「や・・もう、そんなウソついてカナとお泊りとか、」
ひなたは何だか恥ずかしくなってななみの背中を叩いて笑ってしまった。
「パパが疑ってるところなんかそこしかないじゃん・・。 なんだと思ってたの？」
ななみは呆れた。
「パパ何怒ってるんだろって。 全然わかんなかった、」
ケロッとして言う姉にななみは思わず吹き出して笑ってしまった。
本当にかわいくて。
妹の目から見ても、抜群にかわいいというのに。
すごく中身は子供っぽくて。
奏とつきあいはじめてからもう2年くらいになるというのに
ひなたのこの調子に、果たして父が心配する必要があるのかと思うくらいだった。
クソっ・・
なんか。
なんか心配や。
志藤は着替えに寝室に戻っても、まだモヤっていた。
ここのところのあの二人が少しずつではあるけれど進んでいるような気がして
気が気ではなかった。
とにかく。
腹が立つほど仲が良くて
お互い忙しくてなかなか会えなくなったようだけど、
たまに二人でいる時を見ると、どんどん距離感が近くなっているような気がした。
パパに友達の家に泊まるってウソついちゃった。
なんてニコニコしながら奏に言っているひなたの姿を勝手に想像してしまい
こ、高校生のクセに！
許してたまるかっ！
思わず拳を握りしめた。
奏に関しては、非の打ち所のない青年で
ピアノの腕も、もうワクワクするくらいの可能性を秘めている。
思いやりがあって、優しくて。
頭も良くて。
しっかりしていて。
なにより。
悔しいけれど
顔がいい。
ひなたにいつの日かカレシができて、そいつがめっちゃブサイクやったら
もうそれだけで反対するのに。
奏の顔レベルが相当なので
文句も言えない。
いったい何が不満なのか
と言われたら答えに詰まるけれど。
いや相手が誰とかではなく、ひなたがどこかの男のものになってしまうのが許せない・・
ただただ
それだけなのだった。
翌日の昼間。
ひなたは玲那の家にその他友人たち4人と共に訪れた。
「みてー、マドレーヌいっぱい焼いてきたよー、」
ひなたが昨夜焼いたマドレーヌを箱にいっぱい入れてきた。
「おいしそー！ ほんと最近ひなた料理に目覚めてるよね。 弁当も自作だし、」
玲那はそれを覗き込んだ。
「よしよし。 じゃあ、食べてあげよう。」
チアの1年生リーダー飛鳥が手を出した。
「いきなり！ もー、コタツに入ってゆっくり話しながら食べようよー、」
身長１４５cmのミニマム、晴乃がそれを止めた。
「あたし飲み物いっぱい買ってきたよ。 炭酸ばっかだけど、」
しっかりものの莉里香が大きな袋を差し出した。
「え～？ あたし炭酸苦手・・」
「文句言わないの。 あー、なんかもう楽しくなってきた！」
ひなたはワクワクが止まらなかった。
とにかくひなたが心配なだけの志藤ですが、友達の家に『「お泊り』は特にウソでもなんでもなく・・
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