さてわが夫(英国人)は

このたびロンドンに

出張していたのでございますが

昨今のロンドンのイメージ、

皆様は

どのようなものをお持ちですか。

 

「江戸は生き馬の目を

抜くところと言われたものだが

ロンドンはそれ以上だぞ、

気をつけろよ」

 

「何がそれ以上なんですか。

そもそも生きた馬の目を

誰が何のために抜くんですか」

 

「田舎者特有の懸念だろうけど

ロンドンのような都会は

テロの標的にされがちだし」

 

「テロを恐れて日常生活を

放棄してはテロリストの思うツボ。

そんな時こそあえて

都会へ、の精神ですよ」

 

「あ、そうだ、最近ロンドンでは

集団スリが横行しているらしいぞ。

美女が隣に寄って来て

そっちに意識が行っている間に

反対側からお財布を

すられちゃうんだ、君はスリに

狙われやすいんだから気をつけろ」

 

「美人を見たらスリと思え、ですね」

 

「そうそう、きれいなお姉さんに

お酒を奢られたら万事休す、

一瞬で意識を失って

気がついたら内臓が

2、3個抜き取られた状態で

ベッドの上に・・・」

 

 

 

 

「君のお得意の

怖い話はもう結構です」

 

お出かけ前にそんな

心温まる会話を

私と交わしたわが夫は

ロンドンである晩、ひとりで

パブに寄り道をしたそうです。

 

田園地帯に引っ越して以来

とんとご無沙汰というか

実行不可能な『仕事帰りに一杯』を

楽しみたかったらしいのですが

テムズ川に面したお店で

川に向かって張り出した

屋外テラスで夫が風を

楽しんでいたら突然隣から

「ハーイ、こんばんは!」

 

横を見るとそこには

お洒落でカワイイお嬢さん

ビールグラス片手に

微笑んでいたそうで

「気持ちのいい夕方ね!

このお店、よく来るの?」

 

その瞬間わが夫が考えたのは

「こんな若くて可愛いお嬢さんが

僕のようなおっさんに

こんなに感じよく話しかける、

その理由は次のうちどれでしょう、

1.この子はスリ

2.この子は内臓窃盗犯

3.この子は麻薬密売人

4.・・・ど、どうしよう、この子が

買春を持ちかけてきたら!」

 

結果、お嬢さんと夫の会話は

絶望的なまでに

盛り上がらなかったらしく

 

 

・・・まあ妻としては

それはそれで一安心なのですが、

しかし夫よ、我々も老けたなあ!

 

10年くらい前なら素直に

「僕、パブでナンパされちゃった」と

素直に認識できた話なのになあ!

 

なお久々のパブのビールは

美味しかったそうでございます。

 

それは何よりなのでございます。

 

 

「自分はあのお嬢さんに対し

もう少し社交的であるべきでした」

と夫は今も反省しきりなので

ここは妻として慰めよう、と

「安心しろ、その子はきっと

よく訓練されたテロリストだよ。

そうでなけりゃ何故君に対し

そこまで感じがいいものか。

うかうか会話に乗って

お酒をもう1杯飲むだろ?

それを飲んだら一瞬で

意識を失って気がついたら

爆弾を満載した車のハンドルを

君は握っているところなんだよ」

 

 

 

 

・・・飲んだら乗るな、

乗るなら飲むな、ですね

の1クリックを

人気ブログランキングへ