志藤は仕事でパソコンとにらめっこ中。
ふっとまた不安がよぎる。
時計を見ると午後3時。
思わず自分のスマホを取り出した。
「・・はい。 もしもし、」
奏は志藤からの電話を受けた。
「あ・・。 ええっと。 今・・何してるん？」
非常に探りながら聞いてしまった。
「あっと。 今、篠宮先生のところに向かっている途中です。」
車がそばを通る音がしている。
「あ、そっか。うん、じゃ・・いいわ、」
少しホッとした。
「・・なにか？」
志藤から電話があること自体少し珍しいので奏は首を傾げた。
「あ、ううん。 大した用やないねん・・。 また今度行った時で。 じゃ。 頑張れよ、」
元々用などないので、それを悟られないように慌てて切った。
奏はおれにウソなんかつかない。
志藤は自分にそう言い聞かせて頷いた。
玲那の6畳ほどの部屋にコタツを置いて、女子5人でお菓子やジュースを広げてワイワイしゃべった。
ほぼ毎日会っているのに、こんなにも話すことがつきないとは。
「ちょっとあーちゃん、こんな狭い所で踊り出さないでよ～、」
「いいから動画撮ってよー。 みて！ このポーズ！」
他愛のないことで笑い合って、怪我もあってややふさいでいたひなたも思いっきりしゃべって笑った。
なんでこんなにも女友達って楽しいんだろう
ひなたはその楽しさに浸っていた。
そのうち夜になってくると
自然と『恋バナ』へと移行していき。
「この中で・・彼氏いるのって・・ひなたと莉里香だけかー・・」
飛鳥が言い始めた。
「あたしなんか。 この人生で一回も彼氏いたことないんだよ？」
玲那はトホホな表情になった。
「え、でも！ 玲那、最近しょーちといい感じじゃない？ってみんな言ってるよ、」
晴乃が身を乗り出した。
「は？ しょーち？？」
「仲いいじゃん。 フツーに、」
「え? 玲那そうだったの？？ あたし、ぜんっぜん気づかなかった！！」
ひなたも食いついた。
「や、ないって！ 確かに友達だけど。 でもー・・彼氏とか? ちょっと違うかなあって、」
そう言いつつ玲那の顔はまんざらでもなかったので
「むしろ喜んでるし、」
飛鳥は呆れて笑った。
「いやいや。 全然タイプじゃないし。 あたしはああいうお調子者タイプじゃなくて！ もっと・・しっかりしたタイプがいいの！」
玲那はみかんを剥いて口に放り込んだ。
「りりちゃんの彼氏って。 大学生だっけ？ どこで知り合ったん？」
つられて晴乃はみかんを手にした。
「高校受験の時に通ってた予備校・・。 あっちは大学受験で。 励ましてあってるうちに、なんか・・」
莉里香はもう満面の笑顔だった。
「はーー、やってらんねー・・。 でも聞きたい～～」
玲那の言葉にみんな笑った。
志藤は心配なあまり奏の『アリバイ』まで探ってしまいます・・
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