前の記事からの続きです。前の記事→付き合うとあなたを不幸にする人 ①

 

うっかり付き合うと自分が不幸に陥れられるタイプの人、

気をつけた方がいい相手を精神医学上の分類では「サイコパス」と言います。
 

サイコパスの人物から被害を被らないために適切な対処方法

を予め知っておく必要があります。

1.サイコパスの特徴を知り、そういう人物が近づいてきたとき、すぐに察知する。
2.自分がサイコパスの被害に遭いやすい人間か、自己理解を深める。
3.サイコパスらしき人物が自分に近づいたときの対応法、具体的行動のガイドラインを決めておく。

 

今回は

 

2.自分がサイコパスの被害に遭いやすい人間か、自己理解を深める。
ということについて述べます。

自己理解が重要ということは、あらゆることに共通することですが、

サイコパスへの対処方でもとりわけ大切です。
サイコパスは、そういう相手に狙いを定め、弱みにつけこもうとするからです。

 

サイコパスの被害に遭いやすい人の特徴としては、以下のような傾向があります。

a)自分の反発心を抑制するタイプ

:自分の意見を言うのが苦手で、他人に主導権を握られやすい人です。

このような人は、サイコパスによる支配や操縦に対して抵抗しにくいため、

被害に遭いやすいとされています。
 

b)他人に同情しやすいタイプ

:他人の問題や困難に対して共感し、助けたいと思う心根が優しい人も、

サイコパスの標的になりやすいです。
 

c)自分を責めやすいタイプ

:何か問題が起きたときに、自分にも非があると考えがちな人は、

サイコパスによる悪影響を受けやすいです。

これらの特徴を持つ人は、サイコパスの被害に遭わないよう、

自己の意見をしっかりと持ち、他人の言動に対して適切な距離感を保つことが重要です。また、自分の直感を信じ、不審に思う点があれば、それを無視せずに注意することも大切です。

注)出所、参考
1) サイコパスの被害者になりやすい人とは?

  http://www.psychopath-taisho.net/entry203.html.
2) 被害に遭いやすい人々 | サイコパスとは何か?

http://psy-nd.wbrain.net/damage/victim.html.
3) 沈思黙考Vol.11~サイコパス⑤(狙われやすい人と対策 .... https://ameblo.jp/tribune-ns0731/entry-11909816760.html.
 

うっかり付き合うと自分が不幸に陥れられるタイプの人、気をつけた方がいい相手がいます。
そういう人を精神医学上の分類では「サイコパス」と言いますが、今ではすっかり一般名詞となり、
日常会話でも良く用いられるくらい広まっていますから、ご存知の方が多いと思います。

サイコパスとは「反社会性パーソナリティ障害」に分類される精神病質者のことを指します。
この障害を持つ人々は、非社会的で攻撃的な傾向があり、
極度に衝動的で、罪悪感がほとんどまたは全くなく、他人との永続的な愛情の絆を結ぶことができません。
こんな人を信用し関係を深めると、とても不幸な目に遭う危険性があります。
サイコパスは、貴方の「幸せの宝」を奪おうと狙うからです。

そこで、

サイコパスの人物から被害を被らないためには、適切な対処方法

を予め知っておく必要があります。
具体的な予防、対処方は以下の通りです。

1.サイコパスの特徴を知り、身近にそういう人物が近づいてきたとき、すぐに察知できるようにする。
2.自分がサイコパスの被害に遭いやすい人間か、自己理解を深める。
3.もしサイコパスらしき人物が自分に近づいたときの対応法、具体的行動のガイドラインを決めておく。


<サイコパスの10の特徴>
今回の記事では、まず1.のサイコパスの特徴について確認します。
サイコパスの特徴としては、以下のようなものが挙げられます。注)※1.

1.表面上は口達者
初対面の人とも会話が弾み、社交的で、魅力的な人に見える。
状況把握能力が高く、臨機応変な対応力があり、相手が求めるような会話を簡単にできる。

2.利己的・自己中心的
非常に利己的で、自分のことしか考えない。
これは、他人に対する共感力が欠如していることが原因であり、
自分の行動によって他人がどのように感じ、不利益を与えようが一切気にならない。

3.自慢話をする
利己的・自己中心的であるため、自分が世界の中心であると思う。
自分を優秀であると思っていたり、他人を見下したりする。
自分に自信があり、当然のように自慢話をする。

4.自分の非を認めない
利己的であり、自分を優秀であると考えているので自分の非を認めない。
何か問題が発生しても、他人のせいか、運が悪かったと解釈しており、決して自分の行動を反省しない。

5.結果至上主義
成果を手に入れるためであればどのような手段も用いる。
成果を出すためなら他人を踏み台にし、罪悪感なく他人を騙す。

6.平然と嘘をつく
平然、堂々と嘘をつく。
自慢のため、他人を利用するため、自分の目的を達成するために、人を騙しても何ら良心の呵責を感じない。

7.共感ができない
他人が悲しんでいたり、反対に嬉しがったりしても、まったく共感ができない。ただし、
「悲しい」「嬉しい」という概念は理解しているため、共感していなくとも、相手がどういう状態にあるかは理解できる。

8.他人を操ろうとする
他人に対する共感ができないため、結果を出す、自分の目的を達成するためでならば、平気で他人を操る。
口達者で、平然と嘘をつけることから、実際に他人を操る能力が高い。

9.良心の欠如
良心が欠如しており、自分の行動によって他人に迷惑をかけようとも一切気にしない。
特に良心が著しく欠如している場合には、猟奇的な殺人者になるケースが見受けられる。

