我が家の新人子犬アーシー(仮名)は

盲導犬候補生、ということで

育成方法は英国盲導犬協会

The Guide Dogs for Blind Association)が

指示する通りに実践している私です。

 

基本的には普通に子犬を可愛がり

躾けるのと同じ感覚で問題ない様子なのですが

『将来盲導犬になった時に混乱しない』ことを

あらかじめ人間側が配慮しておくことが肝心というか。

 

たとえば私はどうせ犬を飼うならば

朝の露に濡れる草原の中を

犬とともに高笑いしながら駆け抜ける、

みたいなことをしたくてしたくて

たまらなかったのですが

(脳内イメージとしては昭和の時代の

良い子のアニメ風にものすごく

健康的かつ微笑ましい感じなんですけど

 

日本版DVDは品切れなのかしら

こちらは台湾版ですって:

 

 

実際にそういうことを私がして

写真を撮られたらタイトルは

『狂人と犬』みたいになるだろうな、と)

 

 

 

 

というか私が『犬と一緒にすること』で

一番好きなのは『一緒に走ること』と言っても

過言ではないくらいだったのですが、

盲導犬協会の担当者いわく

我々の犬とは一緒に走らないでください」

 

 

犬が単独で、あるいは他の犬と

そこらを走り回るのは問題ない、が、

リードをつけた状態で犬と人が一緒に走る、

それは駄目なのだそうでございます。

 

つまり将来盲導犬になった時に犬が

その『オーナー』と道を歩いている時に

「・・・今日は何か気分がいいから

ちょっと走ってみようかな?」とか突然

思いついてしまっては危険だから、という。

 

「人と一緒に走ってもいい」と思っている犬の

思考を「走っちゃ駄目」に矯正するよりも

「人と一緒に走るとか思いもつかない」状態に

最初から犬を育て上げていこう、という。

 

あと私が驚いたのは盲導犬候補の犬とは

ボールを使って遊ぶのも駄目なんですって。

 

 

 

 

ボールをおもちゃとして

認識させたくないんですって。

 

「盲導犬として道を歩いている時に

目の前をボールが横切って、その瞬間に

犬が『おもちゃだ!』となって

集中が途切れるリスクをなくしたいんです」

 

なるほど。

 

「ただそれ、道を歩いていてそんなに

ボールがそこらに転がっているものですかね」

 

「・・・転がっていますよ、Norizoさん。

今もなおこの国のいたるところで

子供たちはボールを使って遊んでいます」

 

 

 

 

さすがフットボール・カントリー

 

さてしかしこういうことを聞くと

盲導犬候補生の子犬は

ずいぶん制限を受けた不憫な生活を

送っているように感じられるかもしれませんが、

安心してください、世の中ボール以外にも

犬の興味を引くおもちゃは

たくさん存在している模様です。

 

逆に『普通の犬ならせんでもいいけど

将来盲導犬になることを考えて』

犬にさせなくてはいけないこともあり、

そのひとつが『街中での散歩』。

 

私はね、犬の散歩は家の周囲、

川辺とか森の中とか公園の遊歩道とか

そういうところでやればいい、と

最初のうちは思っていたんですよ。

 

我が家は田舎にあるでしょう?

 

都会からわざわざ車でここらへんまできて

愛犬に散歩をさせている人とか

週末なんか実際たくさんいるんですよ!

 

犬にとっては理想的な

環境かと思っていたんですよ!

 

「・・・まあ理想的は理想的ですけど、

時にはここら辺で散歩を

してくれても問題ないんですけど、

そうですね、週に5回は街に出て、

歩道のあるところを犬と歩いてください」

 

「歩道のある所?」

 

「そうです。『人と歩くときは歩道を歩く』という

基本を早いうちから犬に教えたいんです。

ここらへん、歩道がないでしょう?」

 

「・・・そうですね、田舎ですから・・・

車道も車線が区切られていませんし・・・」

 

「週に5回、街中を歩いて、歩道と車に慣らして、

スーパーなどにも犬を連れて入って、

あ、あと、カフェでお茶を飲んだりもしてください」

 

はあっ?カフェで?お茶?」

 

「そうです。人間が『他のことをしている』時に

その足元で静かにしていること、を

犬に経験させたいんです。Norizoさんは

どんなカフェによく行かれますか?」

 

どんなカフェもこんなカフェも

そもそもカフェなんて場所には

滅多に行かない生活ですよ・・・

 

『ひきこもり』の自称は伊達じゃないんでごんす。

 

 

 

そんなわけで犬が登場して以来

わが生活において何が変わったって

私のライフスタイル

劇的に変わったのでございます。

 

そりゃ私も疲れます

 

しかしこれは

嬉しい疲労なのでございます。

 

 

街中に出るためには当然

車に犬を乗せなくてはならない

 

犬が車酔いしちゃったらどうしよう、と

気をもんでいた私でありますが

アーシーはドライブが好きというか上手で

第一回目から車内で静かに腹這いになって

居眠りをしてくれる優等生でした

 

現在はケージを車の荷物入れに収納して

そこに『犬の場所』にしていて、

犬がもう少し大きくなったら

ケージなしで移動するようになるとのこと

(『安全柵』のようなものは当然設置する)

 

盲導犬は多くの場合『助手席で

人間の脚の間に座る』ものらしいので

その座り方も時々練習すべし、とのこと

 

おかげさまで現在わが愛車は

犬の毛とカオリに満ち溢れています

 

走行距離はチマチマ増えちゃうし

毎日の外出は億劫だし

もう面倒でたまりませんよ

 

・・・Norizoさん、にやけていますよ

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