新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

1人、2人で医療を継続するのは無理です:ささやま医療センターの話

2019-08-05 05:06:48 | 医療

おはようございます。

 

7月末にあった日本血液学会の関東地方会は日光で開催されたので、日光への小旅行のような感じになりました。今週末は地域医療の研究会ということで、北海道まで行ってきました。

 

僕の期待していたような発表ではなかったですが、頑張っているなぁと思いました。1人の血液内科医が外来1日40−50人/日×5日間+入院患者40名以上診てるってどういう状況ですかと(汗

本当はどうやって連携しているか・・・という話を聞きたかったのですが、地方でかなり大変ながら頑張っているという内容になっていたような気がします。

 

「こういう合併症は〇〇病院を含めて地域が、あるストラテジーで対応してくれることになっていて、血液専門医でないと対応できないものを我々が診ている」とか「外勤などをして、週に1回北部の患者さんは診療、南部の患者さんも別の曜日に診療」とかやっています・・・というような話だと参考になったかなと。

1人で地域を支えている先生もすごいのですが、こちらも2人体制では無理という話になったわけです。

「緊張感は24時間365日」 分娩休止受け、産科医が実情訴え 検討会で市民から疑問も

兵庫県丹波篠山市黒岡の兵庫医科大学ささやま医療センターが「医師2人体制では安全な分娩ができない」として、産科の分娩休止の方向性を出したことを受けた同市の「ささやま医療センターの産科充実に向けての検討会」(委員長=酒井隆明市長)の2回目の会合がこのほど、同市の丹南健康福祉センターで開かれた。同センター副院長も務める田中宏幸産婦人科部長らが出席。「2人がずっと、いつ呼び出しがあるか分からない緊張感を持って24時間365日を過ごしている。みなさんに期待してもらっている安心・安全な産科医療は困難だ」などと現状を述べた。

(中略)

第2回検討会で、委員からは「医師2人ではなぜ分娩ができないのか」「産科医院では分娩できるのに、医療センターはなぜできないのか」「臨時的にでも助けてくれる医師を探すことはできないのか」などの質問が出た。

(以下略)


基本的に医師がオンコールで待機しているということは、地域に張り付いているということになります。僕も後期研修医の頃は病院から1km圏内にいました。最初の1年間は特に1日除いて病院にいなかった日はないですし。独身だったからやっていましたが、家族持ったら無理だと思います。

 

産婦人科で手術対応ができる病院として存在している(帝王切開とか、リスクの高い分娩の対応)のであれば、いつ何があってもおかしくないため、気が休まるときがありません。せめてもう少し人数がいるのであれば休むこともできると思いますが、1人は完全休暇という制度にして病院周辺にいないときに2人の産科医がいないと対応できない問題があったら困りますよね。

 

お産をしているクリニックと病院の違いはそこらへんにあると思います。

 

2人で今までも精一杯やってこられたのだと思いますが、限界がきて辞められるという話なんだと思います。地域の血液内科を1人で支えている先生も「すごいな」とは思うのですが、それを聞いてそこに行きたいとは思わないです。忙しすぎて2人じゃ足りないし、数人単位で人が増えないとスーパードクターのような方がいなくなったら、根こそぎ倒れてしまいます

(この問題は2人で頑張っていた善良なスーパードクターが根をあげたというだけです)

 

本当はそういう方々が頑張っている間に体制を整えなくてはいけなかったのに「頑張っているから、大丈夫だろう」と行政が遊んでいたから今につながります。継続するシステムが必要なんです。

 

今の日本の医療は一部のスーパーマンのような人の自己犠牲で成り立っています。1人でやっている血液内科の先生も朝から夜中まで働き続けで、北海道まで来たのも指導した若い医師が当直にきてくれたからと言っていました。

一人でやるために、夜中まで様々な指示を出したりして、食事をするのは夜9−10時くらいにと言っていました。

 

この先生が一人で支えている間に、本当はどうにか血液内科医を増やして継続できる体制を作らないといけないのに、完全に「おんぶにだっこ」で行政も病院も遊んでいるということなのだろうと思います(もう無理という話になった時に困るのは住民)。

 

そういうところが山のようにあって、それぞれの医師が根をあげたら「なんでできないんだ」って言っているわけです。今までも頑張って来たのに、「お疲れ様でした。ありがとうございました」ではなく、責めるわけです。責められるべきは行政(この地域の市長さんもアホなこと言っているみたいですね。自分の責任放り投げて)

この医療圏に産婦人科は来ないだろうと思います。

 

基本的に医師を集約化して、休める体制が作れれば医療の継続はできると思います。そういう体制をいかに作るかが課題です。僕は「集約化と時間的距離の改善」が全てだと思っていますので、それをどうするかではないかなと思います。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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それでは、また

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2 コメント

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Unknown (女王様)
2019-08-09 02:39:31
毎日 地獄の窯のような暑さですね。
やっぱり熱中症の搬送は増えてるんでしょうか。

