More(11) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「え、」

 

奏はまた驚いた。

 

「私があなたとやってみたかっただけよ。 それ以上も以下もないわ。 もうごちゃごちゃめんどくさいこと言わないで、」

 

綾は腕組みをしてぴしゃりとそう言った。

 

 

大変な人だけどー

 

 

さっき葦切が言っていたことを思い出した。

 

確かに自分なんか彼女の前に出たら吹けば飛ぶような存在だ。

 

こんな人と、果たして競演ができるのか?

 

奏は軽い気持ちで受けてしまったこの仕事を後悔しはじめていた。

 

 

そこに葦切が戻って来た。

 

「志藤が今すぐこちらに来ると言っています。 もう少しお待ちください、」

 

「そう。」

 

綾はコーヒーを一口飲んだ。

 

確かに高名なアーティストではあるけれど。

 

何だか彼女に振り回されている気がして奏は大いに不満だった。

 

志藤も多忙な身なのに、このような事態になってわざわざここに来るという展開もまた奏を閉口させた。

 

 

しばらくして志藤がやって来た。

 

「で。 さっきも言ったんだけど。 私とのデュエットの外に彼にソロで一曲弾いてもらったらどうかと思うのよ。 お客様に納得していただけるように。 そうでしょ? 私と演るんだから、それなりに彼の実力を聴いてもらったほうがいいんじゃない?」

 

「話は先ほど葦切から聞きました。 何分高遠はまだまだ修行が必要な身で、」

 

すぐに自分の案を受け入れなかった志藤に

 

「この子もそうなんだけど。 もっと出していけばいいんじゃないの? 実力はあるんだから。 この子は売れるわよ。 たくさん若手のピアニストいるけど。 この見た目がありながらもったいないわよ。」

 

綾はムッとしながら言った。

 

「・・見た目って、」

 

思わず奏はそう口にしてしまった。

 

うつむいていた彼はパッと顔を上げて

 

「ぼくは。 見た目なんかで勝負するつもりは全くありません。 ホクトに所属しながらこれまで仕事をしてこなかったのも、全て先生や志藤さんが経験の少ないぼくにとにかくピアノに専念させるためにしてくれたことです。 ぼくは『聴かせる』ピアニストになりたいんです。 売れるとか売れないとか。 そんなことじゃなく。」

 

もう何も考えず言葉が出た。

 

いきなり勢いよくしゃべり出した彼に綾も葦切も志藤も驚いた。

 

「絶対に世界で通用するピアニストになるんです。 話題性とかそんなことで舞台に立ちたくないです、」

 

あまりにきっぱりと言い切ったので、志藤は焦った。

 

自分の外見のことを言われて思わず奏はカッとなり・・

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