これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

虫垂炎に学ぶ

2019年11月10日 20時36分04秒 | エッセイ
 少し前の話だが、横浜市に住む娘が我が家に帰って来たとき、腹痛を訴えたことがある。
「うーんうーん、お腹が痛い」
「どのへん?」
「胃の上ぐらい。熱もある」
「何だろね」
 病院に行くと「急性虫垂炎」と診断された。
 私は虫垂炎にかかったことがない。姉と妹もなかったから、予備知識もゼロである。
「すぐに入院するから、荷物を持って来てくださいって言われた」
「ほうほう」
 さて、入院に必要なものとは何か。パジャマ、歯ブラシ、スリッパはもちろんのこと、「マグカップ」もあるそうだ。しかし、私はすでに家を出て職場に来てしまった。家に戻ったら面会時間が過ぎてしまうし、カップは必要に迫られている。でも、どこかで買うのもシャクだ。
「そうだ、スタバタンブラーを買おう」
 前から、娘がスタバタンブラーを欲しがっていた。使い捨てのカップではなく、マイタンブラーを持っている方がエコだし、保温性もよい。家にないものを買う分には抵抗がない。
「ついでに私のタンブラーも」
 てなわけで、2つも買ってしまった。



 ちょっと無駄だったかも……。
 使い始めてわかったことだが、飲み口に口紅が「ベチョッ」とついてしまうので、ノーメイクのときがよいだろう。それなりに重宝する。タンブラーを届ける前に、LINEで娘に部屋番号を確認した。
「4人部屋なんだけど、仕切りがあるから快適だよ」
 大部屋でもプライベートな空間が保てるよう、病院側も工夫をしているらしい。差額ベッド代は1日4000円。まあ仕方ない。
 意外だったのは、娘が自分の病気を「虫垂炎」ではなく「盲腸」と言っていたところだ。
「正式には虫垂炎だよ」
「いやいや、盲腸の方がわかるから」
 ネットを見ると、昭和14年から「急性虫垂炎」という名称を使うようになったそうだが、令和になった今でも「盲腸」は健在なのだ。そういえば、職場の30代の女性職員も「盲腸」という言葉を使っていたっけ。過去の遺物だと思っていたら、大間違いであった。
 結局、娘は2泊3日の入院で完治した。今は腹部を切らずに、薬で炎症を抑える治療が普通になっている。3日目には退院手続きをするよう言われ、動けない本人に代わって私が会計窓口まで走った。
「請求書はこちらです」
 金額を見ると、58000円を超えている。
 ギャッ!
 思ったよりも高い。「盲腸」だろうが「虫垂炎」だろうが、金額は同じである。
 このお金で「白いジャケットが買えたな」などと複雑な思いもあったけれど、健康第一。まずは体を治さなければ始まらない。
 いつ、まとまった金額が必要になるかわからない経験をすると、財布の紐が固くなる。
 以前に比べたら、浪費が減ったと思いま~す!


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)

コメント (12)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ン十年ぶりの学園祭 | トップ | デストロイヤーの2乗 »
最新の画像もっと見る

12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (鹿島田の純)
2019-11-10 22:38:01
アチャ〜大変でしたね。私もまだ盲腸は切ってないのでよくは判りませんが、母は三十代で虫垂炎になりそれから、今までも毎回散らして散らして未だに切ってません。しかし、4人部屋で差額が出るんですか?私が入院してたのは3人部屋でしたが、差額はありませんでした。病院によって違うんですね。私はたまたま入院する4ヶ月前に都民共済に入ったので月々2000円で4ヶ月計8000円しか払ってなくても手術代やら入院費用(計2ヶ月プラス)で全部で80万ほど保険金がおりました。支払いは全部で22万(高額医療限度制度)でしたので逆に浮きましたよ(笑)入って良かった〜!職場の前をよく通る可愛い女性だったのでついつい月々2000円ならって入った途端だったので助かりましたよ。(笑)
虫垂炎 (ヤッギー)
2019-11-11 06:03:11
私の兄が虫垂炎に罹って入院してました。いくらかかったのか分かりませんが部屋によって値段が違うんですね。