10.刺激を求める
サイコパスの人は、刺激がない状態には耐えられない。
常に自分を満たすために、スリルを追い求めたり、リスクをとって危険な行動に出たりする。
そのため、常に同じことをするなどの面倒でつまらない作業には耐えられないケースが多い。

誰にでも疑いの目を向けることは好ましいとは言えませんが、
これらの特徴に強くあてはまる人が身近にいる場合は要注意です。

サイコパスは実はあなたの周りに意外に多くいる
 

サイコパスの存在する確率は、人口の約1%から3%とされています※2。
これは、学校で言えば、1クラス30人として、その中にサイコパスがいてもおかしくないということになります。
また、マーサ・スタウト博士の著書によると、サイコパスの割合は25人に1人とされています※3。
これは、一般的な印象よりも非常に高いもので、4%ほどの確率で、身近にも存在し得るということになります。
サイコパスという言葉は、映画などの創作物で多く取り上げられたことから、広まるようになりました。
その結果、「危険」「犯罪」などのイメージが一人歩きしている面もありますが、
実際にはごく普通に、生活している人も多いのです。
このようなことを考慮に入れると、25人に1人、この数字も意外と多いものではないのかもしれません。
少なくとも「誰もが自分と同じような良心を持っているとは限らない」という最低限の警戒心を持つことは必要でしょう。

注)出所、参考
※1)『サイコパス(精神病質者)の10の特徴と診断基準|実はあなたの周りに・・・?~いざという時の備えに』
~刑事事件マガジン,https://keiji-pro.com/magazine/10/
※2)『サイコパスが身近に存在する確率とは』『人口割合で見るサイコパスの発生率は』. http://www.psychopath-taisho.net/entry34.html.
※3)『良心をもたない人たち』(The Sociopath Next Door),Martha Staut著,木村博江訳、草思社、2012/10/04

従業員幸福度(EH)調査2024年3月
従業員幸福度調査毎月統計(ハピネス*ウェルビーイング・メーター)第28回

 

従業員幸福度調査毎月統計「2024年2月度速報」今年最後の月度速報です。
全国の働く人びと、あらゆる業種の従業員の方々を対象として
「従業員幸福度(EH)」を毎月測定、ご報告しています。今回はその第26回です。
毎月従業員幸福度の変化を報告していますのでご覧いただければ幸いです。
なお、調査項目は弊社が開発した「従業員幸福度(EH)調査®」をベースにしています。


【2024.3月「従業員幸福度(EH)」全体グラフ】

【2024.3月「従業員幸福度(EH)」性別グラフ】

【所見】

全般的に前月より「幸福度」は微増、「働く幸福度」は低下
前2月より全体として「幸福度」は微増となりました。ただし、

「働く幸福度」はやや低下しました。
ただ、いずれも大きな変化ではなく、定常的な季節変動の範囲内かもしれません。

女性の「働く幸福度」低下が目立つ
概ね女性の「幸福度」が高く、世界の一般的傾向が継続していますが、
女性の「働く幸福度」の低下が大きく、

「働く幸福度」(現在)だけは男性が女性より高くなっています。
男性より女性の方が月ごとの変動幅が大きい傾向がありますが、

メンタル等の季節変動が影響しているかも知れません。

<現在>の幸福度よりも<将来>の幸福度予測が低い傾向は継続
<現在>の幸福度よりも<将来>の幸福度予測が低い傾向は引き続き全般的に継続しています。
日本の経済、社会の動向に対して未だ「幸福」の展望が持てていない様子がうかがえます。
 

今月も「従業員幸福度(EH)調査毎月統計」をご覧いただき、

誠にありがとうございました。
 

以上は全体の傾向概要ですが、より詳しい結果について知りたい方にはPDFで月度レポートを差し上げますので
【お問い合わせ先】ページからご請求ください。

 

 

「幸福度」は収入別でどう違うか?
お金は、あればあるほど幸せなのでしょうか?
結論から言うと、
「お金があるほど幸せ」とも「お金があるほど幸せではない」とも言えます。
なんだ結論じゃないだろう!と突っ込まれそうですが、それはどういうことか?
これまでも言及してはいますが、あらためて最新のデータを見て見ましょう。
働いている日本国民の世帯収入別「幸福度」の変化を調査・分析してみました。下記のグラフをご覧ください。
【従業員幸福度の世帯収入別幸福度変化グラフ】


(N=6000,2023年4月~2024年2月、イーハピネス株式会社調査)

前回の記事で示したように、年齢に応じて「幸福度」はかなり変化しますので、
上のグラフは世帯年収層ごとの年齢層分布が均一になるように集計(ウェイトバック集計と言う)してあります。

収入が上がるほど「幸福度」は上がる傾向
一見してわかるのは、途中二つの収入層で落ち込みはあるものの、1500~1800万未満までは収入が上がるほど「幸福度」は上がることです。
つまり、世帯年収1500~1800万未満までは

「お金があるほど幸せ」ということですね。

500~600万未満、800~900万未満で落ち込みが見られるのは、収入以外の交絡因子(調査・分析したい主要な影響要因の仮説(ここでは「収入」)以外の別の隠された要因)の影響を受けているものと推察されます。

