Twinkle little star(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「あー、なんか。 ニ度めとはいえ・・緊張する、」

 

ひなたは手術の当日、朝からやや顔がこわばっていた。

 

クラスのみんなや部活のみんなや、幼なじみのみんなからもたくさんメッセージが入っていた。

 

その中に。

 

奏からのメッセージが届いていた。

 

動画・・

 

動画が貼ってあった。

 

それを開いてみると

 

北都邸のいつものピアノ室で自分でスマホを固定して撮ったと思われるものが。

 

ピアノに座った奏がおもむろに弾き始めたのは

 

 

きらきら星・・

 

 

ずっと前に

 

きらきら星はモーツアルトが編曲して変奏曲にしたんだよ

 

と教えてくれた。

 

幼稚園児が歌う曲、というイメージしかなかったひなただったが

 

奏が弾くそれは、全く違っていて

 

立派なクラシック音楽だった。

 

清々しく

 

そして音がきらめいて。

 

本当に星がきらめいているようだった。

 

 

「奏くんから?」

 

ゆうこがスマホを覗き込んだ。

 

「うん・・。 きらきら星だって。 カナが弾くと・・本当にすごいピアノ曲になるね、」

 

ひなたはふと微笑んだ。

 

「きれいな曲ね。」

 

「ん、」

 

緊張していた気持ちが少しだけ和らいだ。

 

 

もう学校が試験休みに入ったので、奏は昼過ぎにさくらのレッスンに向かった。

 

そこで

 

「よ、」

 

志藤も来ていたので、ちょっとドキっとした。

 

「・・こんにちわ、」

 

 

情けない

 

と言われて、見捨てられそうな勢いだったことを思い出す。

 

「あの、」

 

志藤の前に立った。

 

「・・ぼくは。 まだまだなので。 わき目も振らず頑張りたいです。聴いてる人の心を揺さぶるピアノを弾きたいです。 弱い自分を乗り越えて、いっそう・・頑張ります。 宜しくお願いします、」

 

そして深く頭を下げた。

 

顔を上げた奏の目は

 

この前のようなおどおどしたものではなく、まっすぐな光を放っていた。

 

志藤は彼の顔をじーっと見た後

 

「ウチの娘は。 根性あるで。 図々しくて、へこたれない。 アホやけど、逞しい。  おまえも負けるな、」

 

決して優しい言葉ではなかったけれど、その目の奥は優しかった。

 

「・・はい。」

 

奏は深く頷いた。

 

 

あの時二人でどんな会話を交わしたのかはわからない。

 

この二人をずっと見てきて、お互いのピンチをいつも自分たちで乗り越えてきている気がしていた。

 

子供だと思っていたけれど

 

傍で見ていてわかるほど二人が成長していくのを、ひしひしと感じた。

 

志藤は少しだけ複雑そうな表情をして椅子から立ち上がった。

 

奏の弾く『きらきら星』に励まされるひなた。 そんな二人を志藤は複雑な気持ちで見守ります・・

 

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