けい先生のつぼにくる話

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コマネチ線を守って歩く 正しい歩き方 自分の軸のぶれを発見し愕然としました。。

2020-07-12 20:04:43 | 武術、大東流合気柔術、圓功禅拳

どう見ても、むかし、渋谷の駅前にいた傷痍軍人さんです。。今でこそ、日本を守るために戦ってくれた軍人さんに心より感謝をしていますが、当時は子供心にとても怖かったです。


コマネチ!のライン、両側の鼠径部に両手の小指側を添えて、歩きます。
半歩半歩、体の軸がしっかりと、しかし脱力して立てているか、筋肉に頼らないで、骨格を使って動けているか、意識が頭頂から地面まで流れているかを感じるようにします。


能楽の歩き方をイメージするのが良いでしょう。

日本の武術や伝統芸能を志す者の基本として、ナンバ歩きというのがあります。これは能楽師のような歩き方で、10年ほど前から、多くの身体操作関連の書籍に登場するようになりましたので、かなり一般的になりました。
ご存じの方も多くいらっしゃると思います。

これは、ためない、ねじらない、踏ん張らないという歩き方の基礎です。そして一切力まないで動きます。
普段はこんな独り稽古をしておりました。
https://blog.goo.ne.jp/keisclinic/e/784bbb066b6089e03fc26f99ca8f7916

一本歯の下駄で無理なく転んでしまうのもよい稽古です。外圧に逆らわないということです。
https://blog.goo.ne.jp/keisclinic/e/7bc0275765a4d643841f762b988e820c

今年の1月に武術セミナーを行ったのですが、あの時は日本から二人の師範を招いて行ったので、私自身もちゃんとできなければいけないという責任感と焦りで、その動きの精度は、そこそこよかったはずです。しかし、あれから半年を過ぎ、本日自分の動きを再チェックしてみたのですが、微妙に体の軸がずれていて、一見ナンバ歩きに見えるものの、競歩のような歩き方になっているのに気づいてしまいました。。修行が足りん。。。

武術家、舞踊家、治療家などが座禅や立禅をするのは、毎日微妙に異なる自分自身の軸の確認と其の最適な運用を感じとるためでもあります。

この身体操作の独り稽古で非常に役に立つのが一本歯の下駄です。
この稽古も毎日欠かさず行ってきたのですが、微妙にずれが生じておりました。

1.コマネチ線(んなもあるかい、、鼠径部ですね)に両手の小指側をあてる。(ビートたけしのコマネチ!を知る世代です。)
2.そして、前進するときに骨盤と上体が左右にねじれないように固定したまま動く。始終力まない。
3.重心は基本的にかかと重心で、マリオネットのように頭頂から糸で吊り下げられている感覚を維持する。

こういう動きができるようになると、何が良いのでしょう。
武術的には;
1.中国武術でいう立身中正という立ち居振る舞いになるので、日本武道でいう合気体になり、相手に止められない動きができるようになる。こちらはほとんど力を使わずに動ける。
2.こちらに触れてきた相手は、その虚無の体勢の体に対して、一種の錯覚を起こして力が抜けてしまうので、こちらの技が極端にかけやすくなる。力感をほとんど感じずに相手を崩せるようになる。
3.この状態で技をかけられた相手は、力が抜けたようになり、やられた感を感じさせられずに技を決められてしまうので、怒る気がしなくなってしまう。
4.この状態で打撃を加えられると、体の芯まで響いて、抵抗できなくなる。
5.年齢に関係なく、むしろ脱力抜力ということをしやすくなるので、歳とともに磨かれる。

東洋医学的には;
じつは、この身体操作が、鍼灸の施術や、漢方医学の脈診、腹診に大変有効に使えるのです。
1.身体の根幹が合気体となっていると、脈診や腹診で触れられた患者さんの身体は、これを無理なく受け入れることができるので、診断の精度が高まる。
2.脈診の際も、触れた脈からそれと関連する経絡の末端までを探る感性が高まる。
3.患者さんの体に触れて、その触れた場所より、そこと関連のある経絡や臓器、感の良いときはその精神状態を感じやすくなる。
4.治療家が本当に弛緩できていると、その状態が患者さんにも伝わるので、どちらも程よくリラックスができて、治療の精度が高まる。
5.時として、鍼を置いただけで、患者さんは全身に特殊な気の流れというか、バイブレーションのようなものが伝わってゆくのが感じられる。これは、「意到気到、通則不痛」といことで、「意識が至って気が通る、気が通って痛み(病)治る」という現象が起きやすくなる。

このように治療家自身の弛緩した姿勢と意識と触れ方の精度を上げてゆくことは、眼に観えない経絡を感じて気血の流れを調整する伝統的な鍼灸漢方の治療家には大切なメソッドです。

西洋的な概念で「頭痛のツボはこれ」、「生理痛の鍼はどこに」、「痔の漢方はこれに限る」、という風にツボや漢方薬を病名だけで選ぶ治療家の方々とは異なる、ある意味深淵なる一生ものの診療技術の稽古となります。
だから毎日が本当に楽しいのです。



新型コロナウィルスでは死にません。
どっしりと構えておりましょう。
大丈夫、だいじょうぶ。。

漢方アメリカOnline 
http://www.kanpouamerica.com/

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