り組んでいるならば、相場より安いと、どんなにどんなに努力しても、技術は低く見られてしまいます。

そういう意味で相場は大事だと思います。


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開催している技術セミナーには、全国から、時には海外から受講者がやってきます。安くない受講料を支払い、交通費と宿泊費を負担して参加されています。

受講者がお金と時間を費やしてセミナーに参加するのは、技術を高めるためです。私自身も例外ではなく、技術を高めるためにコストをかけて研究しています。

患者さんが支払う施術代の中には、こうしたコストが含まれています。とはいえ、セミナーで技術が上がったと、すぐさま料金表を書き換えることもできません。単純に「対価=技術料」となりません。


技術料を対価とするには標準化が必須


技術屋の私にしてみたら、技術レベルに応じた対価になることが理想です。その方がモチベーションが上がります。技術力で勝負できるって気持ちいいです。

そんためには、ルールが統一されていなければできません。鍼灸は個人個人でやり方がバラバラです。何でもありの異種格闘技戦です。ルールが違うから自分のルールを作れば誰でも1番になれます。

ビジネスとしては差別化で1番を狙うのは正しい方法ですが、医療として考えるなら、規格のない鍼灸は完全にアウトです。


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この状況を変えるために動き始めています。その一つが整動協会です。昨年、公益性を考えて立ち上げました。再現性を重視した整動鍼®を共有しています。誰がやっても同じ結果になる、という前提で技術をデザインしています。

鍼灸師に感覚は絶対に必要ですが、感覚に頼った鍼灸は個人レベルで発展が止まります。感覚に依存しない普遍性を整理して理論構築できるかが勝負です。整動鍼と名付けたのも、動きの変化を観察してツボの効果を第三者の視点で評価するためです。

嬉しいことに整動鍼の評価は高く、多くの鍼灸師が支持するようになりました。2014年の後半に「整動鍼」と名付けました。この4年間で61万件の情報がヒットするようになっています。書籍化やDVD教材化のオファーも頂いています。

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しかし、整動鍼の普及が真の目的ではありません。「整動鍼」は通過点に過ぎません。整動鍼の先にあるのは標準化です。標準化とは、鍼灸師なら身につけるべき共通の理論と方法です。今、ものすごく大きな話をしています。

もちろん、こんなことを言うと反発されるし、鍼灸師を整動鍼一つにまとめることは無理だろうと思っています。ですので、未来に標準化の箱を用意します。

整動鍼は、MEG(脳磁場)という方法で効果を測定しています。科学的に証明されたものから順番に整動鍼の殻を破っていきます。殻から出てきたものを標準化の箱に入れていきます。この作業を繰り返して行けば、誰も否定できない事実だけが箱に入っていきます。

こうした活動を積極的に表に出していくことで、鍼治療の標準化に興味を抱く若者が鍼灸の道に入ってきますし、外部との交流が盛んになります。科学的なデータほど、交換しやすいものはありません。


新しい学会を設立


今月(11月1日)、「一般社団法人 日本鍼治療標準化学会」を医師と一緒に立ち上げました。医師と協力することで鍼灸師だけでは難しいことに挑戦できるようになります。

重要なことは、整動協会と活動の目的が違うことです。

この学会では科学的な研究を軸にして、医療施設、研究施設、民間企業との連携を深めていきます。そうすることで、鍼灸の価値を普遍化していきます。また、対価と技術料の関係も明瞭になります。

標準化には客観性や公平性が大事です。最初は整動鍼から始めることになりますが、体勢が整ってきたら、どんな鍼灸師でも参加できるように体勢を変えて行きます。鍼灸業界全体を巻き込んでいきます。


Twitterもやっています。
https://twitter.com/kuri_suke

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