歌劇「ノルマ」 | 小野弘晴のブログ

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ベッリーニの歌劇「ノルマ」


彼の他の名作といえば「カプレーティ家とモンテッキ家」「海賊」「夢遊病の女」「清教徒」などがあります。


ベルリオーズやワーグナーから大きな賞賛を受け、同世代のショパンが彼に大きな影響を受けた事は広く知られています。


格調高い音楽、ベルカント唱法を生かした美しく愛やや悲しみを豊かに表現する旋律が、彼の作品を聴くととても良くわかります。


またベッリーニ自身は気高く善良であり、とても高潔な人であったとロッシーニをはじめ多くの友人達が後に語っています。


そんなベッリーニの円熟期後半、30(1831)の時に「ノルマ」が書かれました。


ベッリーニのオペラを知る上で、当時最も優秀な詩作家であった台本作家のフェリーチェ・ロマーニとの関わりは外せません。

ベッリーニは彼を「私の音楽的霊感の源泉」と呼んで絶大な信頼を寄せ、それ以降の第10作「テンダのベアトリーチェ」までの7作でロマーニの台本を採用しました。


ベッリーニの音楽要素として、音楽とテクストの密接な関係が最も重要とされ、その音楽は心から生まれるものであり、テクストと密接な結びつきがあることが分かります。


水谷彰良・著「オペラ・キャラクター解読事典」には【旋律美の中に狂気が埋もれてしまう(前後略)】と評されましたが、それは(多く積み上がってくる)技巧的問題を歌手が解決して、旋律と抒情のバランスが取れた時、それはシンプルで繊細な彼の美しい音楽の中に秘められた激情を表現できるし、そこに到達するべきだと捉えられます。


演劇的要素も存分にありますが、大切なのは表現において音楽的発声的に声の芯を崩す事なくそれを行う事です。


今回ポッリオーネ役は初役で挑みますが、リハーサルに臨む前に、またはリハーサル期間にどれだけこの問題と音楽と向き合うかによって、また新しい発見があると思います。

最高のパフォーマンスへの準備を常に欠かせません。


ベッリーニの名作「ノルマ」是非足をお運びください。