そんなわけでこの冬

完璧なまでの『海』デビュー

(正確には『再デビュー』)を果たした

我が家の盲導犬候補生アーシー(仮名)。

 

砂浜でヨチヨチ歩きの幼児に

「うーわあー。いーぬーうー」

みたいな感じに近寄られても

(大きい犬に対し『怖い』という感情が

たぶんまだ芽生えていない位の幼さ)

子供の手が届かぬ位置で

アーシーはひょいと腰を下げ

2回鼻を鳴らしただけで方向転換、

つまり小さな子に走り寄ったり

脚を上げてのしかかったり

『しようともしなかった』という、

皆様おわかりいただけますか

アーシーのこの成長!

 

まあこれは基本的に私ではなく

若先生の薫陶のおかげなんですけど。

 

いや本当、ついこの間までは

こんな状況に直面したらアーシーは

「何、おチビちゃん、

アタシと遊びたいのね?

遊ぶのね?じゃあ遊ぶわよ、

まずは力比べよ!」みたいなこと

絶対していただろうな、という・・・

 

 

呼び戻し(リコール、つまり犬が

リードなしで自由にそこらを

駆け回っていても、こちらが

名前を呼べば戻ってくる、という技)も

本当に上手にできていましたし、

「・・・ただアーシーってちょっと

僕たちから離れすぎません?

他の犬たちはたとえノーリードでも

飼い主の半径10メートルからは

離れないような様子なんですが・・・

アーシーは地平線の彼方まで

走って行きますよね?呼べば

ちゃんと戻ってくるんですけど」

とはわが夫(英国人)の言葉。

 

その気持ちは

わからないでもないんですが

「盲導犬候補生としては

これで正しいのだと思う。

将来はこのリードなし散歩の際に

思いきり運動をすることを

求められているのだし、

その時に将来のオーナーさんの

半径10メートルを離れない、を

実践したら全力疾走が出来ないだろ」

 

 

なお私の観察によれば

アーシーは他の犬、特に

自分と同じくらいの大きさの犬か

自分より大きい犬が好きなようで、

あと『大集団』にも憧れがあるようで

波打ち際で『人間5人、犬6頭』の

グループとすれ違った時は

「ハーイ、アタシはアーシー!

今日から皆の仲間になるわね!」と

勝手にその集団に潜り込みまして

「アーシー!君の群れはこっちです!」

 

私の声に反応は見せるものの

「えっ、でもでも、じゃあ

アタシいいこと考えた、

アタシたち3名とこの11名とで

14名グループを作らないっ?」

 

まあ最終的には私と夫の元に

アーシーは帰ってきたのですが

その時今度は向こうの集団から

黒ラブラドールと茶ラブラドール

(どちらも月齢7か月、雄)が

アーシーにくっついて来てしまって

慌ててあちらの飼い主さんが駆けてきて

「ごめんなさい!その子(アーシー)、

女の子でしょ?うちのこの

腕白坊主どもは

カワイ子ちゃんが大好きで!」

 

そしてこの7か月男児2頭は

うちの深窓の令嬢に

「海の水ってよォー、

ガブガブ飲むとうめえんだよォ、

知ってるゥー?」みたいな

余計なことを教え込み、また

アーシーもそこら辺は

疑うことを知りませんので

もうゴブゴブと牛のように

男の子たちと海水を飲み

・・・もちろん後から吐いていました。

 

知らない男の子たちの言うことを

素直に聞いたら危険だとあれほど!

 

まあこうして犬も人も

色々新しいことを学ぶのだと思います。

 

はい。

 

 

なおヨチヨチ幼児とアーシーが

接近した際、当人および当犬は

呑気なものでしたが

それぞれの背後にいた我々と

あちらのご家族の間では

ニュータイプの感応のように

ビシビシ言葉なき意思疎通がありました

 

「・・・犬、これ、大丈夫?」

「一応!でも子犬!万一に備えましょう!」

「了解!後方支援体制取ります!」

「そちらのお子様は大丈夫?」

「大丈夫!でも幼児!いきなり

犬の鼻とか耳とか掴んじゃうかも!」

「了解!いざという時は

物理的に介入します!」みたいな・・・

 

だってね、犬には悪気のまったくない

『舌でベロンと一舐め』にしたって

アーシーは現在25キロですからね

 

25キロの圧のかかったベロを

最近歩きはじめたばかりの幼児が

無事に受け止められるのかっつーと、ねえ

 

犬と子供が接触する際は

必ず大人が同伴すべし

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