けい先生のつぼにくる話

はりきゅう漢方の先生が教えてくれる健康に関する話
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漢方の先生に肝臓が悪いって言われたのです!肝臓は悪くないのですよ。脅かし医学で儲けている先生方。。

2020-02-19 21:31:55 | 東洋医学全般



よく説明不足な漢方の先生に「私は鍼灸師に脾臓が悪いって言われました!」「中医師に肝臓と腎臓が悪いっていつも言われるんです!」「漢方薬局の薬剤師さんに腎臓が悪いって言われたのですが、将来人工透析になるんでしょうか?」という質問が寄せられます。

ご本人たちはいたって真剣です。そりゃぁそうです。人工透析なんて一生毎週3回以上通院して、4時間も座っていなければいけない大変な状態になると思い込んでしまっているのです。お気持ちは大変理解できるお話です。

東洋医学では、メインになる臓器を五臓といって肝、心、脾、肺、腎の虚を観ることによって、その体質と病変と予後を判断いたします。(古の医師は心は虚してしまうと死んでしまうので、実際は肝、脾、肺、腎の四臓を意識しして診断をいたします。

ここで大事なことは、これらの五臓は肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓のことを指していないということです。もちろん多少は関係がありますが、東洋的な意味合いでの五臓は、それに連なる経絡とその経絡の通る場所にある組織や、五臓と関連する意識、情動の方を指しています。

例えば肝という概念は、足の親指から内股を通って肝臓を通過して胸の中をあがって目の裏に繋がっていて、一部は頭頂部で終っている足の厥陰肝経(足のけついん、あるいはけっちんかんけい)という経絡の流れが含まれています。そして、怒り、神経の細やかさ、全身の筋肉と腱、そして眼の機能などが含まれています。
東洋医学では、これを全部含めて「肝」と表現しています。イコール「肝臓」ではないのです。
だから、あえて臓の字をつけずに、「肝」と言い表しているのです。
場合によっては、臓という字を使わずに「蔵」の字を使って「心の蔵」などと区別した表現をする場合もあります。

もちろん、肝だけでなく、五臓すべてについて、このような経絡とその人体の関連部位と各々に怒り、喜びすぎ、考えすぎ、悲しみすぎ、恐れすぎ、などの五情という感情との関連付けがされています。

東洋医学の専門家は、問診、脈診、腹診、舌診などを行って、例えば、この足の厥陰肝経に変調があって、その内容が弱っていれば「肝虚証」、必要以上に亢進していれば「肝実証」などの診断をいたします。
そして、東洋医学で使われる東洋哲学的概念で人体を観察した場合、肝虚証はその肝の面倒を見ている腎も虚していることがあるので、肝虚証と診断をしたら、肝の経絡と腎の経絡を補って、これを根本治療といたします。
これを本治法といいます。この本治方と実際に症状があらわれているところの治療を表治法といいます。
この本治法と表治法を組み合わせるのが「伝統的な鍼灸漢方治療」といわれます。

ここで、説明不足な先生が、そういうことをご理解いただいていない患者さんに、不用意に「う~ん、これは肝臓と腎臓が虚しているから、治療をしなければねえ。」などと言ってしまうから、諸々の弊害が起きるのです。
すると、患者さんは「肝臓が弱っているといわれた、腎臓も変だといわれた!」とパニックを起こしてしまいます。

あるいは、これを意図的にパニックを起こさせるために行っている治療家がいるような気がいたします。
あまり考えたくないお話ですが、脅かすことによって、患者さんは何度も診療に来なければと洗脳されてしまったり、高額な漢方薬やおかしなサプリメントを買わされていることも事実です。

ずいぶん前にも書いたのですが、漢方薬やサプリ類のうたい文句に、少しでも脅かしのニュアンスがある内容があるようでしたら、これは買わないほうがよろしい。
「今のうちにこれを飲んでおかないと大変なことになる」的な宣伝文句で売られている製品は遠ざけましょう。

日本の東洋医学を学ぶものは東洋哲学である易経も必修科目として修めます。
東洋哲学的には、そして古典東洋医学では、人間は健康で幸せになるように、そのようにできているのです。
病はそのままであることはなく、必ず何らかのよい方向へ行くことになっています。
不幸からも必ず脱却することができると教えられています。

とくに易経哲学では、これを占いの学問だと決めつけている方も多いのですが、本当の易経は人生をクリエイトする学問として修めるものです。占星術や姓名判断で決められた運命も変えることができるのが易経の教えです。
易経は陰陽の概念が最初に書かれた書物で、すべての東洋の古典哲学書、古典医学書、古典文学の中に生きています。この書物から出ている陰陽、三才、五行、八卦、などが東洋医学の根幹となっています。
日本では、これら東洋的概念から学ぶ東洋医学と同時に西洋医学の解剖学、生理学、病理学も必修となっており、バランスの取れた勉強をすることが大切だと教わりました。

昭和の頃の懐かしい思い出です。

占いではなく、人生をクリエイトするための易経の本としては
安岡正篤氏の「易と健康〈上〉易とはなにか」が読みやすくわかりやすい入門書です。


漢方アメリカOnline
http://www.kanpouamerica.com/



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2 コメント

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Unknown (leaf)
2020-02-21 00:26:49
こんばんは。始めまして^^
こちらへご訪問、”いいね”に加えフォロー登録いただき有難うございます。

漢方・鍼灸の先生なのですね。
記事を拝読させていただきました。
とっても勉強になりました~^^

当方、愛知県より発信の写真がメインの拙いブログですがよろしくお願いします。
コメント深謝です。 (黒谷)
2020-02-21 10:17:31
Leaf様
コメントをいただきまして、こちらこそありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
日本の写真がとても懐かしく、うれしくなります。

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