「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの随想:台風19号による災害で考えたこと

2019年10月18日 | 時事随想

 キンモクセイの香りが漂ってくる季節となりました。台風19号による甚大な風水害が発生しました。昨年度は、西日本豪雨と名付けられた水害がありましたが、今年は台風に関連した水害が、中部・関東・東北の東日本を襲いました。私の住んでいる場所は、高層ビルの26階ですが、台風により大きく揺れるのを感じました。今回の台風は、そのように強い風もすごかったのですが、それ以上に雨台風として、多大な災害をもたらしました。

 東京でも、多摩川や荒川の決壊が予想され、一部地域では実際に災害が起きました。もしも、荒川が本格的に決壊したら、東京の西部地域は完全に水没する危険がありました。その危険性を、実感した人たちも多かったと思われます。集合住宅の高層階に住んでいる方は、まずは身の危険はないと思われますが、周辺が水没した状況で、ライフラインも寸断され、その後の生活をどうするのか大問題となります。今回、多摩川の決壊により武蔵小杉のタワーマンション(47階建)で配電施設が浸水し、多くの階で停電が発生し、エレベーターや水道が使えない状態が続いているそうです。ただ、そうした被災者を揶揄するようなSNSも多いそうで、極めて残念な殺伐とした世相です。

 近年の集中豪雨は、今までの経験的な判断では対処できないほど、激しいものとなっています。そうした状況を踏まえて、「想定外」という免罪符は機能しないことを行政は覚悟すべきです。近年の激しい気象変動の原因は、地球温暖化と考えられます。スウェーデン人の環境保護活動家のグレタ・トゥーンベリさん(16)は、米ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットで演説し、気候変動問題について行動を起こしていないとして、各国首脳を非難したことが話題となりました。

 しかし、この少女の演説に対する大人(政治家・マスコミ・SNS等)の反応は冷ややかなものでした。科学者は政治家に対し、我々人類は、前例のない対応を必要とする未曾有の脅威に直面していると訴えているにも拘らず、政治家は、経済ビジネスはいつもどおりという姿勢のままで、気候変動に対処できると考えていることが問題です。ましてや、温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を食い止めることを目的としたパリ協定から、トランプ大統領は離脱することを宣言したことは言語道断です。こうした大人(政治家)に対して、若者が反逆するのは当然の権利と言えるでしょう。

 地球温暖化による様々な弊害が、まずは最も弱い部分で現れます。気候変動に対応できない多くの動植物の生存が脅かされ、人間の世界でも高層のトランプタワーにぬくぬくと住んでいる人ではなく、避難所に入ることすら断られたホームレスの人たちに、生命の危機を与えます。今回のホームレスに対する拒否事案は、現在日本の弱者に対する人権無視の風潮を如実に表していて、憂慮する事態です。

 河井酔茗の詩「ゆずり葉」では、「世のお父さん、お母さんたちは 何一つ持ってゆかない。みんなお前たちにゆずってゆくために いのちあるもの、よいもの、美しいものを、一生懸命に造っています。」と美しい言葉を綴っています。しかし、実は「火垂るの墓」のように子どもを奈落の底へ突き落すような状況が発生する社会を作り出していた時代でした。そんな時代に、美辞麗句を並べて大人の行いを評価すること自体が弊害と言えます。今は、人間を含む生物の存続が危惧される時代となっています。将来の人たちのことをもっと考えて、政治家も一般人も世の中の在り方や生き方を真剣に考え直す必要があるようです

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