両親は
究極の結婚
をした、って前に聞いた。
詳しいいきさつはわからないけど、ちゃんとつきあう前に母が妊娠をして
そこから怒涛の結婚になった、って。
まあ、それが自分なわけで
出逢ってから7か月でそんなんなったって。
いやいや。
それって大人としてどうなの？
と我が両親ながら呆れるポイントでもあり。
まあ、それでも
そんなきっかけの結婚にしては。
子供5人もいるし、父も母も幸せそうだし。
間違ってはなかったんだろうけど。
子供心に
結婚とは
と、考えさせられた部分はある。
もし奏と結婚したりしたら・・
ひなたはそれを無理やり想像してみた。
カナは優しいし、あたしのことをすっごく思いやってくれるし。
でも。
何と言ってもピアノで世界を目指そうっていう人だから。
そんなんめちゃめちゃ厳しいんだろうなって素人の自分も思うわけで。
どう考えてもパパやママみたいな平穏な夫婦にはなれないだろう。
ずっと一緒にいたいな
とはぼんやり思ってるけど、でも。
現実ってそんなに簡単じゃないだろうし。
一緒にいるってのと結婚は全然別の所にあると思う。
莉里香が彼とこの先も結婚してずっと一緒にいたい、って思うことに
なんだかすぐに寄り添えなかった。
「どしたの？ 黙っちゃって、」
飛鳥がポテチを口にしながらひなたを見た。
「え？ あ、ううん。 なんか。 あたし、そんな先のことまで全然想像できないなあって、」
ハッと我に返った。
「ひなたは今が楽しければいいって感じだもんね、」
アハハと笑われ
「いや、あたしだってねえ・・。」
反論しようとしたけれど。
確かにそうかもしれない、などと思って黙ってしまった。
あんまり先のことを考えると。
たぶん奏の『その先』を想像したりして
おそらく自分の傍にはもういないんだろうな、なんて思うだけで泣きそうになるので
意識の外でそうしたくないって思ってるのかもしれないなどと思った。
カナのことを好きになった時は。
こんな先のことまで全然考えられなかったもん・・
少し恨めしかった。
あんなヤツ。
好きになったらアカンで。
奏のことを全然意識してなかった頃に父に言われたあの言葉を思い出す。
その時は何を言い出すんだって思ったけど。
今は何となくその父の思いがわかる気がした。
大変な人を好きになってしまった
ぼんやりとそれだけはわかった。
16歳の今、『結婚』なんてまだまだ先のことと思う反面、この先のことを思うとひなたは複雑で・・
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