何となくモヤッた感じで成とは別れ、それぞれ家路についたものの。
「で。 その『社長』は、どんな感じだったの?」
車を運転する母は助手席のまひるに聞いた。
「前にチラっとナルから聞いてたことあったんだけど。 まあ、めちゃ美人。 年はナルと同い年。 でも・・結婚してたしね。」
「そうねえ、」
「あたしも。 ひょっとしてナル、その人のこと好きなんじゃないかって怪しんでたんだけど。 全然そういうんじゃないみたいなのよ。 今は特につきあってる人もいないみたいだし、」
「それさあ。 やっぱりお姉の可能性もあるってことじゃない?」
後部座席からみずきがまたおもしろがって声をかけた。
「だから。 もう・・ヘンなこと言わないで。 ナルと血が繋がってなくても、もうあたしにとっては兄以外の何物でもないよ、」
まひるは後ろを振り向いて妹に釘を刺した。
そう。
うっすら覚えている彼と初めて会った時のこと。
『まひる。 ごあいさつしなさい。 この人が新しいお父さんになる人で、こっちがお兄さんになるナルくんよ、』
母に連れられて来たホテルかどこかのレストランだった。
父親と離婚したのは自分が1歳の時で、もちろん記憶は全くない。
離婚の理由も今でもなんだかよくわからない。
新しいお父さんは本当に優しそうな人で、お父さんという存在はよくわからなかったけど
家族として一緒に暮らしていく、ということはぼんやりとは理解していた。
そして
『こんにちわ。 まひるちゃん、』
小学校5年生だったナルは、幼稚園児の自分に屈んで目を合わせて挨拶をしてくれた。
途中で食事も飽きてしまった自分に
『何が好き? おりがみとかやる? お絵かきする?』
成は自分のリュックからおりがみやスケッチブックを出してきた。
それが嬉しくて、成とはすぐに仲良くなった。
今思えば、反抗期でもいいくらいの年齢の彼が
こんなに幼い自分に歩み寄って相手をしてくれたのは、本当に偉いなって思うばかりだった。
兄と妹になっても、成はとても優しかった。
時にはケンカもしたけれど、本当にいつもカッコ良くて頭も良くて。
ピアノが上手で。
自慢の兄だった。
え、マジ。 まひる、お兄さんと血が繋がってないの? ソレ結婚できるじゃん。
中学生の頃、事情を知った友達が冗談半分に言ってたことがある。
正直、ドキっとした。
しかも。
成は神崎の籍に入っていなかった。
成は私の自慢で、そして
憧れだった。
成とまひるの結婚の話は全く信憑性がないようですが、まひるの気持ちは少し複雑で・・
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斯波と萌香のその後のお話です。短編になってます。毎朝7時ごろ更新していますのでよろしくお願いします!
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クラシック事業部創世記&志藤・ゆうこ編
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