「幸福度」は年収1500~1800万で頭打ち、それより収入が多いと

「幸福度」は下がる
世帯年収1500~1800万未満までは収入が上がるほど「幸福度」は上がるものの、
「幸福度」は年収1500~1800万で頭打ちとなり、それより世帯収入が多いと、むしろ「幸福度」は低下することが表れています。
ここで言う年収は世帯年収であることに注意が必要です。個人の年収ですと1000万前後になると思われます。
実際、同様の調査を2019年に実施したことがありますが、そこでは「幸福度」は個人の年収が約1000万で頭打ちとなっていました。
この原因としては、下記の二つが働いていると考えます。

「限界効用逓減の法則」※が働き、豊かになるほど、お金の価値、ありがたみが薄れる
「幸福度」についてお金は主要な規制要因ではなくなり、むしろお金の豊かさが他の「幸福度」低下の原因を引き起こす


※「限界効用逓減の法則」近大経済学の言葉です。

経済学でいう「効用=幸福」と考えて差し支えないと思いますが、「限界」とは変化の割合を指します。
「限界効用逓減の法則」とは、平たく言えば「貨幣等の財の効用(≓満足、幸福)の変化は少額の段階ほど大きく、貨幣等の財が豊富になるほど、その効き目(効用≓満足、幸福)、価値のありがたみが薄れる」ということです。
例えば、食うや食わずの極貧状態では、お金は少額であっても、その差は決定的な価値の違いを持ちます。比較的収入が少ない段階では、収入の増加によって得られる衣食住、耐久消費財や住宅等の差は目覚ましいものとなり、切実な消費欲求の充足度に比例して幸福度は上がります。
しかし、だんだん必要なものが揃って一定の贅沢の欲求も満たされるとお金のありがたみ=幸福度は頭打ちとなり、かえって、経済的な豊かさによって生じる他の要因(交絡因子)、家庭内外のいざこざが新たな不幸の火種となって人々の幸福度のばらつきを産むかもしれません。こういうことは経験的にも納得がいくことだと思います。

経済的豊かさは「幸福度」に直結しない
経済的豊かさ=「幸福度」では無く、経済的豊かさは必ずしもダイレクトに「幸福度」に結びつくわけではないということを初めて研究で明らかにしたのは、
R.イースタリンというアメリカの経済学者です。
1974年に発表された研究(1)でイースタリンは、

一人当たりの所得が増えても、ある一定値を超えると、

一人当たり所得の伸びと「幸福度」の伸びが明確な相関を持たなくなる

という現象を発見しました。さらに、以下のことを明らかにしました。

国際比較で見ると、所得の高い国の幸福度が必ずしも高いとは言えない
:所得が高い国々と低い国々との間で、幸福度の差はそれほど大きくない。
一国内の時系列で見ると、所得の上昇が必ずしも幸福度の上昇をもたらさない
:一国が経済成長して所得が上がっても、幸福度はほとんど変化しない。
所得がある水準以上になると幸福度が頭打ちになる(飽和点の存在)
:年間所得が1~2万ドルを超えるあたりから、所得が増えても幸福度は高くならず、頭打ちになったり、場合によっては下がってくる。

この研究によって、経済的豊かさと「幸福度」が一致しないことは、
「イースタリンパラドックス」または「幸福のパラドックス」と呼ばれるようになりました。
次いで、2010年、
プリンストン大学のダニエル・カーネマン名誉教授とアンガス・ディートン教授(お二人ともノーベル経済学賞受賞)は、
年収と幸福度の関係について重要な研究を行いました(2)。彼らの研究では、
「年収が7万5000ドル(日本円にして約800万円)までは、収入が増えれば増えるほど幸福度は比例して大きくなるが、
それ以上では幸福度は上昇しなくなる」

という結果が示されました。
これらの調査研究をきっかけとして、 GDPに象徴される、物質的経済規模の拡大、成長至上主義の経済や、勤労者の経済面中心の労働条件、経営施策が大いに疑問視され、人間の内面の豊かさ、幸福度が注目されるようになったのです。

「幸福」はやっぱりお金でしょ?
ところが近年「幸福はお金ではない」という仮説を覆すような「幸福のパラドックス」に関する反証となる研究も出てきました。また、
2023年、上記のダニエル・カーネマン名誉教授はペンシルベニア大学ウォートンスクールのマシュー・キリングスワース上級研究員とペンシルベニア大学のバーバラ・メラーズ教授とともに、新たな研究を発表しました(3)。
この新たな研究では、
「年収が7.5万ドル以上になっても、幸福度が高いグループの人々では幸福度は伸び続ける」
という結果が示されました。
幸福度が低いグループと高いグループに分けて分析した結果、幸福度が低いグループの人々では、年収と幸福度の関係がある一定で頭打ちになるが、
幸福度が高いグループの人々では、年収の増加とともに幸福度の上昇傾向がさらに強まるという結果が示されました。
このように最近「幸福のパラドックス」を疑問視するような反証となる研究も発表されていますが、上の研究も、ある限定された条件の下では収入が伸びるほど幸福度は上がり続ける、というものです。
いくつか反証は出てきたものの、
収入が相対的に少ない段階では収入と「幸福度」との相関は極めて強く、収入が十分上がれば「幸福度」は上がり続けるにしても、
収入と「幸福度」の相関は弱くなるという法則性はあるものと考えられます。
すなわち、
お金に困っている人にとってお金の有無は、しばしば「幸せ」か「不幸せ」かを分かつ決定的要素となり、
収入が少ないうちは収入の伸びは生活水準(Well-being)の豊かさを左右する重要な要素
だが、
十分に金銭的余裕が満たされてくれば「限界効用逓減の法則」(上述)が働き、
収入の増減は相対的にさほど重要ではなくなり、「幸福度」は他の要因に、より強く左右される
ようになる