透析に通ってると気のせいか救急車が多い気がします。

透析患者はうまく汗がかけなくなるとかで 水分制限をいろいろ見直したりしてます。 多くても心臓に負担だし、足りないと血栓でとんでもないことになりかねない。
隣のベッドのオジサンが 自転車で通ってきてて 先日待合室で脳梗塞起こして、即入院になって。
怖いなぁ と実感しました。 別のおばあさんはスイカ食べすぎたとかで 救急搬送されICU行きになったり 夏は透析患者にはなかなかの鬼門。
麦茶をチビチビ飲んでしのいでおります。
抜いた日のごほうびは ガリガリくん(笑)。 いくつになっても なんか食べたくなるガリガリくん。
大人のガリガリくん和梨味、とても美味しいですよー。 見つけたらお試し下さい。

血内は そもそもある病院が少ないですよね。 どうしても偏在しちゃうし そうなると一人の医師が診る数がキャパオーバーになるのは致し方ないでしょう。
今の病院では二人しかいなくて 二人がそれぞれ週に午前中2日. 午後の予約外来は それぞれが火曜日金曜日の1日づつ。
つまり午後診は週2しかありません。 当然大渋滞です。
私のように 大学病院じゃなくても安定してるレベルが多いけど、リウマチや貧血の患者さんも含むので 結局患者数はかなりになります。

地域病院は大学に医師を返品しちゃうのか どんどん常勤医師が減りました。
産婦人科は一人になり お産を扱わなくなりましたし、小児科は非常勤医だけなので午前の外来のみ、入院ナシ、救急ナシ。
これでは地域中核としてどうなのか‥。
産婦人科だった階と小児科だった階が真っ暗で 入院した時メチャクチャ夜は恐くて(汗)。

市内の開業産婦人科は殆ど廃業したり、内科に変えたり婦人病だけ扱う形にしたり。
たくさんあったはずなのに、みんな医師が高齢化で24時間動けないんでしょう。
これでは産めよ増やせよ言われても 安心してお産なんかできませんね現実的に。

私の友人が産科ナースをしてましたが 産科ナースは自分が子供を作れない、夜勤入れないとつとまらないし、と言って泣く泣く退職しました。
総合病院なので 別の科の異動もできたのだけれど、赤ちゃんが好きで産科が好きだったので辞める選択をしたとか。
そんな彼女もアラフィフになり 辞めてポンポン3人授かり、初孫を世話しております。
男性医師も女医もナースも 皆がキチンと収入補償され、休めたり勉学に励んだり出来ないような医療界では未来はありません。
勤務者のためにも患者のためにもならない現状を打破する、そんな事は先日の参院選候補は誰も言わないし。
保育無償以前の問題なはずなのにおかしい。

まあ でも開業医はいいですよねー。 来週ガッツリ盆休みです。
患者には盆も正月もないというのに。
元旦から透析で始まった私は 盆休みもなく、とりあえず大磯ロングビーチに行って来ました。
楽しむにはあまりに暑すぎて 日陰に隠れて。
透析の針跡が黒々と5センチくらいが2ヵ所もあると 人目が気になって‥。 つまらない事なんですけどね。

アンパンマンに房総ですか! 大変だ(笑)。
あの水族館は 水族館以上にイルカやシャチショーが素晴らしいですよ。
私も幼い頃に家族で行きました。 イルカを見た妹が「大きな金魚ねー」って言ってたのを思い出しました。
マザー牧場は是非一度行きたいんですが 美味しい乳製品はリンが高い(汗)
ゆっくり楽しんできて下さい。
お天気に恵まれますように。←ホドホドに。
九十九里は埼玉よりはいくらか涼しいとはいえ 今夏は殺人的な暑さですから くれぐれもお気をつけて行ってらっしゃいませ。
出来たら携帯をオフにして お父さん業に専念して。
良き夏休みをおすごし下さい。
旅行から帰ってきました (アンフェタミン)
2019-08-13 22:46:05
>女王様さん
こんばんは、コメントありがとうございます。

暑さのせいか、熱中症の搬送は増えていますね。そろそろ暑さも和らぐと良いのですが。

透析患者さんでも色々制限があるのはわかります。女王様さんはしっかりされているので、その中でうまくされているのだと思います。

昔、透析になったので制限するのをやめた・・と言って好きなことをしていたら、カリウムが10mEq/Lを超え、高カリウム性の四肢麻痺になって搬送されてきた人がいました。もちろん緊急透析です(笑

ガリガリ君の梨味、美味しいですよね。ガリガリ君ソーダとして飲んだ記憶があります。

血液内科は本当に少ないので、一部の病院に1人、2人でやるくらいであれば、本当に集約化した方が色々できると思います。

旅行、行ってまいりました。色々楽しく過ごせましたし、良い思い出になりました。

今日から、仕事復帰です。

また、コメントいただければと存じます

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