ヤル気を知るための「魔法の質問」とは

1357485509_546530ccd1まず最初に、「カミングアウトとは何か?」というおさらいから始めたい。

カミングアウトとは、「自分がギャンブルに依存している」という「告白」であり、同時に「依存したせいで、数々の問題を引き起こした」ことを明らかにする「自首」でもある。

カミングアウトするメリットは、被害を最小限にすることと同時に、「家族やパートナーの協力を得ることができる」ということである。

では、協力とは具体的に何なのか? 今日は、そういった話をさせていただこう。

2家族を悩ませる 本人のヤル気度

私の元へ相談を寄せられる方は、依存症ギャンブラー本人だけでなく、依存者でお困りの家族も多い。

相談の殆どが金銭問題に端を発した疑問であり、悲痛な嘆きと悲しみといってよい。相談の最後を締めくくるのは、「どうすればいいでしょうか?」という質問が多いが、それを判断する為には分岐点が存在する。

ご家族の相談を受ける際に一番大きな分岐点となるのが、「本人が、ギャンブル依存症を自覚しているかどうか」である。もしも自覚していないのならば、答えは簡単だ。金銭を完璧に遮断して放置するしかない。

場合によっては、本人と分かれる(別れる)ことをお勧めする。DVが絡めば、対処法をお伝えする。シェルターを世話したり、私自身が保護のお手伝いをしたケースもいくつかある。

少し話が逸れたが、家族にとって一番悩ましいのは、「本人がギャンブル依存症を自覚しているかどうか疑わしい」もしくは、「自覚しているにもかかわらず、繰り返している」場合である。ようは本人のヤル気が伝わってこず、心が折れてしまうケースだ。

ここで私がお勧めしているのが、本人に一つ質問をして状況を判断するという方法である。たった一つの質問をするだけで本人のヤル気度がわかり、なおかつこれから家族としてどう行動していくかという方針も立てることができる。まさに魔法の質問である。

依存症ギャンブラーへの「魔法の質問」とは

それでは魔法の質問とは何か? それは簡単である。本人に、「これから、一切の金銭管理を私がします。それで、いいですか」と問えば良い。

もしも返答がYESなら、本人は本気で依存に向き合おうとしている。なぜならこのことを受け入れることによって本人は、ギャンブル資金を凍結されギャンブルできなくなるからだ。そこまでの覚悟が出来ていると考えて良いのである。

もしも、「そこまでされたら、飲み会なんか急に誘われたら困るじゃないか!」などと口実を設けて拒絶されたら、まだまだ先は長いと考えた方が良いだろう。こういった場合、実際は飲み会の心配では無く、ギャンブルへの未練が心の奥に蠢いて(うごめいて)いるのである。

もしもこの質問への返事がYESなら、家族にとっても本人にとっても大きなメリットがある。

あなたから積極的に

逆にいうならば、もしもあなたがご家族に全ての金銭管理を頼むのならば、それはギャンブル依存症の克服にグッと大きく近づくことになる。

その理由だが、カミングアウト自体が依存症ギャンブラーにとって、大きな生活環境の改善になるからである。

少しだけ思い出していただきたい。私は先の記事で、「財布を持たない勇気」について書いたが、その理由は、「財布の中に現金をはじめ、キャッシュカードやクレカなど、お金にまつわる全ての物が入っている」からである。

家族に金銭管理を全て委託するということは、財布を預けることができるばかりか、出来心でそれを手持ちする誘惑からも開放されるということでもある。

どうしてもまとまった現金が必要なときは、家族にそのことを告げて用立てて貰い、レシート精算すれば良いわけである。どうですかあなた。レシート精算くらい、できるでしょ? というか、やらないとダメだ。

これはギャンブル依存症の克服に向けてとても大きな一歩であり、また利便性も損なわない合理的な方法と言える。(続く)AMAZON

奥井 隆
奥井 隆
2 市民団体 ギャンブル依存症克服支援サイトSAGS 代表
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