しかし。
「まあ・・それも考えてたんだけどね、」
母が同調したのでまた驚いた。
「はあ?」
まひると成は思いっきり彼女を見やった。
「あたしたちが結婚した時。 ナルは11歳。 まひるは5歳。 本当はナルも一緒に神崎の籍にって思っていたのに、小野塚のおばあちゃんが『ナルを連れていくなら結婚は認めない』って言うから・・。 ホント、家族で一人だけ名字が違うなんてかわいそうなことしたって今も思うわよ。 おばあちゃんを何とか説得すればよかったって何度も後悔した。」
母はその時のことを今も後悔しているようだった。
「でも。ナルとまひるが大きくなったら一緒にさせたらいいんじゃないかってあたしと涼成さんは逆に思うようになったの。 もうそのころはナルはピアノに夢中で、税理士になって事務所継ぐことがないかもしれないって思ってたから。 まひるに税理士になってもらってナルに神崎に入ってもらえばいいって。 一番平和的解決じゃない?」
大真面目に言う母に
「バ・・バカじゃない? なに言っちゃってんの・・」
まひるは動揺していた。
「まあ、でもそれはあんまりかってことで。 ナルが小野塚を離れられないのであれば。 何かしらウチと関係のある人と一緒になってくれたら、って。」
母はため息をついた。
「それで。 あの人・・?」
みずきはアイスココアをストローで一口飲んだ。
「おじさんも、娘3人いれば誰かが婿さんもらって家継いでくれるんじゃないかって期待してたかもしれないけど、上二人は長男と結婚しちゃったし。 一番下の茉美ちゃんは・・そういうことになっちゃって。 余計にナルを手放したくないし、こっちに引きいれたいのよ、」
「兄さんも追い詰められてるなあ・・」
父も腕組みをした。
成はこれ見よがしに大きなため息をついて
「名前とか。 家とか。 もう・・考えが小さい! おれはおじさんの家は継がないし、神崎事務所も継がない。 神崎はまひるがいるんだから。 そもそも。 神崎の長子はまひるだろ? おれが継ぐのもおかしな話。 もうみんな勝手なこと言わないでくれよ、」
あまりに身勝手なことばかり言う親たちを諌めるように険しい表情で言った。
「別に名字が違くても、おれは父さんや母さんやまひるやみずきも大事にするし。 伯父さんたちのことも大事に思ってる。 それ以上の何が欲しいんだよ。 てか、みんなどこまで欲しがりなんだよっ!」
テーブルを軽く叩いた。
「欲しがり・・」
みずきはそのワードに思わず吹き出してしまったが、みんな神妙な顔だったので慌てて下を向いた。
親の勝手な『構想』に成は憤慨します・・
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