ということだと考えます。
しかし、これは「貧乏なうちは幸福なんかあり得ない」とか「幸せはお金の有無で決まる」と言いたいのではありません。
人間には、お金をはじめ逆境を耐え抜く強靱な力があります。
恵まれない境遇にさえ「幸せ」を見出し「災い転じて福となす」のが人の人たる所以です。
困難に耐え、しなやかに立ち直る力をレジリエンス(※関連記事)と言い、
不運な巡り合わせも「悪いことばかりじゃない」と前向きに捉える力を「適応的選好形成」(※関連記事)と言います。
とはいえ、これは人間に備わった非常時の自己防衛の仕組みであり、お金の問題はこだわらなくていいというものではありません。
お金が「幸福度」、心身の「Well-being」の重大な決定要因であることは、これまで見てきた通りです。
安易に「心の時代」などと言うのは偽善に過ぎません。

「幸福」はお金じゃ買えない、しかしお金は不幸を防ぎ、幸せをつかむ糧となる
当たり前ですが「お金」=「幸福」ではなく、「幸福」そのものはお金では買えません。
しかしお金は不幸を防ぎ、幸せをつかむ糧となります。
逆説的ですが「幸せであるためには、まず取り返しつかない不幸から身を守ること」が筆者の持論です。
「幸福」であるには、まず重大な「不幸」の危機を防ぐことが大切です。何が「不幸」を招く危機かというと、
私は「不幸の三大リスク」と呼んでいますが、それは、
1.健康
2.お金
3.人とのつながり  です。
これらは相互に密接な因果関係がありますが、お金の果たす力に焦点を当てると、
「健康」の維持には予防、検査、治療の為の費用がかかります。
「人とのつながり」を維持する為のお付き合いにも一定のお金が必要です。
これらに必要な最低限のお金の確保が、まず必須となるでしょう。お金が「幸福度」向上に決定的役割を果たす収入のレベルまでは、
まずは一人ひとりが経済的自己管理、さらに公的制度・政策、企業経営の課題として留意する必要があります。
【関連記事↓】
男と女、どっちが幸せ? 性別/年齢別幸福度変化

若い人と中年、高齢者、誰がいちばん幸せ? 年齢別幸福度の変化

「働く幸福度診断」のご案内

【お問い合わせ先】ページ

(1)Easterlin, R. (1974) ‘Does Economic Growth Improve the Human Lot?’ in P.A. David and M.W. Reder, (eds). Nations and Households on Economic Growth: Essays in Honor of Moses Abramovitz, New York: Academic Press, Inc. 
(2)Daniel Kahneman(2010),’High income improves evaluation of life but not emotional well-being
Daniel Kahneman kahneman@princeton.edu and Angus DeatonAuthors Info & Affiliations, August 4, 2010 (sent for review July 4, 2010)
(3)Killingsworth MA, Kahneman D, Mellers B. Income and emotional well-being: A conflict resolved. Proc Natl Acad Sci U S A. 2023 Mar 1;120(10):e2208661120.

 

「幸福度」は性別でどう違うか?
男性と女性、どっちが幸せなのでしょうか?
今まで何度も言及してはいますが、あらためて最新のデータを見て見ましょう。
働いている日本国民の男女別別「幸福度」の変化を調査・分析してみました。

下記のグラフをご覧ください。
【従業員幸福度の男女別グラフ】(N=6000,2023年4月~2024年2月)

男女別/年齢別幸福度変化の特徴
男女別、年齢別幸福度変化の特徴を見ると、以下のようにまとめられます。

1.女性が総じて男性よりも幸せであり、特に女性の「私生活の幸福度」が高い
2.男女共に「幸福度」は年齢の変化に応じてU字型のカーブを描き、男性は50~54歳、女性は55~59歳がボトムとなる
3.多くの年齢層で女性の「幸福度」が高いが、25~29歳、55~59歳では男性が「幸福度」が高い
4.結婚が大きく影響し30~34歳で男女の「幸福度」の乖離大、女性の「幸福度」の高さと比べ男性の低さが目立つ
5.女性の「幸福度」変化は男性よりも起伏が激しい


個別に詳しく見ていきましょう。

1.女性が男性よりも幸せ、特に女性の「私生活の幸福度」が高い
上のグラフの通り、女性が「総合幸福度」「働く幸福度」「私生活の幸福度」の(現在)(将来)全てで男性よりも幸せと回答しており、
特に女性の場合、男性よりも「私生活の幸福度」が特に高いことが特徴です。
このことは弊社、イーハピネス株式会社が毎月実施している


従業員幸福度調査毎月統計
https://e-happiness.co.jp/employee-happiness-survey-monthly-statistics/

でもお知らせしていることですが、世界的傾向とも一致しています。

すなわち、
女性が男性よりも「幸福度」が高いのは一般的傾向なのです。
しかし「働く幸福度」では、男性との差が相対的に小さくなっています。
このことは「働く幸福度」において、女性がまだまだ不利な条件を背負っていることの証左と推察されます。

2.男女共に「幸福度」は年齢の変化に応じてU字型のカーブを描き、男性は50~54歳、女性は55~59歳がボトムとなる(下記グラフ参照)
【従業員幸福度の男女別グラフ】(N=6000,2023年4月~2024年2月)