スタバのタンブラー使いやすそうですね。
【病室】 (心機朗)
2019-11-12 01:06:35
虫垂炎って盲腸のことだっけ?
読み始めて最初に思ったことがコレ。
盲腸ってそんなに遺物なのか?
僕はもう10年くらい前になるのかな?鼻の外科手術をしたので1週間くらい入院したかな?とても暑い夏だったので(最近はいつでも猛暑だけど)、仕事しないでクーラーの効いた部屋にいるのは快適でしたね。やっぱ4人部屋位だったのかなぁ。
盲腸はすごい痛いって印象です。昔、読んでいたマンガで『ドーベルマン刑事』ってのがあったのですが、病気もしない不死身のような加納刑事が唯一倒れて入院したのが盲腸ってエピソードがあって、そんくらい痛いんだって印象に残ってます。最近は切らなくてもいい治療もあるんですね。なにはともあれ無事退院できてよかったですね。
馴染み深い (白玉)
2019-11-12 08:56:57
いまだに盲腸と言えば、誰にでも通じますね。
数日で退院できれば、骨休めみたいな印象もあります。
大部屋の仕切り、かつてはカーテンだけだったけれど、
進化したのでしょうか?
入院費、保険で少しでもカバーできるといいですね。
元気な体でまた仕事して、取り戻しましょう。
プライバシー (砂希)
2019-11-13 21:27:32
>鹿島田の純さん

ロッカーを仕切り代わりに使った4人部屋でした。
カーテンを引けばかなりプライバシーが守れます。
仕切りのない4人部屋には差額がありません。
純さんのコメを読んだ後、そういえば保険に入っていたのだと思い出しました。
たぶん、2泊もすれば保険金が下りるんじゃないかしら。
問題は、領収書をすべて娘が持ち帰ったこと。
なくしていたら、請求はできませんね。
タンブラー (砂希)
2019-11-13 21:29:34
>ヤッギーさん

正直いって、タンブラーは微妙です。
金属の味がするんです。
かすかにだけど……。
やはり、陶器で飲んだ方が美味しいですね。
持ち運びする前提でないと、ありがたみがわからないと思いました。
珈琲をいれたあとに長時間席を離れるような場合は重宝します♪
ドーベルマン刑事 (砂希)
2019-11-13 21:33:09
>心機朗さん

ドーベルマン刑事、知っています。
いくら加納さんでもお腹が痛いと戦えないでしょ。
そもそも力が入りませんわ。
不加納、なーんてね(笑)
快適な入院生活を送られたんですね。
私も入院したことあるけど、自由にお風呂に入れないのがイヤでした。
食事が自動的に出てくるところは好きでした(笑)
空調と食事、自由時間がキーワードですね。
盲腸 (砂希)
2019-11-13 21:36:21
>白玉さん

盲腸は死語になっていませんでした。
それがある意味驚きで、この記事を書くにいたったわけです。
昔と違って、薬で抑える治療が普通になったんですね。
漫画などを見ると、腹痛で病院に運び込まれたあと、緊急手術をして、縫合後「ブー」とガスが出て終わっていたのですが(笑)
全身麻酔は事故のリスクもありよくないです。
安全に治せるならそのほうがいいですね。
Unknown (鹿島田の純)
2019-11-14 00:08:08
もし保険に入っていたなら卽、保険金支払い請求書用紙と保険会社の診断書を郵送してもらい、病院に診断書用紙を提出すれば領収書はいりませんよ(保険金は入院1日にいくらってなってますから掛けるにっす分でるはず)。大体診断書が出るのが2週間位かかる場合もあります。いちお元損保マンですので解らない事がありましたら教えますよ。
そっかぁ (砂希)
2019-11-14 20:13:07
>鹿島田の純さん

なるほど、そういう仕組みになっていましたか。
そういえば、前に請求したときもそうだったかも。
すぐ忘れるんです(笑)
いざというとき頼りになりますね。
保険も純さんも♪

コメントを投稿

エッセイ」カテゴリの最新記事