志藤はひなたからのLINEに食いついた。
友達とひしめき合う写真とともに
『娘が信じられないのか!』
の怒りの一言が。
う・・
志藤は文字に気圧されたが、とりあえず安心した。
しかし。
あの二人がいつの日か一線を越えてしまうであろうことは
火を見るより明らか・・
わかってはいるけれど。
どうしてもどうしても
納得できない!
と、志藤はなんとなく奥歯を噛み締めた。
「えー、りりちゃんは彼氏とお泊りするんだー、」
晴乃はポテチに手を伸ばした。
「たまーに。 そんないつもじゃないよ。」
何でもないように莉里香は答えた。
「そっかあ・・。 莉里香は経験済みなんだねーー。 こっちは彼氏もいたことないっていうのに、」
玲那は面白くなさそうにやけ酒っぽくコーラを飲んだ。
「え? つきあってどのくらいで?」
飛鳥は興味津々だった。
「え~? 付き合い始めたのが・・3月の終わりころでー。 ・・えっと。 ゴールデンウィークくらい?かな?」
「はや! そんなに早いものなの?」
晴乃は驚いて目を丸くした。
「普通じゃない? 別に・・」
「ま、彼氏大学生だもんね・・。」
「うん、でも。 彼も初めてだった。」
莉里香はむふふと笑った。
「え、そうなの?」
「中高と男子校で。 彼女も初めてって言われちゃった、」
「へえ・・。」
みんな頷いた後、なんとなく視線がひなたの方に向いた。
「え・・? なに?」
「・・あれから。 特になんもなってないの?」
玲那が疑うように聞いてきた。
「え、」
「ほら~。 前に。 2年半つきあってなんもないって話。 したじゃん、」
「え! 2年半つきあって、なんもないの??」
みんな思わず立ち上がらんばかりの食いつきだった。
「う・・ん、」
ひなたはみかんを剥きながらうつむいた。
「それはー・・。 いや、なんつーか・・」
首を大きくひねった。
「ひなた・・、見た目と違って。 中身めっちゃ子供だもんね・・」
飛鳥はつくづく言った。
「子供とか! じゃなくて。 なんだろ。 なんか、お互い時間もないしー・・。 彼は。 ホント真面目で。」
剥いた皮をいじいじした。
「でも。 男なんか。 ソレばっか考えてるっていうよ・・。 いくらなんでも真面目だからってさ、」
晴乃はひなたを見た。
「そうなってもいいって・・お互いに思ったりもしてるんだけど。 でも。 なんかさー、そんなんでもないっていうか。 いちゃいちゃはしたいけど、その先はよくわかんないっていうか・・」
「なにそれ、」
「なんかさ。 そういうこと越えちゃうんだよね、」
『経験者』の莉里香はむふふと笑った。
「越えちゃう?」
「うん。 怖いとかー、ドキドキするとか。 そういうことを越えちゃう。」
彼女は満面の笑みだった。
そして話題は自然と『濃い』話に・・
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