世界的には、人々の「幸福度」はU字型カーブを描くことが知られています。
U字型ということは、若い人と高齢者が「幸福度」が高く、中年層がボトムになるということであり、
上の調査結果のグラフは、概ね世界的傾向と一致しています。
ただし、男女共に「幸福度」は年齢の変化に応じてU字型のカーブを描きますが、男性は50~54歳、女性は55~59歳がボトムとなっています。
男女共に「幸福度」は中高年が底となっていますが、男性と女性とでは「幸福度」の谷底となる年齢がずれるのはなぜでしょうか。
ここで言う「幸福度」は感情ですから、正確には「幸福感」(Happiness)という主観的「幸福度」を示したものです。
主観的「幸福度」の原因となるのは、男女の精神的幸福の感じ方の違いと客観的複利(Well-being)の状態です。
影響を与える要因として考えられるのは職場、仕事を取り巻く状況の違い(人間関係、ガラスの天井等)、私生活の状況(結婚等)、家庭生活環境(出産、子育て及び仕事との軋轢等)の違い、男女の生理的条件(男女の更年期の違い)の違いが影響していると思われます。

3.多くの年齢層で女性の「幸福度」が高いが、25~29歳、55~59歳では男性が「幸福度」が高い
多くの年齢層で女性の「幸福度」が高いのですが、25~29歳、55~59歳では男性が女性より「幸福度」が高い傾向が表れています。
55~59歳では男性の「幸福度」が高いというより、女性の「幸福度」が、この年齢層で落ち込むと見るべきでしょう。
これも職場、仕事を取り巻く状況の違い、結婚や子育て等、私生活の状況、家庭生活環境の違い、男女の生理的条件の違い等によると考えられます。

4.結婚が大きく影響し、30~34歳で男女の「幸福度」の乖離大、女性の「幸福度」の高さと比べ男性の低さが目立つ
30~34歳で男女の「幸福度」の乖離が顕著であり、女性の「幸福度」の高さと比べ男性の低さが目立ちます。
この時期は平均的結婚年齢に相当します。
国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」によると、夫妻の平均初婚年齢は夫が30.7歳、妻が29.1歳、平均交際期間は4.3年となっています。
30~34歳は男女既婚者の結婚直後の時期にあたり、男女での「幸福度」の違いは「結婚」という人生の一大イベントが大きく影響していると考えられます。
データを見ると、女性は既婚者の比率が高く、かつ30~34歳既婚女性の「幸福度」は非常に高くなっています。
それと比べて男性の既婚率は半数以下であり、かつ既婚者は未婚者よりも「幸福度」が高いものの、女性ほど極端な差はありません(※下表参照)。
これが30~34歳で女性の「幸福度」の高さと比べ男性の低さが目立つ原因と見て間違いないでしょう。

興味深いのは、女性既婚者の「幸福度」が30~34歳の初婚直後の時期をピークとして、その後の「幸福度」が急激に低下していることで、
60歳以上では逆転し、むしろ未婚女性の方が既婚女性より「幸福度」が高くなっていることです。
対照的に男性では、ほぼ一貫して既婚男性の方が未婚男性より「幸福度」が高くなっています。
男性にとって結婚は一生「幸福度」を高める福音であるのに対して、女性にとって結婚は一刻の夢と長期の幻滅なのかもしれません。
もちろんこれはデータの一般的平均に過ぎません。真の幸福は個々の夫婦の関係によるものです。
ただ、日本の特殊事情として、改善されつつあるとはいえ、夫婦間の役割分担の不均衡、女性に男性が過度に依存している家事、子育て等が影響している可能性もあると考えられます。

5.女性の「幸福度」変化は男性よりも起伏が激しい
上のグラフや表でも読み取れるのは、女性は男性と比べ「幸福度」の変化、起伏が激しいということです。
定量的に確認すると、下表の通りです。
◎【男女別「幸福度」のバラツキの大きさ(標準偏差)】

*標準偏差とは平均値の周りにどれくらいデータ(ここでは男女個々人の「幸福度」)がばらついているか、その大きさを表す数値です。

「幸福度」が高いというのは、上にも示したように感情ですから、「幸福感」(Happiness)という主観的「幸福度」ですが、
「総合幸福度」「働く幸福度」「私生活の幸福度」各々の(現在)(将来)全てで、
女性の「幸福感」のバラツキが男性より大きいことが定量的に確認できます。
女性の「幸福感」は男性と比較して起伏が大きいことは、季節、月間変動、年齢別変動、結婚等ライフスタイルの変動、属人的変動の全てで確認できます。
これは、男女の生理的違い、ライフステージの違い、客観的複利(Well-being)および、それによって影響を受ける「幸福感」の感受性の違いが重奏的に絡み合っているものと推察されます。
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「幸福度」は年齢によってどう変化するか?
「幸福度」は年齢によってどう変化するのでしょうか?、若い人と高齢者ではどちらが幸せなのでしょうか?
それを明らかにするために働いている日本国民の年齢別幸福度の変化を調査・分析してみました。下記のグラフをご覧ください。

【従業員幸福度の年齢別推移グラフ】
(N=6000,2023年4月~2024年2月,性別分布ウェイトバック集計済)

高齢者が最も幸せ
一番「幸福度」が高いのは65~70歳、次いで60~64歳の高齢者従業員です。
世界的には、人々の「幸福度」はU字型カーブを描くことが知られています。
U字型ということは、若い人と高齢者が「幸福度」が高く、中年層がボトムになるということであり、概ね世界的傾向と一致しています。
ここで高齢者が「幸福度」が高いというのは、高齢従業員の実感ですから、正確には「幸福感」(Happiness)という主観的「幸福度」を示したものです。
主観的「幸福度」の原因となるのは、精神的幸福の成熟と客観的複利(Well-being)の状態です。
高齢者は、一般的に肉体的には衰え、能力他の可能性が制約が増大していく面もありますが、達成、蓄積しているものが多くなり、
精神的成熟により自分の人生を肯定的に受容し、一般的に「幸福感」が向上する傾向があることが影響していると考えられます。
さらに今の日本の高齢者を取り巻く客観的環境、経済や社会福祉等、客観的複利(Well-being)が、
若年層より相対的に充実していることも大きく影響していると考えられます。

