さてそんなわけ

スコットランドはハイランドの

グレネルグ(Glenelg)に

私と夫(英国人)と

犬(盲導犬候補生、

黄色雌犬、仮名:アーシー)とで

遊びに行って来たのでございます。

 

そこで小説家マクスウェル縁の地を

訪ねた以外に何をしたかと申しますと

・・・おじいさんは山に山登りに、

おばあさんは海に貝採りに、

みたいな・・・?

 

このたび夫が登った山は

『Beinn Sgritheall』。

 

 

スコットランドの

標高が3千フィート

(914メートル)以上の山は

『マンロー(Munro)』と

呼ばれるのですが

こちらの『Beinn Sgritheall』は

山頂の高さが3196フィート

(974メートル)ということで

立派なモンロー名山のひとつ。

 

山というより連峰みたいな

有様、もとい、景観の

「一番高くとんがっている場所に

登って降りてくる感じか?」

 

「いえ、そこに行くには

その隣のあっちのとんがりを

最初に制覇して、で、

峰伝いに進んで、それで

反対側のちょっと低目の

とんがりを経由して、それから・・・」

 

 

もういい、もうたくさんだ。

 

登って下りて登って下りて

さらにもう一度登って下りて、で

だいたい5時間くらい

かかったらしいです。

 

 

夫の当初計画としては

最初のとんがりを越えたあたりで

一度コーヒー休憩を

取るつもりだったのが

「そこから一気に日が陰ってしまって

脚を止めたら凍りつきそうだったので

コーヒーは諦めて歩きながら

フルーツケーキとチーズを食べました」

 

 

コーヒーはですね、サーモフラスクに

お湯とホットミルクを入れていって

その場でドリップバッグを使って

淹れたての一杯を楽しむ予定だったのが、

山の上は風も強かったそうでございます。

 

ともあれ無事に下山した夫は

達成感と興奮に顔を輝かせて

(『テカらせて』が正しいかも)

宿舎に帰って来てまずお風呂に入り、

夕食にはフィッシュ&チップスを食べ

ビールを3パイントくらい飲んでいました。

 

「運動の後に飲み過ぎるのは

危険じゃないか。あと痩身志向の

見地からすると

カロリー消費の後のそれは

元の木阿弥行為というか・・・」

と妻として一応指摘した私でしたが

パブのカウンターで

お客をさばいていた女主人が

「でもこの人、Beinn Sgritheallに

登って来たんでしょ。

今日は飲んでも許されるわよ」

 

それを聞いた他のお客が

「えっ、あの山に登ったの。

どのルートで登った?」

 

夫が経路を説明すると

「うーん、まあそれが

一般的なルートだわな。

俺みたいな玄人はそれより

もう少し難しい道を選ぶんだけどな」

 

すると間髪入れずに女主人が

「アンタ、あの山に登った人に

会うといつもそれを言うけど、

アンタがあの山に

最後に登ったのはいつよ。

なんなら最初に登った日を

教えてくれるんでもいいわよ」

 

「いやあ、それが地元にいると

いつでも登れるもんだから

なかなか実際に

登るまではいかなくて・・・

でもな、俺はアレを登ると決めたら

絶対に普通のルートとは

違うルートで登ってみせるから!

その場合、俺はアンタみたいな

普通の登山者より、そうだな、

40インチ(約100センチ)くらい

余計に山を登る計算になるから、

まあその日のために

俺にも敬意を払っておいてくれよ!」

 

登山翌日、夫は太腿の前面、

すなわち大腿四頭筋が

一日中腑抜けのようになっていて

「いやもう途中から傾斜がすごくて

僕のこの筋肉は休む暇が

まったくありませんでしたからね!」

と非常に嬉しそうでした。

 

私の海の話はまた次回。

 

 

1枚目の写真は多分

Beinn Sgritheallだと思うんですが

夫も私もいまひとつ確信が持てず

 

「私に確信がないのは仕方ないが

君のそれはどうだよ、登ったんだろ」

 

「うーん・・・でも登り口から見る山は

これとは違って見えますし・・・

山頂もこれ、雲に隠れていますし・・・」

 

何これ、時間差高山病?

 

山が好きなあなたも

海が好きなあなたも

お帰りの前に1クリックを

人気ブログランキングへ