若年層が高齢者に次いで幸せだが、若い人は将来の幸福に希望が持てない
若年層が高齢者に次いで幸せですが、若い人は中高年以上と比べて、将来の幸福に対して
「自分の将来は幸福になるだろう」という未来への希望が持ちえていないことが重大な問題と考えられます。
特に30~34歳の若年層では、(現在)の「総合幸福度」が平均値6.57と若年層のピークに達し、60歳以上の高齢者に次いで「幸福度」が高いものの、
(将来)の「幸福度」への期待は「総合幸福度」「働く幸福度」「私生活の幸福度」全て平均値6点未満(6点未満は否定的)と
(現在)の「幸福度」とのギャップが最も大きくなっています。
この原因として考えられるのは、結婚、子育てのスタートを切る年齢層であるので、
これから結婚、子育てを含む人生設計に希望を見出せるような経済や社会福祉等、客観的複利(Well-being)の充実の展望が見えず、
むしろ衰退していくと予測していることによると見て間違いないでしょう。
この日本の政治、経済、社会の先行きに対する悲観が、若い勤労者の(将来)の「幸福」への希望を損なっていると考えられます。

現役世代の中高年が最も不幸
最も「幸福度」が低いのは、55~59歳のリタイア前の世代の中高年です。
全体的に34歳以降「幸福度」は低下の一途をたどり、45~59歳では「総合幸福度」「働く幸福度」「私生活の幸福度」の(現在)(将来)全てが
平均値6点未満の「不幸せ」レベルに沈んでいます。
先に述べたように「幸福度」は高齢者と若者が高く、中年層が低く谷間を形成することは世界的に一般的傾向ですが、
本調査では勤労者に限定していること、今の日本の勤労者の特殊事情が影響していると考えられます。
55~59歳の年齢層は、一般的に勤務先で重要な責任を担い、様々な困難にも直面することも多くストレス、健康への不安も多いと考えられます。
それに加え家庭内での負担もまだまだ多くのしかかっている人も少なくない年齢層です。
様々な負担、軋轢にさらされ、苦悩を抱えていることも多い世代であることが影響しているのでしょうか。
日本固有の雇用環境による影響を考えると管理職定年、再雇用一歩手前の世代であることも関係している推察されます。
ポスト喪失、賃金の劇的低下、セカンドキャリアへの不安等、「幸福度」を毀損する様々な要素が存在します。
日本の現役世代中高年の「幸福度」を高める施策が望まれます。

コロナ禍以前と変わらない日本の年齢別「従業員幸福度(EH)」の傾向
以上、年齢層別の推移から見た、今の日本の勤労者、「従業員幸福度(EH)」の傾向を述べさせていただきましたが、
弊社、イーハピネス株式会社では、ほぼ同様の調査を2019年に実施、以降毎月継続的に実施しています。※下記リンク参照
 

従業員幸福度調査毎月統計
https://e-happiness.co.jp/employee-happiness-survey-monthly-statistics/
 

当社、イーハピネス株式会社の調査では、コロナ禍前もコロナ禍以降も基本的に上に述べた同様の傾向が継続しています。

*男女の年齢別「幸福度」推移は次回に
実は「幸福度」は男女で年齢別の「幸福度」の変遷はずいぶん異なります。
そのため、本調査では、年齢層毎の男女比を日本の人口比に調整して集計(ウェイトバック集計と言う)しています。
男女の年齢別「幸福度」推移は次回記事に述べさせていただく予定です。
【お問い合わせ先】ページ

 

 

従業員幸福度(EH)調査2024年2月
従業員幸福度調査毎月統計(ハピネス*ウェルビーイング・メーター)第27回

 

従業員幸福度調査毎月統計「2024年2月度速報」今年最後の月度速報です。
全国の働く人びと、あらゆる業種の従業員の方々を対象として
「従業員幸福度(EH)」を毎月測定、ご報告しています。今回はその第26回です。
毎月従業員幸福度の変化を報告していますのでご覧いただければ幸いです。
なお、調査項目は弊社が開発した「従業員幸福度(EH)調査®」をベースにしています。


【2024.2月「従業員幸福度(EH)」全体グラフ】

【2024.2月「従業員幸福度(EH)」性別グラフ】

【所見】

全般的に前月より「幸福度」は低下
前月1月より「幸福度」の低下しました。
前回が本調査開始以来最高値に達していましたので、

低下といっても上昇トレンド中のバラツキの範囲の可能性があります。
日本経済の復活が顕著になっていますが、

国民、全国の勤労者にとって物価高をはじめ、全般的に国民生活の客観的状況

の改善は見られず、負担増が目立つことが影響しているかもしれません。

これが一時的なものか、継続性があるのか、注視しておく必要があります。

女性の「幸福度」低下が男性より目立つが女性の「幸福度」が男性より高い傾向は継続
女性 の「幸福度」が男性より高い傾向が昨年8月から継続していました。

11月に逆転したものの、12月に再び女性の「幸福度」が高くなり

世界の一般的傾向に戻っています。
今月は、女性の「幸福度」が大きく低下したため、男性とのギャップが

減少しています。
男性より女性の方が月ごとの変動幅が大きい傾向がありますが、

それ以外に物価高、国民負担増等の原因が影響しているかも知れません。

<現在>の幸福度よりも<将来>の幸福度予測が低い傾向は継続
今回、女性の「働く幸福度」が唯一(現在)より(将来)の

「働く幸福度」がわずかに高くなりました。
ただ(将来)の「働く幸福度」が高くなったというより、

両者ともに前月より低下したが、

(現在)の「働く幸福度」がより大きく低下したという事です。
一部に例外的傾向が出現したとはいえ

<現在>の幸福度よりも<将来>の幸福度予測が低い傾向は

引き続き全般的に継続しています。
日本の経済、社会の動向に対して未だ「幸福」の展望が持てていない

様子がうかがえます。

今月も「従業員幸福度(EH)調査毎月統計」をご覧いただき、

誠にありがとうございました。
 

以上は全体の傾向概要ですが、より詳しい結果について知りたい方にはPDFで月度レポートを差し上げますので
【お問い合わせ先】ページからご請求ください。

 

 

従業員幸福度(EH)調査2024年1月
従業員幸福度調査毎月統計(ハピネス*ウェルビーイング・メーター)第26回

 

従業員幸福度調査毎月統計「2024年1月度速報」今年最後の月度速報です。
全国の働く人びと、あらゆる業種の従業員の方々を対象として
「従業員幸福度(EH)」を毎月測定、ご報告しています。今回はその第26回です。
毎月従業員幸福度の変化を報告していますのでご覧いただければ幸いです。
なお、調査項目は弊社が開発した「従業員幸福度(EH)調査®」をベースにしています。


【2024.1月「従業員幸福度(EH)」全体グラフ】

【2024.1月「従業員幸福度(EH)」性別グラフ】

【所見】

全般的に「幸福度」の向上が顕著、最高値に
前12月より「幸福度」の向上が顕著であり、本調査開始以来最高値に達しました。
「総合幸福度」(現在)(将来)「働く幸福度診断」(現在)(将来)「私生活の幸福度」(現在)(将来)のいずれも「従業員幸福度(EH)調査® 」の統計開始以来、最高の「幸福度」を示しています。
国民、全国の勤労者にとって物価高をはじめ、全般的に国民生活の客観的状況の改善は見られないものの、日本経済の復活が顕著になっていることが影響しているかもしれません。これが一時的なものか、継続性があるのか、注視しておく必要があります。

女性の「幸福度」が著しく男性より高く、ギャップが拡大
女性 の「幸福度」が男性より高い傾向が8月から継続していました。11月に逆転したものの、12月に再び女性の「幸福度」が高くなり世界の一般的傾向に戻っています。
世界的(日本も)には一般的に、女性の「幸福度」が男性より高いのですが、今回は、女性の「幸福度」がさらに著しく男性より高くなり、ギャップが拡大しています。
男性の「幸福度」も全項目で向上しているのですが、女性ほど急激な向上は見せていません。
ということは、今回の「幸福度」の向上は、女性に負うところが大きいと言えます。

<現在>の幸福度よりも<将来>の幸福度予測が低い傾向は継続
今回、顕著に「幸福度」全般の向上が見られるとはいえ、<現在>の幸福度よりも<将来>の幸福度予測が低い傾向は引き続き全般的に継続しています。
日本の経済、社会の動向に対して未だ「幸福」の展望が持てていない様子がうかがえます。

今月も「従業員幸福度(EH)調査毎月統計」をご覧いただき、

誠にありがとうございました。
来る年も皆様の一層のご多幸をお祈り申し上げます。

 

以上は全体の傾向概要ですが、より詳しい結果について知りたい方にはPDFで月度レポートを差し上げますので
【お問い合わせ先】ページからご請求ください。

 

 

従業員幸福度調査毎月統計経年比較(2021~2023年)
 

従業員幸福度調査毎月統計の経年比較データ(2021~2023年)のご報告です。
全国の働く人びと、あらゆる業種の従業員の方々を対象として「従業員幸福度(EH)」を毎月測定、ご報告しています。
開始以来毎月の調査を継続し三年経ちましたので年度毎の比較結果をお知らせします。
なお、調査項目は弊社が開発した「従業員幸福度(EH)調査®」をベースにしています。
回答数は1万1000名、経年比較には十分過ぎるサンプル数で、毎月調査実施の平均ですので季節変動も補正されていると考えられます。

【2021~23年「従業員幸福度(EH)」推移全体グラフ】

(N=11,000)

【所見】
2021年から22年、23年と年を追うごとに「幸福度」は向上
従業員幸福度調査の2021~2023年経年比較は、実質的にコロナ禍の最中からコロナ禍の終息過程、コロナ禍明けに至るまでの「従業員幸福度(EH)」の推移を示すものと言えるでしょう。
2020年1月15日に新型コロナウイルスの感染者が国内で確認されて4年が経過しました。
「従業員幸福度(EH)」のデータは2021年から2022年、2023年と全体的に幸福度が向上しています。

コロナ禍明けに先立ち「幸福度」が向上している?
コロナ禍による「幸福度」の変化を見ると、まだコロナ禍明けが見えない2022年には早くも「幸福度」の向上が見られ、意外に「幸福度」の改善が早いように思われます。
日本のコロナ禍のピークがいつかというのは、議論の余地がありますが、重傷者のピークに焦点を当てると2021年夏、感染者のピーク(オミクロン株流行)に焦点を当てると2022年夏、死者数のピークでは2023年1月ということになります。
日本における実質的なコロナ禍明けは2023年5月8日に、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行したタイミングと言えるでしょう。
コロナ禍による「幸福度」低下のボトムは2020年には、まだ本「従業員幸福度調査毎月統計」を開始していないので、データが不明ですが、2020~2021年にあることは間違いありません。
「幸福度」の変化の要因はコロナ禍だけではなく多様な要因が絡み合っていますが、ここ数年「幸福度」変化の最大要因はコロナ禍であることは間違いないでしょう。
その意味では、コロナ禍の最中である2022年、2023年と「幸福度」が向上しているのはなぜでしょうか。

「幸福度」の回復が先行しているのは「レジリエンス」と「適応的選好形成」の影響?
この要因としては3つ考えられます。
第一は、コロナ禍に対する科学的見解の普及と対応策の整備、新型コロナウイルスの弱毒化(?)による安心感の拡がりです。新型コロナウイルス・ワクチンの開発成功は、ワクチンの是非、副反応のリスク等諸説あるものの、人々に「安全・安心」を提供したことは確かです。それによって闇雲な恐怖の連鎖から「正しくリスクと向き合う」姿勢に国民全体が移行したこともあると考えます。テレワークの定着によるワークスタイル、ライフスタイルの変化も影響している可能性もあるでしょう。

第二は人びとの不運な事態への適応力、危機対応能力として、幸福に関する「レジリエンス(復元力)※ここをクリックし解説記事参照」が働いている可能性です。
状況が改善していないにもかかわらず、幸福度は向上、改善する原因として幸福に関する「レジリエンス(復元力)※ここをクリックし解説記事参照」の機能が働いている可能性は前月までにも何度か指摘した通りです。
さらにこの根底には、人間の「適応的選好形成※ここをクリックし解説記事参照」と言い、
状況に順応し、厳しい状況に合わせて自己の欲求を制限することを合理化する心の働きが有ります。
このような人びとの心理的な防衛機能が働いている可能性があると推論しています。
上記以外の客観的状況(ウェルビーイング度合い)は、ウクライナ戦争の継続、円安の継続による諸物価高騰による働く人々の生活、中東危機等、むしろ客観的ウェルビーイング度は悪化しているとも見ることができるので、上の三つが「幸福度」向上の主要な要因と考えられます。

「働く幸福度」(将来)のみ2021年から2022年は、逆に悪化
全般的に「幸福度」の向上が見られる中、「働く幸福度」(将来)のみ2021年から2022年は、逆に悪化しています。これは何を意味するのでしょうか?
「働く幸福度」を巡る中長期的将来についての展望が悪化しているということは、ウィズ・コロナやアフター・コロナの未来が、自らの「働く幸福」につながらないと感じている可能性があります。
日本経済、産業界はコロナ禍から着実な回復、力強い反転攻勢へと転じつつありますが、自組織に所属したままでは、未来の「働く幸福」は得られないと感じている勤労者が多いことを、どのように見るべきでしょうか。
個々の組織の発展と、従業員の「働く幸福」の両立、Win-Winの成長こそが、ひいては日本全体の再創造につながると考えます。
微力ではありますが、弊社も、より多くの組織で従業員の「働く幸福度」(将来)の阻害の原因を明らかにし、その向上に役立つ処方箋の提供に努めていきます。

2021年と2023年で「総合幸福度」(現在)が「働く幸福度」「私生活の幸福度」を上回るのは「社会的幸福度」が改善?
極めて特異的なことは2021年と2023年で、「総合幸福度」(現在)が「働く幸福度」「私生活の幸福度」を上回ったことです。
「総合幸福度」は「働く幸福度」と「私生活の幸福度」を包含、総合したものというのが「従業員幸福度(EH)」の仮説ですが、前に言及した通り、共同主観としての「社会的幸福度」とも言うべき潜在的因子が存在するかもしれません。
これらは今までの経験、データの蓄積から言って極めて異例なことです。
考えられる仮説として、「幸福度」の全体である「総合幸福度」を構成する因子として「働く幸福度」「私生活の幸福度」以外に、もう一つ重要な因子が影響して「総合幸福度」を「働く幸福度」「私生活の幸福度」よりも低い値へと引っ張ったということです。
それは自分の仕事や私生活以外の言わば「社会的な幸福度」と言えるものではないかという仮説を筆者は立てていますが、このことは研究してみる必要がありそうです。

(将来)の「幸福度」が(現在)の「幸福度」より2021~2023年で一貫して低い
<現在>の幸福度よりも<将来>の幸福度予測が低い傾向は2021~2023年で一貫して継続しています。
「従業員幸福度(EH)調査® 」を開発したのは2013年ですが、初めて全国調査を実施したのは2014年です。
2014年の「従業員幸福度(EH)調査」では、(将来)の「幸福度」が(現在)の「幸福度」を明らかに上回っていました。
ところが、2019年に再度調査した際には、(将来)の「幸福度」が(現在)の「幸福度」を下回っていたのです。
この間、少子高齢化を筆頭に、日本の勤労者の客観的幸福の基礎的条件(Well-being)が悪化していることの影響と考えられます。
本調査からは、日本の経済、社会の動向に対して未だ「幸福」の展望が持てていない様子がうかがえます。

以上は全体の傾向概要ですが、より詳しい結果について知りたい方にはPDFで月度レポートを差し上げますので
【お問い合わせ先】ページからご請求ください。